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ボーンライフ  作者: ユキ
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手料理

「それじゃ側近としての雇用条件は魔王軍規約に則ってで、体面上は私の小間使いって事になるからよろしくね」


 ルカレット様の側近として働く事になり、やはり俺に意思があるとバレるのは良くないだろうとの事で、最初にこの部屋に連れてこられた理由を使い、体面上は小間使いとしてルカレット様に仕える事になった。


 ちなみこの世界では時間や年間の日数も地球と一緒で、お金はこの世界を救った過去の勇者が日本から召喚された事もあり、円がメイン通貨だ。


 それをふまえた魔王軍の雇用条件だけど、月収手取りで25万、ボーナス年2回、昇給あり、完全週休2日制の1日8時間労働で、お昼休憩と午前午後の休憩合わせて1時間半があり、残業は基本無しで各種福利厚生もしっかりしていて有給も取得しやすい環境だそうだ。

 優良ホワイト企業である。

 注意(作者の願望が大いに入っております)


 それもこれも、骸骨兵のような昼夜問わず働く使い捨てのコマがいるので成り立っているって言う、同じ骸骨兵からしたらマジで泣けてくる理由だ。


 骸骨兵仲間達に深く感謝しつつ、こちら側になれた事に心の底から安堵するのだった。



「あとは食事の件だね。もう朝だし、朝ごはんにしようと思うけど、何か食べたい物はある?」


「ダブルチーズバーガーとフライドポテト! 飲み物はコーラで!」


 待ってました! すかさず、いつもの?セットをお願いする。

 マ○クを見て一番最初に思い浮かんだ物だ。

 きっと生前の俺がいつも頼んでいたのだろう。

 朝から重いかもしれないが、この体にそんな事は関係ない! 食べたい物は食べたいのだ!


「ふふふ、わかったわ。これから作るから、クーちゃんのぬいぐるみ脱いで、ソファで待っててね」


 ……ん? これから作る?


 聞き間違えたかと思いルカレット様を見る。


 ルカレット様はそのまま立ち上がると部屋に備え付けられているキッチンへと向かい、壁にかけられている可愛いらしいヒラヒラのついたエプロンを付けて巨大な冷蔵庫から食材を選び出した。


「えっ? ルカレット様が作られるんですか!? てか料理出来るんですか!?」


「うん、そうだよー。基本この部屋と仕事部屋以外は、用がない限り出ないから自ずとね。それにお料理するのは好きだからいろいろ作れるんだよ」


 そお言いながら料理を作っているが、確かに手際も良くさまになっている。


 ただ、俺の食べたいのは手作りの物ではなく、慣れ親しんだ某有名ハンバーガーチェーン店の物だ。

 今も料理を続けてくれているルカレット様にどう切り出すか考えているとルカレット様は恥ずかしそうに言葉を付け足した。


「それに……私の作ったお料理を、お友達に食べてもらえるのが夢だったんだ……」


「ルカレット様の手料理凄く楽しみです!!」


 そんな事言われたら食べる以外に選択肢はない!


 それに庶民の味方であるマ○クは逃げないからいつでも食べれるけど、ルカレット様の手料理はこれを逃せば二度と食べられないかもしれない超絶レア料理だ! 絶対に食べておくべきだ!


「ふふふ、よかった。もう少しで出来るから待っててね」



 それからクマのぬいぐるみを脱ぎソファで待っていると、しばらくしてから食欲をそそる香ばしい匂いと共に出来上がった料理を持ったルカレット様が料理を目の前の机に並べると、俺の隣に座った。


「人に食べさせるのは初めてだから口に合う分からないけど、召し上がれ」


 ルカレット様が初めて他人に作った手料理……、まずはポテトから……うん! 細く均等に切られてちょうど良く揚げられたじゃがいもがカリカリサクサクで塩加減もちょうど良くとても美味しい。


 ダブルチーズバーガーの方も食べてみるが、フワフワのパンに噛んだ瞬間肉汁溢れるハンバーグ、シャキシャキのレタスと濃厚なチーズにタレが合わさり、最高に美味い。


 コーラは流石に市販品のようだが、前の世界の物と変わらない安定の味で、ポテトとハンバーガーに合う最高の相棒だ!


「ルカレット様の料理とても美味しいです! こんな美味しいハンバーガーを作れるなんて凄いです!」


「お口に合って良かった、お代わりもあるからどんどん食べてね!」


 その後お代わりに作ってくれたハンバーガー3つも平らげた俺は、お腹が満腹になるどころか膨れる気配もない事に気付きそこで食事を終えた。


 どうやらこの体はお腹も空かないし、満腹にもならないようだ。


 あの苦しくも心地よい感覚をもう味わえないんだなぁと少し悲しくもなりながら、久しぶりに食べた料理の味に心が満たされ幸せな気持ちを味わえた。


 ちなみに気になったのでルカレット様に聞いてみたが、食べた料理は飲み込んだタイミングで光になり消えるようだ。


 ルカレット様曰く、魔力に変換されているらしい。実に不思議である。



「ご馳走様でした。凄く美味しかったです」


「お粗末様でした。とても美味しそうに食べてくれるからこれからも作り甲斐があるね」


「えっ、これからも作ってくれるんですか?」


 てっきり作ってくれるのは今日だけかと思ってたのでまた作ってくれると言われ、思わず聞き返してしまった。


「もちろん! キミのお願いだもん、私が責任をもって毎日作るよ! それとも……私の手料理じゃ、いやかな?」


「そんな事はありません! ルカレット様の手料理は凄く美味しかったので、これから毎日食べられると思うと凄く楽しみです! ……でも本当によろしいんですか?」


 紛う事なき真実なのでそう答える。どうやらマ◯クはまた当分お預けなようだ。

 残念だが、毎日こんな美味しい手料理が食べられるならむしろ嬉しい事だな。


「うん、任せて! ……あっ、でも料理を作る代わりに私からも二つお願いがあるの……」


「はい! 自分に出来る事なら何でも言ってください」


 これだけ良くしてくれて毎日料理も作ってもらうのだ、お願いの一つや二つ容易い事だ!


「あのね……二人っきりの時は、敬語はやめて欲しいのと……私の事は、ルカって……呼んで欲しい……な」


 おぅ……ルカレット様……その言葉を上目遣いで言うのは、反則ですよ……。


 予想外のお願いと、あまりの可愛さにルカレット様を見つめて固まる俺。すると不安になってきたのかだんだんと目尻に涙が溢れてくる。


「わっ、わかり、わかったよルカ! 改めてよろしく。……その代わり、もし構わなければ、俺の事も昨日付けてくれた、クリスって、呼んで欲しい!」


 俺の返答に少し驚きながらも嬉しそうにするルカ


「うん! よろしくね……クリス」



  *****



「片付けてもらっちゃってごめんね」


 料理を食べ終わりお皿の片付けをしようとするルカに、作ってもらったのだから自分がやると言い洗い物をした俺がソファに戻ると、ルカが申し訳なさそうにそう言った。


 マジでこの子、いい子過ぎて尊い……。


「いやいや、このくらい作ってもらったんだから当然だよ! むしろ洗い物させて頂きありがとうございます」


「ふふ、何それ、可笑しい。こちらこそありがとう。それじゃクリスの条件も済んだし、今後のクリスの事について話そうと思うんだけどいいかな?」


 断る理由もないので頷く。



「まずは住む場所だけど、本来骸骨兵は睡眠を必要とせず昼夜問わず働き続けるものだから、例え私の小間使いとはいえ骸骨兵に部屋を与えたら周りから怪しまれてしまうと思うの。だから、申し訳ないけどこの部屋で私と一緒に住んでもらう事になるけど……大丈夫かな?」


 いきなりの爆弾発言である。


 大丈夫も何も、俺ではなくルカが大丈夫なのだろうか?


 当の発言した本人は少し上目遣いで不安そうにこちらの様子を見ている。


 ……うん、多分この子は男と一緒に住む事が危険だとか、何もわかってないんだろうな。この体に性別はないけどね……むしろ勝手に男だと思ってたけど、本当に俺は男なのだろうか? 生前の記憶がないからな……うん、考えるのはやめよう! 心は男なんだから俺は男! 今ここで決めた!


「もし嫌だったら、私は仕事部屋のソファで寝るから言ってね」


「いやいや、嫌なんて事ある筈ないじゃないか! ルカさえよければお願いします!」


 また思考の渦に入っていたせいでルカを不安にさせてしまった。ルカをソファで寝される訳にはいかないので即答で答える。てか、普通逆じゃね?


「良かった……幸いベットは二人で寝ても余裕がある位大きいから大丈夫だからね」


 おっと、どうやらベットで一緒に寝るのは確定らしい。

 まぁ、この体は寝る必要はないし、ベットは必要無いだろう。

 今は下手に断ってもまた落ち込んでしまいそうなので、とりあえず頷いておいた。



「次は仕事内容だけど、基本は隣の仕事部屋で書類仕事がメインだから、その補助をお願いね。みんな私が人と合うの嫌がるの知ってるから普段は誰も来ないし気楽にしてて大丈夫だから。書類もグラス達が有能だからここまで回ってくるのはそんなないし。あとはたまに来る来客の対応や定期的に魔王城で行われる幹部会議かなぁ。今日もこの街の代表が面会に来る予定になってるけど、対応は私がするからクリスは私の後ろで立っててくれれば大丈夫だよ。……はぁ、ずっとこの部屋で誰とも合わず、クリスと二人っきりで過ごせれば良いのに……」


 ふむ、話を聞く限り先程の雇用条件でこの仕事内容は楽過ぎないか?


 それとも骸骨兵みたいな使い捨ての労働環境が厳し過ぎただけで、こちらの世界での労働環境はこれが普通なのだろうか……。そしてルカさん、最後心の声が漏れてますけど、その発想は引きこもりのそれです

 何にしてもルカの説明を把握したので頷く。


 俺が承諾した事で後半の愚痴に同意されたと勘違いして嬉しそうにするルカ。


 一個一個の行動に癒される。



「最後にクリスの体についてだけど……クリスの体は死んだ人間の骸骨をベースに、骸骨兵としての魔核と呼ばれる物を胸の中に埋め込まれた状態で召喚されるの。まさか呼び出す先が異世界だったとは私も知らなかったけど」


 あぁ薄々気付いてたけど、やっぱりこの世界は魔法とか普通にある世界なんですね。


 もう死んで骨だけのこの体だけど、魔核なる物が埋め込まれているならもしかしたら俺も魔法が使えるかもしれない。これはかなりテンションが上がる。


「だから、もしも体を元に戻す事が出来て元の世界に戻ったとしても……その世界でキミはもう死んでいるから同じ生活に戻る事は出来ないと、思う」


 申し訳なさそうに話すルカ。


「それについては生前の記憶もないし、安全で安定した生活をおくれる環境も出来たし問題無いよ。」


「うん! それは任せて! なるべくクリスに危険な仕事かいかないようにするし、万が一自我がある事がバレて変なヤツらに狙われても私が絶対守るから!」


 こちらを真剣な表情で見つめて言うルカ。四天王のルカに守ってもらえるならこれ程心強い人はいないだろう。


「ありがとう。とても心強いよ。ただ、ずっと守られる存在も嫌だから、ルカと肩を並べられるくらい俺も強くなるようこれから努力するね」



 ふと先程の言葉で気になった事があったので質問してみた。


「所で、さっきの話だとルカはこの体を元に戻す方法に心当たりがありそうだったけど、何か方法があるの?」


 少し難しそうな表情で考えるそぶりをした後に答えるルカ。


「おそらく……だけど出来ると思う。この世界のどこかに賢者の石と言われる秘宝があるんだけど、その賢者の石はどんな願いも叶え、死者でも蘇らせると言われているの。それを使えばきっと肉体を蘇らせる事も可能だと思う」


「そんなすごい物があるんの!?」


「うん、過去の文献でも何度も出てくるし、勇者を召喚するのに賢者の石が必要だから、これまでの勇者召喚でも使われてる筈なんだ。だから、今も賢者の石は人間族が所有してると思われていて、再び勇者を召喚する前に賢者の石を人間から奪う事も私達魔王軍の目的の一つでもあるんだ」


 成程、それならこのまま魔王軍に所属してれば生身の体に戻れる可能性がありそうだ。

 そしたら満腹の幸福感も惰眠の幸せもまたもう一度味わう事が出来る……我ながら何か理由がしょうもないな


「賢者の石については副官のグラスが詳しいんだけど……、賢者の石の事もだけど、魔術についてもグラスの方が私よりもかなり詳しいから、グラスに相談すればクリスの体についても助けになると思うのね、だからグラスにだけはクリスの事話そうと思うんだけど、どうかな?」


「ルカが信頼している方なら俺は構わないよ」


「それなら大丈夫。……私ね、5歳の誕生日に両親を二人とも亡くしているの……それで天涯孤独になっちゃった私を、当時私の教育係をしてくれていたグラスが引き取ってくれて、死んだ両親の代わりに悪い人たちから守って育ててくれた方だから」


 両親の話をする際とても悲しそうな表情をしていたルカだったが、グラス様の話になると少し照れながらも嬉しそうな表情で話していた。


 幼くして両親を亡くすなんて辛かったろうな……だからこそそんな時手を差し伸べてくれたグラス様を本当の親のように信頼してるんだろう。

 これだけ信頼しているなら尚の事俺が心配する必要はないな。しかしあのエロオヤ……グラス様がねぇ。


「ただ、ちょっと過保護なんだけどね。魔王軍に入った私を心配して一緒についてきたのもそうだけど、大きくなってからも敵に襲われるかもしれないって一緒に寝ようとしたり、ちゃんと体を洗えてるか心配だから一緒にお風呂に入りましょうって言ってきたり……、もう子供じゃないのに」


 前言撤回、やっぱりエロオヤジでした。

 てか、それを過保護で済ますルカ、どんだけ純粋なんだよ。


「話がそれちゃったね。また改めてグラスに紹介する時間を設けるから、一緒に話し合おうね」


 正直今の話や昨日魔術の実験台にされそうになったのもあって、今からグラス様と話すのが不安でしかないです。



「他に質問が無ければ話を戻すね。この世界は魔素と呼ばれる魔力の元となる物で満たされていて、クリスに埋め込まれている魔核がその魔素を取り込み魔力に変換して、その魔力を使ってあなたの体は動いているの。それでこれは骸骨兵の特性なんだけど、魔核に魔力がある限り頭が取れようが、腕を斬られようが粉々にされない限りは取れた部位を近付ければ元に戻るから安心して」


 おぉ、魔力がどんなものかはわからないけど、斬られようがくっつくなら切断に対してはほぼ無敵じゃん。


「だけど、もしその魔核が壊されたり魔核の魔力が空になってしまったら死んでしまうから。それと、聖なる力を帯びた攻撃は触れた部分が蒸発しちゃうから気を付けなくちゃダメだよ」


 何それ!? 怖っ! 聖なる力って聖水とか祈り的なのか? とりあえず教会には近付かないでおこう!


 てか、地味に弱点も多いし、これは今みたいにあまり調子に乗って油断しない方が良さそうだな。この前の軽装の兵士も、弱点を知ってたのか俺の胸を狙って切り掛かってきたしな。


 そおいえば、魔核が壊されるはともかく、魔力が空になったら死ぬって言ってもそもそも魔力なんて感じた事もないからわからないぞ。


「魔力ってどうやったらわかるものなの?」


「それなら簡単にわかる方法があるから手を出してみて」


 言われた通り手を出すと、その手を握り返したルカ。途端にその手を伝わり何か温かな物が体の周りを巡る感覚を覚えた。


「今、私の魔力でクリスの体の周りの魔力に干渉して巡りを加速させる事でわかりやすくしてるんだけど、感じるかな? それが魔力だよ」


 そお言って手を離されたが、もうルカは魔力で干渉してない筈なのに、今までわからなかったのが嘘のように体中に巡る魔力の流れを感じる事が出来るようになっていた。


「そして、その魔力の流れを辿った大元にあるのが魔力を作り出し、貯めておく器官である魔核だよ」


 言われた通り魔力の流れに集中し辿って行くと、胸の内側あたりに魔力が渦巻き集まって濃密になっている場所があった。


「これが魔核か。魔力もそうだけど、今まで気付かなかったのが嘘みたいだな」


「気付かないだけで、生き物にはみんな備わってる器官だからね。心臓の鼓動だって意識しなかったらわからないでしょ? クリスも死ぬ前はもともと備わってた筈だから、例え死んで亡くなってから召喚の時に代わりを付けられたんだとしても、違和感がなくて気付かなかったんだと思うよ」


 成程、確かに普段心臓の鼓動や呼吸なんかも意識しなくちゃ気付かないものだもんな。今の俺にはどちらもないんだけどね。


「今感じてる魔力を変換して魔法を作り出したり、魔力自体を操作する事で体の一部を強化したり、一部の職種や魔王軍の幹部クラスの使い手なら武器などの自分以外の物体に付与して攻撃力を上げたり、体に纏わせる魔力量を増やして身体能力を何倍にも底上げしたりする事も出来るんだよ」


「それは凄いな! 俺も魔法を出したり出来るようになるの?」


 魔法と聞いてテンションが上がる。だって誰しも男の子だったら小さい頃にアニメや漫画を見て自分もと思いを馳せるものじゃないか! 記憶が無いから自分がそうだったか知らんけど。


「うーん、私たち魔族や魔物はみんな何かしらの魔法の才能がある種族だから、誰でも一つは魔法を使えるんだけど……、クリスの場合は骸骨兵でしょ? 普通の骸骨兵はその体を動かしたりくっつければ治る不死生が魔法の力から来てるもので、魔法を発現する個体は前例がないからなぁ……、ベースとなった人間も私たちと違って魔法を使えるのは一握りの人間だけだだし……でも、クリスの存在そのものが特殊だから、もしかしたら魔法も出せるかもしれない! 今度私が教えてあげるね!」


 魔法を使える可能性は低そうだけだ、ルカに教えてもらえるならそれはそれで嬉しい。


 別に魔法が使えなくても骸骨兵特有の能力を活かせば良いし、魔力量を増幅させての身体強化を出来るようになればそれだけでかなり強くなれそうだ。


 この世界は魔物も普通にいる世界だし、この見た目だと討伐しようとするやからも沢山いるだろう。


 ルカが守ってくれるとはいえ、何があるかわからないから、強くなれるならそれに越した事はない筈だ!


 幹部クラスはみな身体能力を何倍にもする魔法を使えるなら、四天王のルカも出来るだろうし、それも魔法を教わる時に一緒に教わろう。


「あとは骸骨兵は魔力で体のいろんな機能を補ってるの。目や鼻や耳何かがそうだね。だからさっきみたいにクーちゃんのぬいぐるみを着た状態でも、実際には目で見てるわけじゃないから、魔力を通して周りを見れたり、ぬいぐるみ越しでも触った感触なんかもわかるんだよ」


「この不思議な体の秘密はそおいう事だったのか、しかしルカは本当に骸骨兵に詳しいだね」


「それは……ずっとお友達はパパとママが誕生日のプレゼントに残してくれたこのクマのぬいぐるみのクーちゃんしかいなかったから、クーちゃんが自分で動いて一緒に遊んでくれたらなって、ずっと夢みてたの……それで何か方法がないか本で沢山調べてたら骸骨兵の能力を知って、骸骨兵をベースにすれば行けるかもってわかってからは召喚の方法を覚えて、何百体って召喚していろいろ調べたから詳しいんだ」


 思ったよりヘビーな理由だった。

 ルカが少しズレてるのもこれまで他者との繋がりが薄かったのが理由なんだろうな……

 これからは俺が友達としてルカの力になってあげよう!


「頑張って勉強したんだね。お陰で俺も自分の体を知る事が出来て凄く助かったよ。お礼じゃないけど、これからは友達としてルカのしたい事は俺がするから、何でも言ってね」


「本当に? それじゃ……時々で良いから、クーちゃんのぬいぐるみを着て、甘えさせて欲しい……な。……あっ、ダ、ダメだったら大丈夫だよ!」


「そのくらいお安いご用だよ! いつでも言ってくれて構わないから」


 やっぱり小さな頃に両親を亡くして寂しかったのだろう。そんな事でルカの寂しさが埋まるならいくらでも着るとも!


「うん! ありがとう! クリス大好き!」


 そお言い抱き付くルカ。

 そおするとその豊満で柔らかな二つのお山が押し付けられ……むしろありがとうございます!!




「それじゃザックリだけど説明はこんなところかなぁ、そろそろ面会の準備もしなくちゃだし」


「ありがとう、今までわからなかった事が知れて凄く助かったよ!」


「うん! これからもわからない事があったら私に聞いてね」


 そお言って立ち上がりこちらを振り返る。


「じゃぁ、改めまして……クリス、魔王軍にようこそ! これからよろしくね」


 こうして俺の魔王軍が四天王ルカレット様の小間使い(側近)としての生活がスタートするのだった。

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