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ボーンライフ  作者: ユキ
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飲み会パート2

「と言う訳で、どうしたら良いと思う?」


 毎度お馴染みジンとリンと共に行きつけの酒場へ飲みに来た俺は、ルカをどうすれば立ち直らせる事が出来るか相談している。



「そんなの俺らがわかる訳ないだろ、そんな事より俺は早く帰ってアイツらに荒らされた家の後片付けしたいんだが」


 所がこんな薄情な事を言う我が親友ジン。


「そっか…それなら仕方ないが……悩み過ぎてスキルの制御が出来なくなるかもしれないな「よし! 親友の頼みだ! 何とか名案を絞り出すぞ、リン!!」……」


 俺の必殺の一言で急に協力的になるジン。


 よっぽどニューエルフが怖いんだな……。


 でも、ジンには言ってないけど、実はもうニューエルフたちは解放してるんだよね。


 器物破損に迷惑行為と色々やらかしてるけど、悪気がある訳でもないし、流石に滞在中ずっと拘束している訳にもいかないので、厳重注意のうえジンに近付かないように言及してアルスの監視下の元解放した。


 ただ、遠くの方から視線を感じるんだよね……。


 おそらくアイツらだろうけど……まぁ、ジンには近付かないように言ってあるし、ジンも気付いてないようなのでいいだろう。



 そんな事を考えながらもジンとやり取りする俺たちをクックックと笑い見るリン。


「そうですねぇ……ルカレット様がファーストキスを大事にしたかった気持ちは良くわかりますし、何より親友の頼みなのでおよばせながら協力させていただきましょう」


「流石リン! あとジンも!」


「俺はついでかよ!」


 何か言ってるジンはスルーする。


「……でっ、どうしたらいい?」


「アナタは……自分でも少しは考えて下さい」


 呆れた表情のリン。


「そんな事言われてもなぁ……」


 それが出来たら相談などせず、とっくにその考えを実行している。



「そうだ! グラス様なら記憶を消す魔法とか知ってるんじゃないか?」


「それだ!!」


 珍しくジンから名案が出たのですかさず反応する。


 ニューエルフ効果は絶大だな!!



「仮にそんな魔法があったとして、クリスは愛する女性にそんな魔法をかけたいですか? しかも相手にとっては記憶を消せばそれで終わりですが、アナタの中にはアナタだけのファーストキスの記憶が永遠に残り続けるのですよ?」


「……」


 リンの正論にぐうの音も出ない。


 確かにルカにそんな魔法をかけるのは騙しているようで嫌だし、後々この事が思い出となった時に、ルカの中のファーストキスと俺の中のファーストキスの記憶が違うのはなんだか……悲しい。


「……やっぱりやめときます」


「それが懸命な判断ですね」


 俺の言葉にうんうんと頷くリン。


「ならどうするって言うんだよ」


「それは……難しい問題ですねぇ……」


 こうして男三人集まっても良い案が思い浮かぶ事はなく、ダラダラと時間は流れ、空いた酒瓶とツマミの皿だけが増えていく。



  *****



「もうよ、なんかプレゼントでも贈っとけば機嫌治るんじゃねぇか?」


 時間も進み、なかなか良い案が出ないなかジンがそんな投げやりな提案をする。


「そんな安着な……物を贈っとけば良いなんてのはダメな男の考えですよぉ……そう……守るべき大切な人たち全てを失った私のように……」


 ジンの投げやりな提案に大分酔いの回ったリンがいつものマイナス発言で返す。


「ならどうやってルカレット様を元気にすればいいんだよ……文句ばっか言ってないでお前も何か案をだせ! 俺の命がかかってるんだぞ!」


 そう言いながらリンの肩を掴み前後に揺するジン。


 そのせいで酔いの回っているリンは吐きそうになる口を必死に押さえて我慢している。


 そんな光景を見て諦めモードに入った俺はどこか他人事のように思う。


 命がかかっているとか、言い過ぎではないが……原因の俺が言うのもあれだが、ニューエルフ効果は絶大過ぎて相談した俺以上に切実だな……と。


 しかし……本当に何か良い案はないものか。



「それならファーストキスを帳消しにするくらい記憶に残る()()()()()()をしてあげれば良いんじゃないかしら?」


 記憶に残るセカンドキス……。


「「「それだ!!!」」」


 本日二度目の名案に思わず三人で同意したが……ん? かしら? 今の提案は誰のものだ?


 先程のオネェ口調と声は聞き覚えがあるのだが……。


 すると目の前でリンの肩を抑えたジンと、口を抑えたリンが俺の後ろを見て固まっている。


 俺は恐る恐る後ろを振り返ると、そこには鍛え抜かれて最早肉体美とも呼べる程綺麗に割れたシックスパックが目に映った。


 てか近いな!? 危なく腹筋に俺のセカンドキスを奪われる所だったぞ!


 少しビックリしながらも、そこから視線を上に向けるが、その先には立派に発達した大胸筋があり、そのせいでその人物の顔を見る事が出来ず、その代わりその上に突き出た緑の特徴的なリーゼントだけが目に入った。


 うん……これだけヒントがあれば誰かなんて明白ですね。


 そう、その人物はこの度新たに俺の部下として四天王入りした、ニューエルフのオカマ……アルスであった。



  *****



 夕陽がさすボーンシティから少し離れた薄暗い森の中。


 そこは昨日まで木々が生い茂り、魔物が徘徊する深い森が広がっていた筈なのに、今は煌びやかな電飾にクルクルと回る木馬や、レールの上を疾走する乗り物など数々の施設が見え、楽しげなメロディ流れている巨大な施設が存在していた。


 そう、前世で言う所の遊園地である。


 この遊園地は『私に任せなさい』っと言って出て行ったアルスが、魔術師たちと協力して一晩で作り上げた物だ。


 作っている所を分体でチラッと見に行ったが、魔法で建設する魔術師たちを横目に、白い鉢巻をリーゼントの先端に巻いて、何故かふんどし一丁姿で数十メートルはある鉄骨を何本も担いでランラン言いながら歩く姿があまりにも恐ろし過ぎて、見なかった事にしてすぐに帰りました。


 結局部下のニューエルフたちと、我らが化け物魔術師集団にも劣らない脅威的な建設スピードを発揮して作り上げた結果、短期間でこんなにも巨大な建設物が出来上がったのだった。



 そしてそんな出来たばかりの遊園地の入り口にある噴水の前。


 俺はそこで、いつもは着ない服を来て立っている。


 今着ている服はアルスが予め準備してくれたシャツに黒いジャケット、ズボンと言う綺麗めなカジュアル姿である。


 ただ、俺のサイズを伝えてもいないのにピッタリ合う服が準備されていて、その事を聞くと『乙女の内緒よ』っとにこやかに笑われた事で、その笑顔に骸骨なのに悪寒が走ったのは無理もない事だろう。



 

 するとボーンシティの方角に続く道を一台の馬車が二匹の骸骨馬に引かれて走って来るのが見えた。


 その馬車は俺の前で止まると、どこからか現れた正装した骸骨兵が入り口の下に足場を置き、馬車の扉を開ける。


 馬車の中から現れたのは、昔に比べたらマシになったとは言え、まだまだ妖艶ないつもの和服姿ではなく……ヒラヒラの可愛らしい赤いスカートに、爽やかな白いブラウス、その上にカーディガンを羽織ったいつもと違うルカの姿だった。


 ルカは骸骨兵の手を借りて馬車から降りると俺の前まで来て、恥ずかしそうにスカートの裾を掴みながら俯く。


 無理もないだろう、元々グラスの歪んだ性癖のせいで露出の多い過激な服装をしていたルカだが、最近になり、やっと普通ではないと気付き、徐々に慣れない露出の少ない服にしている所なのだ。


 なので、こんな普通の女性が着るような可愛らしい服装は、逆にルカにとってはハードルが高いのだ。


 と言っても、本来フォローすべき俺は、普段とは違うルカのその可愛らしい姿に思わず見惚れてしまい、固まってしまっている。


 その状態に居た堪れなくなったルカは視線を彷徨わせながらも喋り出した。



「遅れてごめんね。急にナーレとミルカにクリスとのデートだからってこんな姿に着替えさせられて、こんな場所まで連れてこられたんだけど……私にこんな可愛いお洋服……、変……だよね?」


 そう聞くルカの後ろ、馬車の中には、コチラをニヤニヤ顔で覗き見るルナーレとミルカの姿が見える。


 気になってついてくるのは良いけど、せめて上手い事隠れていてくれ……。


 ただ、そのお陰で少し冷静になった俺は先程の失態を挽回すべく話出す。



「俺も今来た所だから大丈夫。それにルカのその姿が変な訳ないよ! 思わず見惚れてしまった程だもの。いつもの綺麗な姿も好きだが……今日のその可愛らしい姿もとても愛らしくて……凄く似合っているよ」


 俺の言葉に一気に耳まで赤くなるルカ。


 その姿がまた愛らしくて、思わずルカに近付き抱き締める。


「ん!?」


 俺の突然の行動に最初はビックリしていたルカも、すぐに体の力を抜き、抱き締め返す。


 その時間が幸せ過ぎて、いつまでも続けば良いのに……。




 ……おっと!? 今日はルカに最高の思い出を作る為に俺はいるんだ! こんな所で立ち止まっている訳にはいかない!


 思わぬ誘惑に思わず抱き締めてしまった俺は何とか本来の目的を思い出し、抱き締める力を緩めてルカから離れる。


「さぁ、そろそろ行こうか」


 そう言って差し出した手の先では、名残惜しそうに両手を伸ばしたままコチラを見ているルカの姿があった。


 その姿を見て俺は思った。


 果して俺は今日一日、この誘惑を耐え切ってルカに最高の思い出を作ってあげられるのだろうか、と……。

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