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ボーンライフ  作者: ユキ
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少しの休息と変化の兆し

 魔王演説から1ヶ月とちょっと。


 この1ヶ月間、未だ慣れない魔王としての威厳ある態度に苦労しつつ、連日の謁見や魔王としての仕事により骸骨だから体は疲れないが、心がどんどん疲弊し切っていた。



 と言う事で、現在俺はルカと共に家の裏手の森にある、ルカおすすめスポットである絶景広がる湖の辺りに来ております。



 えっ? 魔王としての仕事? そこは分体に代わりに出てもらってるから大丈夫です!


 この為に毎日忙しい中、暇を見つけてはスキルの練習をして精度を上げ、俺と瓜二つの分体を作り上げたのだから。



 俺と寸分違わぬ体やチャームポイントのツノの形や色を再現するのに中々苦労したが、その甲斐あってその完成度は中々のものだ。


 ましてや中身は元は俺だもん、そう簡単には分体だと見破れないだろう!



 ……そう意気揚々と意気込み、試験的に出来上がった分体を俺のフリをさせて魔王城内で歩かせてみたが……ルカに一発でバレました。


 何でわかったのか聞いたら『う〜ん……妻だから』とニッコリ言われ、その後落ち込み廊下を歩いていると、前から歩いてきたミルカにも一発で見抜かれました。


 同じ質問をしたら『妹だから当然!』と自慢げに言われたけど、理由が理由になってない。


 アホなジンはともかく、ミュートやリンたちにさえバレなかったのにな……。



 ちなみにルナーレとアルスにも一発で見抜かれたが、『愛人だから』とか言われそうだったので理由は聞いていない。


 普通に心も読まれるし……どうやらウチの女性陣に俺は隠し事は出来ないようだ。



 でも、お陰で「そんな分体が作れるなら、普通の人には偽物だとわからないでしょうし休んで良いですよ」っとリンからお許しも貰えたので、こうして久しぶりの休暇を楽しんでいる訳だ。




「気持ちいいねぇ……」


 ここまでの経緯を思い出していると、俺の頭上から声をかけられる。


 そちらに意識を向けるが、目の前には布に包まれた大きな膨らみが2つあり声の主を見る事は叶わない。


 現在俺は、世に言う膝枕と言うものをルカにしてもらっているのだが……ルカのそのたわわに実った2つの膨らみにより、ルカの顔を見るどころか美しく晴れ渡った空の半分も見る事が出来ないのだ。



 でも、視界を殆ど塞がれている状態だが、心の底から思う。



 なんという、絶景……。



 そして頭部に感じる程よい弾力と温もり。



 そう、ルカの柔らかで程よい肉付きの太ももだ。



 極め付けが仄かに香る、脳を直接刺激するような甘くて良い匂い……。



 何これ? 疲れなんてあっという間に浄化されていくんですけど!



 極楽とは……ここにあったのか……。



「……リス……クリス」


 あまりにも最高の幸せ空間に意識がフワフワしていると、俺の名を呼ぶルカの声と先ほどよりも直で感じる良い匂いに現実に呼び戻される。


 目を開けると顔に当たる柔らかな感触と、空いた視界の端にルカがこちらを覗き込み睨んでいるのが見えた。


 どうやらいつもの悪い癖で自分の世界に入り込み、ルカが話しかけているのに無視してしまっていたようだ。



 しかし、何とも幸せな感触が今度は上からも……




「ッ!?!?」


 こ、これは……もしや……おっ……。


「ク・リ・ス!」


「ッ!? あっ、ああ、ごめんごめん。幸せを噛み締めてたらつい」



 思わぬ幸せ爆撃により再び自分の世界に入ってしまいそうだった所を、ルカの威圧の籠った呼び声で強制的に呼び戻され、思わず言い訳に本音が混じってしまった。



「も、もう……クリスったら……でも、言ってくれれば夫婦なんだから……お、おっ……ぱいぐらい……いつでも……ゴニョゴニョ……」


 ッ!? そうか!! 俺たちは夫婦……別に触る事は不自然な事ではないのか!?


 しかも小さな声で聞き取りにくかったがルカもそれを了承している……。



 その事実に気付き、俺の理性は容易に破壊されて、外だと言う事も忘れてニョキニョキと俺の手は魅惑の双山へと伸びて行く。



『ウオォォォオオ! ついにお兄様とお姉様の合体が目の前にぃぃい!!』


 しかしその手は、遠くから聞こえた聞き慣れたサキュンバスっ子の叫び声にも似た声に止められる。


『ちょっ!? ミルカ! そんな大声出したら聞こえちゃいますよ!!』


 ついでに、それを大声で嗜める愛人奴隷願望の聖女様の声も丸聞こえだ。


 幸いルカは自分のあまりにも大胆な発言に頭から煙を吹いてフリーズしているので聞こえていないようだ。



 ゆっくりと戻される俺の手。


『ちょっ!? なんでそこでヘタレちゃうのお兄様!! そこはそのままお姉様を押し倒してあんな事やこんな事をする場面でしょ!!』


 誰のせいで戻してる思ってるんだ。



『ミルカ落ち着きなさい! 流石に気付かれてしまいます!』


 そんだけ大声出しててバレてないと思ってるのか!?



 っとそこで、ようやくフリーズが溶けたルカがこちらを向き、未だ照れた表情ながら柔らかな笑顔で俺に言った。


「……で、でも……私もクリスとゆったり過ごすこの時間が、凄く幸せだよ」


 その笑顔と言葉に俺の頭は一気に冷え、上げられた手は完全に下げられる。


 ……そうだ。今日はルカとの久しぶりにゆっくりした休日を堪能する為に来たのであって、そう言う事をする為に来た訳ではない……。



 触りたい願望が消えた訳ではないが、今日はこの最高の膝枕を堪能しつつルカとの時間を大切にしよう。



 ……しかし、仕事モードのルカは頼れる大人の女性と言った感じで常にキリッとしているが、俺と一緒にいる時のルカは子供のようにコロコロと表情が変わって、見ていて飽きないなぁ。


 そんなルカとの幸せな時間に、思わず俺の口も軽くなり、自然と自分の気持ちが漏れ出る。


「……癒されるなぁ」



「……良かった」


「ん?」


 俺の本音に何故か安心しながら呟くルカ。


 何のことかわからない様子の俺を見て、その理由を答えてくれた。



「あのね……最近のクリスは毎日忙しそうで、凄く疲れてるみたいだったから……心配してたんだよ」


 そうだったのか……ルカの前では普通を装っていたつもりだったが、見抜かれていたようだ。



 ルカには敵わないな……。



「心配かけてごめんね。ある程度有力者との謁見や会議もひと段落ついてきたし、こうして仕事も分体と交代で出来るようになったから、これからは前のように休みもちゃんととれるようになるよ。

 あっ、そうそう、休みと言えば……新しく綺麗な花々が咲く大きな公園を作ったらしいから、次の休みになったら一緒に行かない?」


 俺の魔王就任を大々的に発表して森の外との街道も整備してから、ボーンシティに訪れる人が日に日に増えている。


 そんな人たちに前に作った遊園地が大人気らしく……他にも訪れる人の為に観光名所を作ろうって事になって作ったものだ。


 魔術師やアルスの部下たちが張り切って作ったので相当なものが出来ているらしく、既に訪れた職員の話ではかなり高評価だった。



「ホントに!? 行く行く! あっ、今日は二人っきりの時間を作って貰ったから、今度はナーレやミルカや他のみんなも誘ってみんなで行こうよ!」


 実際は二人っきりではないんだが、それは言わないでおこう。



「そうだね、今度はみんなで楽しくピクニックしよう!」


「ピクニック……うん! しよう! ピクニック!! うぁ〜、ピクニックなんてお母様とお父様と行って以来だからかなり久しぶりだよ! 私、張り切ってお弁当作っちゃうよぉ!」


 ルカの言葉に遠くの方で『やったぁ』と喜ぶ声が聞こえた気がするが気にしない事にする。


 しかし、そうか……俺と出会うまで友達の一人もいた事なく、魔王軍に入るまでは人里離れた森の中で、あのグラスと二人で暮らして来たんだもんなぁ……。


 ルカの境遇を思い出し、何とも言えない気持ちになる。



「楽しみだね……あっ、ルナーレにはくれぐれも……」


 これまた『奥様と二人っきりの時でも私の話題だなんて……ご主人様の愛を感じます」とか聞こえた気がするが気にしない。



「ふふふ、わかってる。でもナーレも……あっ、これは内緒だった」


「ん? ルナーレがどうしたの?」


「うんん、まだクリスには……内緒」


 そう言って口元に人差し指を立てて当てる仕草が何とも可愛らしくて意地悪したくなる。



「え〜、気になるなぁ……ちょっとだけなら教えてくれても良いんじゃない? ルナーレもここにはいない事だし」


 隠れて近くにはいるみたいだけど……。



「えー……そうだなぁ……ちょっとだけなら……あっ! でもやっぱりダメ! ナーレとの約束だもん! お口チャック!」


 今度は口を結んで頬を膨らませるルカの仕草に思わずホッコリする。



 なんて幸せな時間だ……。



 こんな時間がいつまでも続けば良いのに……。




 ……あっ、これってフラグって奴じゃ……。



『休暇を楽しんでいる所悪いけど、お二人方。緊急の報告があるから魔王城に来てくれるかな』


 案の定、バットタイミングでそんな幸せはグラスからの念話によりぶち壊される。



「はぁ……行こうか、ルカ」


「そうだね、何があったのか心配だし急ごう!」


 ため息を吐く俺に苦笑いしながらも真面目なルカは、すぐにお仕事モードの真剣な表情になり先を急ぐ。


 そんなルカを見習い、俺も気持ちを切り替え急ぎ魔王城へ向かう。


 次の休みはルカと最高に楽しいピクニックをすると密かに決意して。



  *****



「せっかくのイチャイチャタイムだったのにごめんね。ちょっと問題が起きてさ」


 俺たちが魔王城へ到着すると、これこそザ・エルフであるイケメンフェイスのグラスがそう俺たちに謝罪しながら迎え入れてくれた。


 グラスと共に向かった会議室にはそこには元魔王のミュートに参謀で俺と同じ転生者でゴブリンキングのリン、事実的に魔術師の取り纏めを行っているエルフのロザンヌや四天王のジンと事務官代表のコリア、魔王軍の主要メンバーが集まっていた。


 何故かニューエルフのアルスも今だに里に戻らず当たり前のようにこの場にいるが、面倒なので触れないでおく。



「何があったの?」


 開口一番のルカの質問に、真剣な表情へと変わるグラス。


 これは余程重要な問題が発生したのか……。



「それがさぁ、今日は僕のお眼鏡にかなう可愛くてエロい女の子がいないか近くの街まで探しに行ってたんだけど……」


 と思ったら真剣な表情でアホな事を答えるグラス。


 何やってんだコイツは……。



「あっ、勘違いしないでね。一応師匠の傘下に入ってない街の偵察をするって言う大義名分の元、仕事として行ってきたんだよ。エロ可愛い女の子を探すのはあくまでもそのついでさ」


 一応とか言ってるし絶対一番の目的はついでの方だろ……この真態は。


 そんなグラスの本性を知っている仲間の目も厳しい中、特に気にした様子もないグラスは話を続ける。



「話を戻すけど、そこで知り合った胸の大きな犬人族のマロンちゃんに一通りペロペロしてもらった後に聞いた話だと……ウルフ族が何やら怪しい動きをしているみたいなんだよね……」


「ウルフ族……元四天王ランドの所か」


「そうそう、どうやらそのランドが主体で周りの反魔王派を集めて近々何かしようとしてるらしいんだよね」


 真剣な話をしている所悪いけど、犬人族の巨乳マロンちゃんとのペロペロが気になって話が入って来ないのは俺だけだろうか……。



「はっ! 心配しなくてもウルフ族はその横暴な態度で他の魔族から嫌われているから、何かしようにも人は集まらないだろう」


 それでも続けられる真剣な話に、気にしたら負けだと自分に言い聞かせ、気を取り直して集中する事にする。



「それが、そうでもないらしいんだよね……何てったって、鬼族もそれに賛同してるから」


「鬼族ッ!? あの魔族でも一二を争う強さを誇る鬼族がウルフ族なんかの味方をしているって言うのか!?」


 へぇー、そんな有名な種族なのか……。



「そうそう、滅多に他種族との争い事に関わろうとしない平和主義で有名だけど、一度戦場に出れば全てを蹂躙する無類の強さを誇る鬼族が、今回に限っては大々的にウルフ族を支持してるんだよねぇ……。ウルフ族と違って強さを笠にたてないから、強さを重んじる魔族にとってかなりの発言力を持ってるし、そのせいで結構な種族が集まってるらしいよ」


「まさか……」


「残念ながらグラスさんの情報は正しいようです」


 まさかの話に驚いているルカに目を瞑ったままのリンが答えた。


 アレはもしかして……。


「今、私のビジョンの魔法でウルフ族の集落を確認しているのですが……魔王様の考えに反対の意思を示していた多くの魔族たちが集まっていますね」


 ウルフ族の集落までどれだけの距離か知らないが、周辺にそんな集落があると聞いた事がないから歩いて数日の距離ではない筈。


 この手の魔法は遠ければ遠いだけ魔力の消費も激しくなるのに、決して多くない魔力でそれを成しているのだから……流石は我らが参謀だ。



 それにしても、そうか……。


 リンの話からこれから俺たちが対応しなくてはいけない問題がわかった……。




「……反乱」


 ルカの呟きに仲間たちに緊張が走るのだった。

投稿数100話&いつの間にか初投稿から1年経過。


読んでいただいている皆様のお陰でボーンライフも今回の投稿で100話目になります。

 最初に投稿してからいつの間にか1年たっているのでビックリです。

 これまで結構思い付きで話を付け加えている&付け加えた事を作者も忘れているので、話に統合性が取れていない部分もあるかと思います。

 本当に申し訳ございません。

 その場合はご指摘下さい(シレッと修正しておきます)

 こんな無知な文書の作品ですが、これからもよろしくお願い致します。



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