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超能力者の魔法世界紀行  作者: 富悠
99/103

ー99ー 飛空艇 ー4ー






「ぐ、ここは?」



 僕を襲ってきた男が目を覚ました。状況が掴めないようで唸りながら周囲の様子を確認している。



「あ、起きた」


「うわっ、なんだ!? 動けないぞ!?」



 顔を覗き込んできたマキナちゃんに驚いて飛び退こうとしたみたいだけど、ここに連れ込んでいた段階で縛り上げていたので、思うように動けず戸惑っている。



「そうか、俺は確か」


「ソリアッ!! 目が覚めたのか」


「お前ら。くそっ!! そっちも失敗したってことか」



 一緒に捕まった仲間を見て状況が理解できたのか悪態をついている。頭もはっきりしてきたみたいだしそろそろ話を聞いてもいいかな。



「おはよう。もうどういう状況かは飲み込めたよね?」


「テメエ、ロベリアの力が効いてなかったのかよ」


「ロベリア?」


「俺と一緒にいた女のことだよ。それよりなんでお前はあの時普通に動けた?」



 これはもしかしたら上手いこと異能について聞き出せるかな?



「そうはいっても僕はそのロベリアとやらの異能の詳細を知らないからね。概要だけでも教えてくれないと答えようがないよ」


「ソリア、よせ。こいつらさっきからお前達の異能について知りたがっていた。タダで教えてやることなんてない」


「おい、俺達を解放するってんなら話してやってもいいぜ」



 余計なことを。まあ、どうせ解放するつもりだったしいいか。



「僕らの知りたいことを全部話せばいいよ」


「反故にすんじゃねえぞ。とにかくさっきの話だけどよ、ロベリアの異能は指さした相手を一般人程度にまで身体能力を下げる力がある。だってのにテメエは変化がまるでないように動いていた。今までも変化に対応してそこそこ動ける奴はいたがテメエはそうじゃねえだろ」


「ああ、指さしてきたのはそういうことだったんだ。確かに君の言う通り僕は別にあの時弱ったりしてなかったよ」


「それが腑に落ちねえんだよ。今までも異能を防ぐタイプの獲物もいたがまったく効果が出なかったなんてことはなかった」


「たまたまそういった相手に出会わなかっただけじゃない? もしくは運よくはずれたとか」


「違う。指をさした直線上にいないと駄目なわけじゃない。おおよその狙いが付いていれば相手の魔力を基点に発動する」


「あー」



 その一言でどうして僕が無事だったか分かった。マキナちゃんも合点がいったのだろう。納得の声をあげている。

 

 もしかしたら普段のバリアで防げていたかもしれないけど、それが駄目でもどちらにしろ一切魔力が無い僕には通用しなかったろう。



「なんだよ、理由が分かったなら教えろ」


「君ね、自分が捕まってる自覚ある? まあいいけど、僕は特異体質で魔力が全く無いんだよ」


「はあ? そんなわけないだろ。この世界に魔力が無い生物がいるかよ」


「別に信じなくてもいいけどね、多分それが理由で僕には効かなかったんだよ」


「なんだよそれ、俺らの天敵みたいなもんじゃねえか」



 唯一の例外みたいなものだからか文句を言ってる。次はコイツの異能について知りたいな。



「それで君はどんな異能なの? ロベリアが君の様子を見て異能はしっかり効いてるみたいなこと言ってたけど」


「別に教えてもいいけどよ、なんだってそんなに俺達の異能を知りたがるんだよ。二体一でも負けたくらいだし興味なくてもおかしくねーと思うんだが」


「それは」


「それはねー、こっちのヤツが二人なら近接タイプには絶対に負けないって言ってたからどんなのか気になるんだ」



 マキナちゃんが途中で話に割り込んできた。聞いてるだけで暇になったのかもしれない。


 というかそんなこと言われてたんだ。ロベリアの異能は確かに厄介だけどそれだけで近接タイプを完封できるかな? 相手によっては弱体化された状態でも対抗できそうだけど。異能にシナジー的なものでもあるのかな?



「別にお前には聞いてねーんだけど。まあいいや、俺の異能は対峙している相手が弱体化した分だけ俺の身体能力が向上するってのだ」


「じゃあ相手が強ければ強いほどその分パワーアップするんだ」


「そうだ、だから俺の異能もしっかり効果を発揮したから弱体化してると勘違いした。そういえばロベリアの異能が通用しなかったのに俺の異能の効果があったのはおかしいな。なんでだ?」


「ああ、それは鍛錬のために普段から自分の力に制限を掛けてるからだと思うよ」


「じゃあテメエ、あん時は本気じゃなかったのかよ」


「うん」


「はあ、こりゃ無理だな。なんとか隙を狙ってと考えてたんだが手加減された状態であのざまじゃあな」


「もういいか?」


「あ、ごめんフィル。もういいよ」


「なら次は私の質問に答えて貰おうか」



 僕とマキナちゃんが知りたいことを聞き終わったと判断したのだろう。椅子に座って様子を見ていたフィルが立ち上がってソリアを見下ろしていた。








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