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超能力者の魔法世界紀行  作者: 富悠
97/103

ー97ー 飛空艇 ー2ー






 事態が動いたのは飛空艇が飛び立ってから三日後の事だった。


 それまでは特別トラブルが起きることも無く、平和に過ごせていたのだがその日は部屋から出ると何処かから探るような視線を感じるようになった。


 周囲を感知してもそれらしき人影は見当たらず、視線の主の正体はつかめていない。僕の気のせいかと思いマキナちゃんにも相談してみたところ、同じように視線を感じるとのこと。


 どうやら異能か何かで監視されているらしい。今のところ直接的な動きは無いがこの先どうなるかはわからない。なるべく早めに相手の情報を手に入れたいな。






―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 





 監視されるようになってからさらに二日後。


 いつなにがあるか分からないので、必ず僕かマキナちゃんのどちらかはフィルと一緒にいるようにしている。フィル本人も監視には気づいていたようで警戒してくれている。


 僕はマキナちゃんとフィルの二人を部屋に残して飛空艇を歩き回っていた。どこの誰が僕達を監視しているのか確かめる為だ。


 異能で遠距離から分からないように監視しているとはいっても何かしらの痕跡はあるはず。今までは飛空艇に流れる魔力やらの影響でうまくつかめなかったがそろそろ慣れてきた。あえて大きく飛空艇の中を動き回ってやれば、僕を追ってきている異能の力の流れもいつぞやの古代遺跡の時みたいに感知できるはず。


 ん? これかな? それらしき力の痕跡を捉えた。辿っていけば相手を割り出せるはず。大元を探りだそうと集中していると――――!?



「しくったな」



 相手を探ることに集中しすぎて周囲の警戒が疎かになっていた。


 いつの間にか僕の周囲には人がいなくなっていた。いくら飛空艇が広いといってもここまで人がいないなんてことは考えにくい。これは僕を襲うために人払いをしたってことかな。



「それで? 君たちは僕になんか用?」



 人払いされた空間で僕に向かって真っすぐ歩いて来る怪しい二人。見た感じ僕と同年代くらいの男女が会話しながら近づいて来る。



「こいつを仕留めるだけであんなに報酬をもらえるなんてラッキーじゃん」


「あんまり油断しないほうがいいんじゃない? 前のヤツは失敗したって話だし」


「三体一での話だろ? 一番厄介だったていうコイツは一人で引き離したし今度はこっちが有利。それに近接戦闘主体みたいだし楽勝だろ」



 男の方がショートソードを弄びながらこちらを見下し馬鹿にしてくる。会話の内容から察するにどうやら前回の襲撃者は生き延びたようだ。



「随分物騒な事を話してるなあ。どこの誰に頼まれたの?」


「これから死ぬ奴に話したって意味ないだろ? 心配しなくても今頃お仲間や王子様もあの世に行ってるさ」


「ふーん?」



 どうやら僕だけじゃなくてあっちにも刺客がいっているようだ。確かにもう戦闘が始まっている。痕跡を辿るのに集中しすぎたな。二人の周囲の感知も忘れてたなんて。


 感知してみたところ二人だけで問題なく撃退できそうだ。あまり急がなくてもいいだろう。


 それよりせっかく姿を現してくれたんだからこいつらから情報を手に入れたいな。どうにか逃げられないようにしないと。



「まあそう言わずにもっと話そうよ。僕は君達のことがもっと知りたいな」


「気持ち悪いこと言ってんじゃねーよ。テメエはとっとと死んどけや!!」



 男が一直線に突っ込んできた。大した速度じゃないしこの程度なら簡単に避けられる。真正面から来る以上なにか狙いがあるはずと警戒しながら構える。


 距離が半分程縮まったところで急加速してきた。だがそれでも前の襲撃者のほうが早い。頭、喉、胴体を狙って三段突きを放ってくるのを避けるべく身を翻す。



「弱体」



 避けようとした瞬間、後ろで待機していた女が僕に人差し指を向けていた。






―――――――――――――――――――――――――――――――――――――






 ソラが相手を探ってくると言って部屋を出てからしばらく。怪しげな三人が部屋に近づいて来るのに気づいた。どうやら気配を消して奇襲するつもりのようだ。気配だけなら私も気づかなかったが索敵魔法を展開していたおかげで気づけた。



「フィル」


「ん? どうした」


「誰か来てる。多分敵」


「なに? 部屋の中で暴れられるのは敵わんな。外に出るぞ」



 部屋の中だと対処しにくいし、大勢がいる中では襲われにくいかな? フィルを連れ立って部屋を出る。


 部屋を出て移動しようとしているのに勘づいたのか急速に接近してくる。反対側に逃げようとするももう一人そちらからも接近してきていた。こいつっ、さっきまで普通にしてたから敵だと思わなかった。


 全員男でソラと同じくらいに見える。一人がナイフ片手にこちらに声をかけてきた。



「フィルナンド王子だな?」


「誰の事だ?」


「しらばっくれても無駄だ。悪いがその命、もらい受ける」



 廊下で挟み撃ちにされちゃった。片方は一人だけだしフィルにお願いできるかな?



「ごめんフィル、そっちの一人お願いしてもいい?」


「任せておけ、このくらいならどうとでもなる」


「言ってくれる」



 フィルの言葉に苛立ったのか後ろで接近戦を始めている気配を感じる。私も早くこの三人を倒さなきゃ。



「悪いけどフィルの加勢にいきたいからさっさと終わらせてもらうよ」


「ほざけ!!」



 一人が体勢を低くして足を狙って仕掛けてくる。他の二人は跳びあがり壁を蹴って上から襲ってくる。と見せかけて私を無視してフィルを狙ってる。


 その場で軽く跳んでナイフの一閃を避けると同時に顔に目掛けて、周囲に被害が出ないよう小さな火の玉を飛ばす。顔を傾けて躱したみたいだけど体が流れてる。



「くっ!!」


「あっちいって」


「ぐぅっ!!」



 そのまま蹴り飛ばして距離を離した隙に、私を無視した二人の前に小さな竜巻を展開する。



「フィルの前に私が相手でしょ」


「「ぎゃっ!!」」



 フィルを狙っていて私に注意を向けていなかったのか、そのまま竜巻に突っ込み壁に叩きつけられて二人共失神した。



「なんだと!?」



 二人が失神させられたのを見て驚いているみたいだけど、驚きたいのはこっちだった。前に襲ってきたヤツより随分弱い。



「よくこの程度で襲ってきたね。前のヤツに私達のこと聞いてなかったの?」


「くそっ!! あの男さえなんとかすれば後は大したことないんじゃなかったのか?」



 あの男? ソラのことかな。



「まあいい、今にあの男を始末して二人が戻ってくる。そしたら我々の勝ちだ」


「ソラの事も襲ってるんだ。でもソラが負けるとは限らないんじゃない?」



 魔法を警戒してるのか近づいて来ない男を見ながらフィルの様子を窺う。


 相手はフィルの懐に潜り込もうとしているようだが剣先で牽制されて上手く近づけないでいる。あちらは任せて問題なさそう。



「あの男が近接戦を主体にしていることは分かっている。今襲っている二人には近接戦では絶対に勝てない。仮に遠距離の手段があったとしても普段通りには確実に戦えないからな」


「随分その二人を信頼してるんだね。何か近接特攻みたいな異能でも持ってるんだ?」


「さあ? どうだろうな。とにかくお前達が死ぬのは時間の問題だ」



 さっきからペラペラよくしゃべるなあ。もしかして時間稼ぎのつもりかな? あ。



「そうやって時間を稼いでいるつもりかもしれないけど意味なかったね」


「は?」


「後ろ見てみなよ」


「お待たせー。二人共どうやら怪我してなさそうだね」



 男女を引き摺ってソラが奥から歩いてきてた。

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