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超能力者の魔法世界紀行  作者: 富悠
90/103

ー90ー 襲撃 ー2ー






(危なっ!!)



 刀身が喉を貫く刹那、上体を反らし短剣を避ける。


 顔面スレスレを通り過ぎる短剣に肝を冷やしていると、眼前にあった短剣が襲撃者の手の内でクルリと回転する。


 逆手に握られた短剣が振り下ろされる前に、避けた勢いを乗せてバク転しながら突きを放って伸び切った腕に向かって蹴りを放つ。



「おっと」



 腕を狙った蹴りは寸前に察知され余裕を持って回避されてしまう。


 襲撃者は少し距離を取った位置で構えたまま動かない。仕切り直しのようだ。


 なるべく隙をさらさないよう真正面に襲撃者を見据えたままヤツに聞かれないようマキナちゃんとフィルに声をとどける。



『マキナちゃん、フィル、反応を見せないで聞いていてほしいんだけど』



 二人はピクリと動きはしたが、声は出さずに聞いていてくれている。



『多分コイツ、姿を隠す異能か魔法を使ってる。二人が見えるようにできるか試してみるから、もし見えたら足で地面をこすってくれ』



 襲撃者が位置を少しずつずらしている。


 動きに合わせて体の向きを修正しながら二人に向かってバリアを張る。


 コイツの能力が前にロジーアの街で見た奴と同じような原理ならこれで二人も見えるはず。


 後ろから地面をこするような音が聞こえてくる。どうやら予想が当たったようだ。



『二人は見えていることをなるべく気づかれないようにして、チャンスが来たら大技を当ててくれ』



 襲撃者に向かって力強く踏み込む。今度はこちらから攻め込む。


 近づく僕に向かって短剣が襲ってくる。伸びてくる短剣を柄をつかんで逸らし、右こぶしを思いきり叩き込む。


 胴体にめがけて放ったそれは間に入り込んできた左手に防がれる。


 右こぶしを掴まれた状態から抜け出す前に、足払いをかけられる。


 動きを感知していたので避けられたが、続く短剣の柄は避けられなかった。


 左腕でガードするも、かなりの衝撃が襲ってくる。さらにそのまま右腕を引っ張られ地面に叩きつけられた。


 仰向けに倒れた僕を貫かんと短剣の切っ先が迫ってくる。なんとか避けようとするが間に合わない。


 切っ先が僕に触れるまであとわずかというところで襲撃者が急にその場を飛び退く。



「ちっ」


「どうソラ? 当たった?」



 ヤツがいた地面から槍が突き出ている。見かねたマキナちゃんが助けてくれたようだ。


 自分は姿が見えていないというマキナちゃんの演技に乗っかる。



「いや、はずれた。でも助かったよ」


「まぐれか? 運がいいな」


(にしてもマズイな。僕より接近戦が強い)



 起き上がり、ヤツの様子を確認する。構えてはいるが、余裕を感じさせる立ち姿だ。


 実際なんとか感知をしてついて行ってるが、攻めきれる自信が無い。とりあえず遠距離攻撃に切り替えてみる。



「 ”流れ星” 」



 不可視の弾丸がヤツに向かって飛んでいく。このまま進めば直撃するといったところで急に身をかがめて突っ込んできた。



「何してるか知らねえがそんなもん当たらねえよ!!」



 どうやってか知らないが ”流れ星” に気づいているみたいだ。襲いくる攻撃を必死になって避ける。


 急所を狙った短剣の一撃、合間合間に挟まれる徒手空拳。息もつかせぬ連撃を避けて、逸らして、防ぐ。


 感知がなければ今頃僕は血まみれでこの場に横たわっていただろう。


 念動力も使いたいが相手の動きが早くて今の僕では行使する時間が足りない。


 それにこのレベルの相手に影響を与えるとなると二人に張ったバリアを解除しなければならない。いつまたフィルに襲い掛かるかわからない以上、姿が見えるようにはしておいたほうがいい。



「妙な奴だな。オレの方が技量が上なのに随分と粘られる。オレに気づいたことといい防御系の異能を持ってやがるな?」



 やはり本来ならヤツの姿は見えないようだ。おかげで僕の異能の事を勘違いしている。



「だんまりかよ、図星ってことか? まあいい、あんまり時間をかけても仕方ねえ、これで終わりだ」



 襲撃者が突然構えを解き、脱力したかとおもうとその姿が消えた。


 あまりの速度に捉えられないとかではない、その場から忽然と姿を消した。


 その姿が目に映らず、動いている音も耳に届くことが無い。


 目でも耳でも捉えることのできないヤツが、僕に近寄り殺そうとしているのに()()()()()()()()()()()()


 先程とは原理が違うのか、今度は僕もヤツの姿を見ることはできない。


 しかし、感知は問題なくすることができている。このままヤツが油断して近づいたところに思い切り一撃を食らわせてやる。


 動揺して周囲を確認するフリをする僕に向かって、ゆっくり短剣を振りかぶり隙をさらした瞬間、全力で胴体を蹴りつけた。



「ガハッ!? な、何っ!?」



 襲撃者が血反吐を吐きながら地面と平行に吹き飛ばされていく。


 気づいていないと思っていた相手に反撃され、腹を抑えながら混乱しているヤツの背後に先回りし、思い切り空に向かって蹴り上げる。



「今だっ!!」



 大技を準備していた二人に合図する。異能の効果を意識的に上げていたのも動揺したせいか解除されている。


 二人にもしっかり姿が見えるようになっているようで、二人の高まった魔力が解き放たれた。



「引き裂けっ!!」


「燃え尽きちゃえっ!!」



 フィルから放たれた風の刃の嵐と、マキナちゃんから放たれた炎の奔流が混ざり合い炎の竜巻に変化する。



「くそっ!!」


 その身に迫る脅威に目を見開き、咄嗟に身をよじってその場を離脱する襲撃者。


 驚異的な動きで魔法の直撃を避けるも、余波に身を焼かれ吹き飛んでいく。


 二人が魔法を放った時からバリアを解除し、力を溜めていた僕はヤツに向かって飛び出す。


 空中で無理な動きをし、余波に吹き飛ばされている襲撃者はまだ体勢を整えられていない。


 きりもみしている襲撃者にむかって拳を突き出す。



「ぶっとべええええええ!!」


「ゴボッ!?」



 手に伝わる骨を砕いた感触。一瞬、殺人をすることになるかもしれないと心が揺れる。


 しかし、このままだと自分達が殺されると迷いを振り切り拳を振りぬく。


 襲撃者は体をくの字に折り曲げながらとてつもない速度で彼方まで飛んでいき、あっという間に見えなくなった。






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