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超能力者の魔法世界紀行  作者: 富悠
83/103

ー83ー 迷宮探索に耽る日々 ー17ー






 フィルは現在、非常に焦燥感に駆られていた。想定していた以上にウィンドドラゴンが強かったためだ。



「くそっ!!」



 ウィンドドラゴンが周囲に纏っている暴風の障壁を突破することができずその身に剣を届かせることができない。可能性があるマキナの魔法も自身の援護の為に短時間で使用されるので魔力を溜めることができていない。


 ウィンドドラゴンが飛行するのを防ぐために接近戦を仕掛けていたのに防ぎきる事ができず、マキナの魔力を溜める時間を稼ぐ囮になるどころか援護をさせて邪魔をする始末。



「せめてソラが無事なら……!!」



 初っ端の咆哮に耳を塞ぎ行動不能になっていた自分と違い、単身でウィンドドラゴンと向かい合った。それどころか自身が復帰するまでの間、一つ一つが致命的な破壊力の攻撃を掻い潜り手傷すら負わせていた。マキナの援護が無ければ今頃命は無かったであろう自分とは大違いだ。


 そんなソラもウィンドドラゴンの体当たりの直撃を受け無事かどうかもわからない。


 ソラやマキナと違いウィンドドラゴンが目的であるはずの自分が一番この場で役に立っていないことにフィルは忸怩たる思いを抱きながらウィンドドラゴンの周囲を飛び回っていた。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






 全身に走る激痛を無視して足を動かす。足が無事だったのは幸運だった。移動するだけなら空を飛べばいいが、()()をしながら飛行することは今の僕のコントロールではまだできない。


 折れ曲がっている腕を片方ずつ慎重に元の位置に戻していく。意識が飛びそうな程の痛みを発するその行為に脂汗を流しながらも歯を食いしばり耐える。


 なんとか耐え抜き形を整えた両腕を異能を使って修復していく。以前レン君達を助けた事が役に立った。他人の身体と違い、自身の身体は格段に感知も操作もやりやすい。折れている骨を念動力で固定し()()()()()。外傷と違って構成していた物は全て内部に残っている。怪我をする前と同じになるように全て元の位置に戻るよう操作して再構成した。


 同じように損傷している筋肉や腱、血管なども修復していく。両腕の治療を終えた後は全身の傷に入り込んだ砂利などの不純物を排除して傷を塞ぐ程度に治しておく。外傷は体組織が足りなく完全に元通りとはいかなかった。時間を掛ければなんとかなりそうだったが今はそこまで時間に余裕が無い。


 治療に集中していたので歩く速度が遅くなっていた。地面に叩きつけられてから数分経ったがまだマキナちゃんの元までたどり着いてない。傷も治ったので歩くのは止め、思い切り踏み込み駆け出す。


 走っている際中、フィルが話していたドラゴンの弱点について思い出していた。昔の魔法使いが見抜いたという全身に生えている鱗。その中のたった一枚。


 先程ウィンドドラゴンの体当たりで接触した際、魔力が同じ方向に集まっているのを感じた。最初の接触の際は魔力を使っていなかったからか感じなかったがあの一瞬確かに感じた。一瞬だったため大体の位置しかわからなかったが狙う価値はあるだろう。


 ようやくマキナちゃんの所まで来れた。僕が近づく気配に気づいたのかマキナちゃんが振り返る。



「ソラ!!」


「ごめん、下手うった」


「いいよ、無事でよかった」



 ウィンドドラゴンの方に向き直ったマキナちゃんはフィルの援護の為魔法を放つ。フィルに喰らい付こうとしていたウィンドドラゴンは飛んできた魔法に気づき障壁を厚くする。その隙に離脱するフィル。



「マキナちゃん、あの障壁貫けそう?」


「結構魔力を溜めないと厳しい」


「最初の雷は?」


「連射はできないけど時間をかけずに放てるよ」


「わかった。障壁は僕がなんとかするよ」


「撤退したほうが良くない?」


「試してみたいことがあるんだ。それが駄目だったら逃げよう」


「んー、分かった。結構自信ありそうだしね。もうさっきみたいのはヤだよ?」


「それは僕ももう勘弁だよ。じゃあ行ってくる」



 地を蹴りウィンドドラゴンに向けて飛び立つ。リベンジ開始だ!!



 








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