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超能力者の魔法世界紀行  作者: 富悠
82/103

ー82ー 迷宮探索に耽る日々 ー16-






 不味いな。飛び立とうとしてる。


 空を飛ばれてしまったらこちらの攻撃手段がかなり限られてしまう。なんとか妨害できないか ”流れ星” を放ち続けるが、体が傷つく事を意に介さず遂に飛び立ってしまった。


 翼の皮膜に向かって ”流れ星” を当てるも多少傷つきはしても風穴を開けることができない。見た目に反してかなり頑丈なようだ。


 僕も空を飛ぶことはできるようになったが、手足を操るかのように飛行するレベルまでは達していない。風属性を操るドラゴンに空中戦を挑んだところで結果は火を見るよりも明らかだ。


 さて、どうやって戦おうかと内心で頭を抱えていると羽ばたいているウィンドドラゴンに雷が落ちた。



「グギャアアアアッ!!」



 雷が直撃したウィンドドラゴンはきりもみしながら頭から墜落した。凄まじい音を立てながら衝撃が地面を走り抜ける。



「ごめん、ソラ。遅くなった」


「マキナちゃん!!」



 ウィンドドラゴンの咆哮から立ち直ったマキナちゃんが隣に立つ。



「今のはマキナちゃんが?」


「うん、ソラに集中していて私の事に気付いていなかったから当てやすかったよ」


「よし、今のうちに追撃を……」



 ―――雄叫びが響き渡る。


 マキナちゃんと同じく咆哮から立ち直ったフィルがウィンドドラゴンに切りかかっていた。マキナちゃんの魔法のダメージから立ち直れず、身を起こそうとするも完全に体勢を整えれていないウィンドドラゴンに剣を振り下ろす。



「グオアアアアッ!!」



 鱗の生えていない比較的柔らかいであろう腹部が大きく切り裂かれる。胴体が裂かれ血が噴き出る痛みに悲鳴を上げながらも、鋭い爪の生えた前足をフィルに振りかざすウィンドドラゴン。


 残心をとり反撃を警戒していたフィルは素早く身を翻し己を引き裂こうと迫りくる凶刃から逃れた。


 フィルを援護するべくウィンドドラゴンに向かって駆ける僕だったが、今度はフィルだけに集中していた訳ではなかったのか僕を近づかせまいと迎撃してくる。


 先程と同じく暴風で吹き飛ばそうとしてくるのを ”天の川” を使って受け流す。少し離れた位置にいたフィルは吹き飛ばされてしまったようだが、風魔法を操りマキナちゃんの傍に軽やかに着地していた。


 再度飛び立とうとしていたウィンドドラゴンの至近距離にまで接近した僕は、フィルがつけた傷を狙って飛行の妨害を試みた。しかしウィンドドラゴンは尾で地面を抉り、大量の土砂をまるで散弾のように僕に向かって飛ばしてきた。咄嗟に跳躍し空中に跳びあがる事で難を逃れる事ができたが、その隙にウィンドドラゴンに飛び立たれてしまった。


 僕達に散々傷をつけられた事で怒り狂っているウィンドドラゴンに向かって再度マキナちゃんの雷の魔法が落ちる。だが先程とは違いウィンドドラゴンに直撃する前に何かに弾かれたかのように散り散りに枝分かれして消えた。



「防がれた!!」


「不味い。来るぞ!!」



 ウィンドドラゴンの瞳は怒りに満ちている。僕を睨みつけながら高速で突っ込んできた。なんとか避けようとするもあまりの速度に間に合わなかった。



「間に合わない……!!」



 せめてもの抵抗とばかりに両腕でガードする。両腕に翼が直撃し弾丸のような速度で地面に墜落する。



「ソラ!!」


「ぐっ…… うぅ」



 あまりの威力に腕が爆発したかと錯覚した。恐る恐る確認したが吹き飛んではいなかったが両腕共あらぬ方向に折れ曲がっている。腕以外にも地面に叩きつけられたせいで全身ズタボロだ。このような状態になっても意識が飛ばないなんて随分タフになったものだと変なところで感心する。


 なんてそんな事を考えている場合ではない。フィルが空を飛び接近戦を仕掛け、マキナちゃんが遠距離で魔法を放っているが全然通用していない。


 ウィンドドラゴンの周囲に張り巡らされている暴風の障壁によってフィルは近づくことができず、魔力を溜め切れていないマキナちゃんの魔法は障壁に防がれている。先程の雷の魔法も障壁が一点に集中することで防がれたのを感じた。今の状態では決め手が無い。


 ボロボロの体を無理やり動かしマキナちゃんの元まで向かう。現状ではあの障壁を貫けるくらい魔力を溜めたマキナちゃんの魔法か障壁を集中させて意識外から攻撃するしか方法が無い。しかしそれほどまで魔力を溜める時間は無いし、意識外からの攻撃も仕切り直せる位の攻撃をする必要がある。


 僕の ”流れ星” ではそこまでの威力は出ないしフィルのウィズコングに当てた攻撃も瞬間的に出すのは難しいだろう。なんとかして現状を打破する方法を見つけないとこのままでは全滅だし撤退するのも難しそうだ。












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