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超能力者の魔法世界紀行  作者: 富悠
77/103

ー77ー 迷宮探索に耽る日々 ー11ー






「なにコイツッ!?」


「ウィズコングだっ!! エビルエイプとは比べ物にならないぞ!!」



 フィルが言うには目の前のゴリラはウィズコングというらしい。


 ウィズコングが威嚇を止めたかと思うと大きく体を捻る。全身の筋肉が躍動して今にも爆発しそうな力を感じる。明らかな投擲の予備動作に全員で射線から逃れるのと同時にウィズコングが手に持つ枝を投擲してきた。



「グアアッ!!」


 尋常ではない速度で飛んできたそれは先に移動していた僕達には当たらなかったが、後ろの樹に直撃したかと思うとそのまま貫通してさらに後ろの樹に突き刺さった。



「あんなの当たったら無事じゃすまないぞ!!」


「フィル!! あいつの事知ってるんでしょ、情報はないの!?」


「見た通りとんでもない威力の枝を投げてくる!! あの枝はあいつが魔法で生成した物だから魔力が尽きない限り弾数に制限は無い。あの枝の生成以外にも相手を妨害するような魔法を使うと以前本で見た!!」


「他には!?」


 そう言っている間に次の投擲の準備をしている。このまま離れているだけだと狙い撃ちにされるだけなので接近して妨害を試みる。



「させるか!!」



 投擲の為に無防備に見せている背中に思い切り殴りかかると、ウィズコングは捻っていた体を戻した勢いを乗せて拳を振り下ろしてきた。



「ガアッ!!」


「くっ!!」



 咄嗟に狙いを変えて拳を迎撃する。ぶつかり合う拳と拳。一瞬の均衡の後、押し負けて一気に吹き飛ばされる。吹き飛ばされる勢いを利用して二人の元へ着地する。



「痛ったぁ~」


「後はとんでもないパワーの持ち主だから殴られると危険だ」


「見たら分かるよ!!」


「いや、本当にとんでもないよ。最近は少し力も付いてきたと思ったんだけどな」


「一瞬とはいえ均衡しただけでもおかしいぞ。どんな力をしているんだ」



 フィルが呆れたように言ってくる。ウィズコングは僕がまた距離を取ったからか投擲の構えを見せている。無策で止めようとしても先程の焼き直しになるだけだろう。



 とりあえず接近せずに妨害してみようと ”流れ星” を放とうとすると、先にマキナちゃんの魔法が発動した。


 正面からウィズコングに迫る複数の氷の槍、周囲を取り囲むようにして迫る風の刃、地面から発射される土の槍。


 襲い来る複数の魔法に対してウィズコングは意に介さず、その場で跳躍して枝を投擲してきた。土の槍は跳躍することで避け、風の魔法は直撃するもまともな手傷を負わせることはできず、氷の槍に関しては投擲された枝に全て破壊された。それどころかそのまま僕らまで向かってきたので、枝の側面を裏拳で弾き進行方向を変えることで直撃を防いだ。



「嘘っ!? 全部対応された!?」


「あの風の魔法、結構な威力があったはずだ。それがあの程度のダメージとは耐久力もかなりのものだ」


「この先に上への道があるかもしれないなら倒すしかない」



 ウィズコングは投擲では埒が明かないと思ったのか今度は枝を生成せずこちらに直接襲い掛かってきた。巨体に似合わない素早さでこちらに向かってくる。


 いくらマキナちゃんが接近戦もできると言っても遠距離で魔法を使ってもらうほうが都合がいい。こちらに完全に接近されるまえに僕も突っ込み少し離れた位置で接近戦を仕掛けた。



「フィル!! こいつをどうにかできるような攻撃はある!?」


「あるがそいつの攻撃を避けて当てられる気がしない!! かなり集中する必要があるし時間もかかる!!」


「わかった!! 直接相手をするのは僕がやる。フィルはマキナちゃんを守りながら可能なら攻撃の準備を!! マキナちゃんもさっきより強い魔法の準備をお願い」


「やってみよう。そっちは任せた!!」



 フィルから返事が返ってくる。マキナちゃんからは返ってこないが言う前から準備してくれていたようだ。


 ウィズコングは先程のぶつかり合いで僕の力を警戒しているのか、僕が接近するとその場で一旦停止した。僕も立ち止まり様子を見ているとじりじりと距離を詰めてくる。

 

 僕からは動かずその場で迎撃の用意をしていると足元に魔力が収束し始めた。咄嗟にその場を飛び退くと、先程まで居た場所から蔓が発生していた。感知できたので蔓に拘束されることは避けられたが、回避の隙を狙ってウィズコングが攻撃を仕掛けてきた。


 振り回される右腕をなんとか屈んでやり過ごす。掠った後ろ髪が何本か持っていかれる。間髪入れずに左腕を叩きつけてきたので横に避けて脇腹に踵を叩き込む。



「グアア!!」



 衝撃を徹してやると流石にダメージを負ったのか悲鳴を上げるが動きを止めず、周囲を大きく薙ぎ払ってくるので一旦距離を取る。


 一瞬も怯まず反撃されるのは少し予想外だった。この分だとワイルドベアの時のように衝撃を蓄積させるのは難しいかもしれない。


 暴れているウィズコングに距離を取りつつ様子を見ているとダメージが凄い勢いで回復しているのに気づいた。とんでもない修復能力だ、これでは少しづづ削る方法が使えない高威力の攻撃で一気に仕留めなければ。完全に回復して僕に向き直るウィズコングの対策にマキナちゃんやフィルに頼るだけでなく僕も何かできないか頭を悩ませながら戦闘を再開した。

 






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