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超能力者の魔法世界紀行  作者: 富悠
74/103

ー74ー 迷宮探索に耽る日々 ー8-






 頭上高くに生い茂る枝葉が太陽の光を遮り、森の中は全体的に薄暗い。森での暮らしが長いマキナちゃんや、異能で周囲を把握できる僕にとっては移動するのに然したる影響は無いが、森での行動に慣れていない人間にとっては進みづらい環境だろう。



「フィル、足元とか大丈夫? 歩きづらいならペース落とすけど」


「ああ、これぐらいなら問題ない。今のままのペースで大丈夫だ」



 若干歩きづらそうにはしているが特に無理をしている様子も無い。強がりとかじゃなく本当に大丈夫そうだ。時折枝葉の隙間から差し込む光を鬱陶しそうにしながらもしっかり僕達の後ろについて来る。



「それにしても二人共森での行動は慣れてそうだな。森人種のマキナは兎も角、ソラもこの薄暗い森の中を軽々と進んで行くじゃないか」


「僕は以前森の中で暮らしていたからね。フィルの言う通り慣れているんだ」


「どうりでな。森の中では正直私は役に立たなそうだ。周囲の警戒はしておくが探索は二人に頼り切りになりそうだ」


「慣れや向き不向きもあるしその辺はあまり気にしなくていいよ。人手が増えただけで大分違うから」



 この階層で一人で生き残っていただけあってかなり強そうだ。これなら警戒も十分任せられるし、睡眠時間の確保もやりやすくなる。


 マキナちゃんを先頭に森の中を進んで行く。フィルと出会ってから数時間が経過した頃、今まで影も形も無かった魔物の気配が急に増えてきた。


 相手も僕達に気付いているのかこちらに向かっているようだ。複数体でまとまって行動しているようで、ある程度の距離に近づくと散開してこちらを包囲する動きをしている。



「ねえフィル、私たちはこの森に入ってから一回も魔物と出会ってないんだけどどんな魔物が生息しているか知ってる?」


「いや、私もこの森に入ってから一度も魔物を見かけてない。今こちらを取り囲もうとしている魔物が初遭遇だ」


「そっか、急に出てきたしこっちに巣でもあるのかな?」



 急に現れ始めた魔物に疑問を持ったのかマキナちゃんがフィルに確認している。フィルも今まで見ていなかったようだから、マキナちゃんの言う通りこの先に巣があるのかもしれない。



「どうする? 進む方向変える?」


「変えたところでこの先に何かあるんだったら結局行く必要があるんだしこのままでいいんじゃない?」


「そうだね。僕達はこのままでいいと思うんだけどフィルはどう? 何か案はあるかな?」


「いや、私もこのままで構わない。この先に上への道があったら目も当てられないからな」



 方針が決まった頃には相手も準備が終わったのか目の前に姿を現した。


 発達した前腕に全身を毛で覆われた人型の魔物。猿によく似た魔物が僕達の事を嗜虐心に満ちた目でいやらしく見つめている。



「エビルエイプか、迷宮で出るとは聞いていなかったが」


「知ってるの?」


「少人数の人間を攫って巣で玩具にして嬲り殺す性悪な猿だ。人を痛めつけて悲鳴を聞くことを好むらしい」


「うわ、気色悪」



 フィルがこの魔物の事を知っていたらしく、簡単な概要を説明してくれる。


 包囲している魔物達の様子を窺うが動く気配が無い。目の前に三体だけが現れて他の魔物は姿を見せないので、この三体を囮にして隙を狙うつもりなのかもしれない。



「フィルに隠れてる半分任せても大丈夫?」


「問題ない」


「じゃあ僕は残りの半分を相手するよ」


「私は目の前の三体を相手するからそっちはお願い」



 マキナちゃんが目の前の三体に向かって土の魔法を放った。地面から鋭い土の槍が何本も発射される。野生の勘故かその場を散開し避けるエビルエイプだったが、跳びあがって避けた一体に氷の槍が突き刺さる。早速一体仕留めているのを横目に僕は隠れている魔物を引き摺り出すべく行動を開始した。






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