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超能力者の魔法世界紀行  作者: 富悠
72/103

ー72ー 迷宮探索に耽る日々 ー6ー






 下の階層に繋がる大穴を見た事によって空間の捻じれを感知できるようになった僕は、通常通りの上の階層に行くための階段の他に、大穴のような空間の捻じれによる上の階層への移動手段も探せるようになった。


 これからは階段以外にも上の階層に繋がるものはないか注意深く調べようとマキナちゃんと話してからしばらく経った。


 外と同じように見えても違う部分は当然あり、その一つが夜が来ないというものだった。常に太陽が眩く輝いており、おかげで時間の経過が分かりづらい。食事や睡眠の回数を考えるとおそらく数日は経っているはずだ。



「ソラ~、なんかあった?」


「全然、草と木ばっかり」



 このやり取りもしょっちゅう行っている。数日間も代わり映えのしない風景を見続けてマキナちゃんも食傷気味のようだ。


 食事は飽きてきたがラッシュカウで賄えてる。体の汚れも魔法や異能でどうとでもなる。睡眠だけは周囲の警戒が必要な関係上、交互に取らなければいけないので行動できる時間が少し減ってしまっている。



「ん?」


「何? 何か見つかった?」



 マキナちゃんはよほど刺激に飢えていたのか、僕が出した疑問の声に凄い勢いで反応してきた。



「いや、大分先で木を大量に感知したんだ。森みたいになっているんだけど……」


「森? でもそんなの見当たらないけど」


「うん、だから不思議に思って。もしかしたら目に見えないような仕掛けがあるのかも」


「とりあえず近くに行って見ようよ」


「そうだね、上の階層に行くための手がかりが何かあるかもしれない」



 元気を取り戻したマキナちゃんが僕を急かしてくる。早くこの階層を抜けたいのは僕も同じなので、逸る気持ちを抑えて森に向かって足を動かす。


 森に気付いてからしばらく、後数分もしないうちに到着する距離まで近づいたが一向に森はその姿を見せない。しかし僕の異能は森はすぐ近くにあると伝えてくる。



「ねえ、まだ森までつかないの?」


「もう目と鼻の先のはずなんだけど見えないな。反応はちゃんとあるんだけど」


「魔力は感じないから魔法ではないと思うんだけど。それともわからない位上手く隠してるのかな?」


「どうだろう? ここが森との境界線になってる。まずは中に入ってみようか」



 森の中に足を一歩踏み入れた途端、鬱蒼とした密集している木々が目に入った。森の外からでは全くその姿を確認することはできなかったのに、中に入り込んだ瞬間それが嘘のように僕らの目の前に姿を現した。



「これは……?」


「幻術だ。それにしても森全体を見えなくするなんて」



 マキナちゃんの言う通りこの森はかなり広い、森全域に幻術を仕掛けるなんて相当な力の持ち主だ。まだ見ぬ術者の力量に戦慄しながら周囲を見渡す。外から見た森のように見えないけれど感知できるといったものは無い。


 森の内部から外を見てみるとどうなっているのかと振り返ってみる。幸い普通に外が見える。内部からだと今度は外との境界が分からないということは無いようだ。



「奥に進んでみよう。わざわざ隠されてるくらいだし何かあるかもしれない」


「わかった。にしても悔しい~、全然気付けなかったよ」



 マキナちゃんが幻術を見抜けなかったことに悔しがってる。この反応を見るにこれも魔法の一種だったのだろうか。


 秋の夜長を思わせるような虫の鳴き声が耳に入る。大きく伸びた木々が太陽の光を遮って森は薄暗くなっている。他にも餌を探して森を駆けまわっている小動物の気配なんかも感じる。森の中には小動物や虫なんかは生息しているが、今のところ魔物の存在は感知できない。


 動物や虫以外を感知できない森の中を目視でも確認するよう探索していると他の反応を捉えた。この反応は!?



「マキナちゃん、こっち!!」


「何!? 急に走り出してどうしたの?」


「僕達以外の人間の反応を捉えた!! 休憩してるみたいだけど移動しないとも限らない。今のうちに会いに行こう」


「人がいたの!?」



 捉えた反応に向かって走り出す。急に走り出した僕を追いかけてマキナちゃんも走り出した。反応は一人だけだけど他の人はいないんだろうか? とにかくここまで潜ってきた探索者だったら上の階層に行くための階段を知っているはずだ。やっとこの階層を抜けられると期待に胸を躍らせてその場にたどり着く。


 たどり着いたそこにはまるで絵本かなにかに出てくる王子様のような男がいた。









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