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超能力者の魔法世界紀行  作者: 富悠
69/103

ー69ー 迷宮探索に耽る日々 ー3ー






 迷宮 ??階層



 迷宮の壁に開けた穴の先、謎の空間に吸い込まれた僕とマキナちゃん。


 飛んで三階層に戻ろうとするも異常な空間なためか、自分の体勢を把握できなく上手く飛ぶことができない。もたついている間にあっという間に三階層への穴を見失ってしまった。


 マキナちゃんの手をしっかり掴み、逸れないよう抱きしめる。その状態のままどれだけ時間が経ったのか数時間は経った気もするし、数分しか経っていない気もする。この空間に飲み込まれて時間経過も分からず自分が今どうなっているかもわからない。落ちているのか上昇しているのか、はたまた一切動いていないのか全く把握することができない。



「ごめんね、ソラ」



 密着している僕が聞こえるかどうか、いつになく弱弱しい様子で俯きながら小さく呟くマキナちゃん。普段は明るく元気なのが基本のマキナちゃんにしては珍しい。自分が原因でこんな状況になっていることに流石に責任を感じているようだ。



「ちょっとはしゃぎすぎちゃったね」


「ごめんなさい」


「そう何度も謝らなくても大丈夫だよ。それよりもこの状況をなんとかする方法を考えようか」



 さて、そうは言ったもののどうしようか。先程から周囲を探ってみているが、常に不規則に変化し続けているようでろくに情報を得ることが出来ない。迷宮は時空間が異常だというのは本当だったらしい。


 自分で移動しようにも移動できているのかもわからないし、こうなったら今度はこっち側から壁を破壊してやろうかと考えていると僕達が吸い込まれた穴が見えた。全く近づけなかった先程とは逆にどんどん穴に向かって引き寄せられている。抵抗することもできないのでただ身構えたままその瞬間を待つ。


 穴を抜けるとそこは全く見知らぬ風景だった。僕達が少し前までいた三階層とは明らかに違う。迷路のような構造をしていた三階層までとは違い、刳り貫かれたような巨大な空間であった。中心には巨大な蜂の巣があり、この空間を半分に隔てているかのようだった。


 後ろを確認してみると僕達が通ったはずの穴は影も形も無くなっていた。ただその先に下の階層に降りるための階段が見えた。上に向かうための階段が見えない以上、反対側の空間にあると考えるべきだ。そのためにもあの蜂の巣を通り抜けなきゃいけない。ここが何階層かもどんな魔物が出てくるかもわからない。事前情報が全くない状況なので油断は欠片もできない。



「マキナちゃん上まで向かうよ。意識は切り替えれる?」


「うん、いつまでも落ち込んでなんていられない。とにかく地上に戻らなきゃ」



 気にはしているみたいだけどしっかり気持ちは切り替えれたみたいだ。周囲を警戒しながら蜂の巣の中に侵入する。



「マキナちゃん、異能で内部構造を把握してなるべく最短で反対側に抜けられるように進もうと思う。警戒もするつもりだけどもし見逃していたらお願いね」


「わかった。道案内は任せるからこっちは任せて」



 巨大な蜂の巣とはいってもロジーアの街よりは小さくて助かった。ギリギリ巣の全容を感知することができる。巣の中にはうじゃうじゃ魔物がいるのが分かる。最短距離を突っ切るとかなりの数魔物に出くわしそうだし、だからといって接触を避ければかなり遠回りになる。その上かなり強そうな魔物がいる部屋を通り抜ける必要がありそうだ。


 ここが何階層かわからない以上なるべく不要な消耗は避けたい。



「最短距離を進むとたくさん戦闘になりそうだし、なるべく戦闘を避ける道を進むと凄い強そうな魔物の部屋を通る必要があるんだけどどっちにしようか?」


「最短距離にしよう。どっちを選んでも危険ならなるべく短いほうがいいよ」


「わかった。着いてきて」



 マキナちゃんを先導して反対側へ抜けるべく最短ルートを選んで進んで行く。中に入ってからそう時間の経たないうちに通路の脇から魔物が顔を出した。


 大きな複眼、鋭い顎、薄い膜上の翅、そして巨大な腹部から突き出た針。成人した人間位の大きさをした蜂のような見た目をしている。


 こちらに気付いているようで、三体の魔物が高速で飛行しながら向かってきている。



「止めはお願い」


「了解」



 マキナちゃんが風の魔法で小さな乱気流を作り出したことで、飛行していた魔物達は体勢を崩して壁や床に叩きつけられた。床に叩きつけられた奴に接近し頭を踏み潰すと同時に他の二体に 流れ星 を放って頭を吹き飛ばす。


 見た目が虫なだけあってまだ完全に死んでないようだが襲い掛かってはこなそうだ。無視してこの場を走り去る。



「この程度なら問題なさそうだね」


「よし、急いで走り抜けよう」






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