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超能力者の魔法世界紀行  作者: 富悠
66/103

ー66ー 一階層






 迷宮に入って最初に視界に飛び込んできたのは、全体的に暗い茶色ばかりの色彩。内部は広めの坑道のようになっていて、大地が剥き出しになっている。壁を触ってみるとかなり固く、そう簡単には崩れそうにない。


 上からは微かな光が降り注いでいて、明かりを用意しなくてもある程度は周囲を見ることができる。確認してみるが光源のようなものは見当たらない。どういう仕組みなのかはわからないがこの迷宮は時空間がおかしいらしく、広大な空間があるはずなのに外からは観測できないという話だ。そんなところの不思議な現象をいちいち気にしていたら時間がいくらあっても足り無さそうだ。


 疑問は尽きないがずっとここで立ち尽くしていても始まらない。僕と同じでおのぼりさんみたいな反応をしているマキナちゃんの意識をこっちに引き戻す。



「ほら、マキナちゃん。気持ちはわかるけどいつまでもこうしてても仕方がないよ。折角来たんだから先に進んでみよう」


「うん、凄いねここ。洞窟の中なのに見える位には光がある」


「そうだね、僕は最悪光が無くても大丈夫だけど明るいにこしたことないもんね」



 その場から離れ先に進みだしたが僕もマキナちゃんも周囲を観察しながら進んでいるので、殆ど散歩みたいな速度で遅々として進んでいなかった。


 分かれ道なども特に理由も無く僕達の気分で決めて適当に進んで行く。他に潜った人達は次の階層まで一直線に進んでいるのか、出入口をある程度離れてからはまったく見かけない。


 ある程度落ち着きを取り戻した頃に魔物の気配に気づいた。このまま進めばすぐに接触しそうだ。



「マキナちゃん」


「うん、魔物だね。何が出てくるのか把握してる?」


「組合で待ってる間に確認しておいたよ。低階層に出てくる奴だけだけど」


「ここは何が出てくるの?」


「ゴブリンとスケルトンだって」



 視界に緑色の小柄な人影が入り込んだ。こん棒を担いだ二体のゴブリンが無警戒に歩いている。まだこちらには気づいていないようだが直に気づくだろう。それにしても……



「ゴブリンにしては強いね。迷宮の魔物が通常より強いってのは本当なんだ」


「外の魔物と同じに考えてたら怪我しちゃうかも」



 迷宮内に出現する魔物は外に出てくる同種の魔物より強いらしい。迷宮内の魔素が濃い事が影響していると考えられてるみたいだ。


 向こうもこちらに気づいたみたいで、こん棒を振り上げながら威嚇してくる。



「僕が相手していい?」


「一体私にも回して。外の奴とどれくらい違うのか体感してみたい」


「わかった」



 二体がこちらに駆け寄ってくる。足の速さが違うようで片方が少し突出している。足の速い方を飛び越えて奥のゴブリンに向かう。飛び越えたゴブリンはマキナちゃんに任せよう。



「ギッ!?」



 突然目の前に出てきた僕に驚いたのかゴブリンの動きが止まる。そのまま固まっている間に仕留めてしまおう。



「ハッ!!」


「グゲッ!?」



 ゴブリンの側頭部に拳を叩き込む。外のゴブリンをギリギリ仕留められる程度の威力に抑えた一撃は、ゴブリンを地面に叩き伏せ戦闘不能にしたが、仕留めるまではいかなかった。やはり外の個体に比べると強いみたいだ。とはいえ戦闘不能にまではできたのでそこまで強化されているわけでもない。他の魔物もそうなのかはわからないのでその辺はおいおい確かめていこう。


 倒れているゴブリンの首を踏み折り仕留める。マキナちゃんの方を確認するとあちらも終わっていたようだ。



「どうだった?」


「そこまでではないけど外のよりは強かったね。ゴブリン程度ならいいけどもっと強い魔物が出てくるようになったら油断してると怪我しそう」


「とりあえず魔物と戦ったわけだけどこの後はどうしようか? マキナちゃんは何か案はある?」


「今日はこの階を探索して下まで行く道を見つけてから帰ろうよ」


「わかった。これからは地図とかも買っておく?」


「買わない。自分で調べて探索したいんだ。地図があったら最短ルートしか通らなくなりそうだし」



 マキナちゃんの方針で地図は買わないことになった。この後は一階層を全て探索して地上に戻った。






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