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超能力者の魔法世界紀行  作者: 富悠
65/103

ー65ー 迷宮






 太陽がまだ頂点に達していない頃。多くの人々が行き交う大通りを、人の流れに逆らわずゆっくりと進んでいた。


 組合に紹介された宿屋は幸運にも満室になっておらず、僕達は宿決めにそれほど時間を割く必要が無くなった。


 街に着いたのが日が昇り始めてすぐだったので、諸々の手続きが全て終わった今も時間にかなり余裕があった。


 

「ソラ、早速行ってみようよ」



 街に着いた時から落ち着きの無かったマキナちゃんだが、もはや我慢の限界のようだ。



「うん、まだ夜まで時間もあるし言ってみようか」



 放っておいたらそのまま飛び出してしまいそうだったし、取り繕ってはいるが僕も興味津々だ。遺物、いわばお宝が見つかる不思議な迷宮なんてロマンがある。少年心が擽られて仕方がない。


 部屋に荷物を置いたら、貴重品や必要な物だけ持って迷宮に足を向けた。



「今日は初日だし依頼をうけないで迷宮を体感するだけにしようか」


「そうだね、問題なさそうなら明日から潜るついでに依頼を受けていこう」


「そういえばマキナちゃん、僕は今回は目的があるわけじゃなくてただ迷宮に興味があったから来てみたけど、マキナちゃんは何かやりたいこととかある?」


「うーん、私も特にないんだけど折角来たのに少し潜ってそれでおしまいって味気ないもんね」



 マキナちゃんも特に目的は無かったようで足は止めずとも悩ましい顔をしながら考え込んでしまう。流石はマキナちゃんと言うべきか、考え事をしながらも足の動きは淀みなく人や物にぶつかる気配もない。



「よし、決めた。ねえソラ、そこまで急いでガトランドに行かないといけないわけじゃないんだよね?」


「うん、だからしばらくこの街に滞在しても問題ないよ。流石に何年もってわけにはいかないけど」


「それならさ、今の私達でどれくらい深く迷宮に潜れるか試してみようよ」



 どうやらマキナちゃんはやれるところまでやってみたいようだ。とはいえ限界まで挑戦するっていうようなストイックなものじゃなさそうだけど。



「遺物の他にも魔道具も見つかることがあるみたいだし、深く潜るほど凄いのが見つかりやすいって話だよ。潜っている最中にお宝が見つかるかもっていう楽しみもあるしやってみようよ」


「いいよ。深いところにはその分強い魔物が出てくるみたいだし訓練にもちょうどいいかもね。やるだけやってみようか」


「そうこなくっちゃ」



 今にもスキップしそうなくらい上機嫌で、隣から鼻歌まで聞こえてくる。僕もそこまで具体的に何かしようと考えてたわけではないから、こうやって目標が決まると俄然やる気が湧いてきた。走り出したりはしないが迷宮までの到着が待ち遠しい。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






 迷宮の入り口自体はただの大きな穴らしい。だが今の僕の目の前には大きな穴など存在せず、円形の大きな建造物があった。


 迷宮への入り口を剝き出しにしていると、入る人間を管理できないということで建物で丸ごと蓋をしてしまったらしい。東西南北に出入口があり、そこで組合に申請したカードを確認しれ貰わないと迷宮に入ることができないようになっている。



「うわー、楽しみだよ。早く私達の番にならないかな」


「結構並んではいるけど列が進むのも早いね。そんなに時間はかからなそう」



 アトラクションの順番待ちをしている気分になりながら、自分達の番を待つ。長蛇の列にはなっているが、一人ひとりにかかる時間が短いのかスムーズに列が進んで行く。そう待つこともなく順番が回ってきた。



「カードの提出をお願いします」



 出入口に待機している職員にカードの提出を求められる。事前に用意していたそれを手渡すと、何やら魔道具のようなものにかざしている。僕には仕組みがよくわからないがあれで出入りの管理を行っているのだろう。かざすだけで済んだのかカードを返却されながら、名前を確認された。



「ソラです」


「マキナだよ」


「確認が取れました。どうぞお入りください」



 許可が出たので中に入る。迷宮の入り口はピラミッドを逆さにして叩きつけた跡のような形をしていた。下っていくと底に横穴があった。ここから迷宮に入れるようだ。期待に心躍らせながら迷宮に入った。


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