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超能力者の魔法世界紀行  作者: 富悠
55/103

ー55ー 捜索






 ロジーアの街で火災があった翌日。


 ソラ達はガイカンと話をするべく組合に向かっていた。チェイサーウルフと遭遇したことによる護衛依頼の講習が一時中断になった為、今後どのように行動するかの説明があるためだ。


 本来ソラとマキナは参加する必要はないが、チェイサーウルフの事で聞きたいことがあるということでガイカンから来てほしいと言われたとレンから聞いた為、一緒に組合に向かっている。



「結構焼けちゃってる家あるね」


「そうだな、でも街全部が焼けなかっただけ大分マシさ。家が焼けちゃった人にはこんなこと言えないけどさ」



 組合まで向かう途中、被害に遭った家を見てマキナとレンが呟く。ソラとマキナが街全体に燃え広がる前に鎮火をしたとはいっても、全ての建造物が燃えなかったわけではない。当然間に合わず燃えてしまった所もある。



「こんなことがあったんだし組合ですぐにガイカンさんと話ができるかな?」


「確かに。火災の復興依頼なんかで立て込んでそう。炊き出し用の食材の用意とか建て直しの力仕事とかたくさんありそうだもんね」



 トラブル続きで予定通りにガイカンと話ができるのか疑問に思ったマキナにソラが返す。



「うっわ、やっぱり人で溢れてるな」


「これじゃあ受付まで行けないよ」


「約束の時間まではまだ余裕あるけどどうしよっか?」



 組合に到着するも人でごった返していて入り口付近で立ち止まる。ソラ達が途方に暮れていると離れたところから大声が聞こえてきた。



「おーい!! お前ら、こっちだ!!」



 建物の裏口側からガイカンが顔を出していた。自分の元へ来るようソラ達を呼んでいる。


 ガイカンが呼んでいる事に気づいたソラ達が、裏口から建物内に入る。



「凄いことになってますね」


「ああ、あんなことがあったからな。復興の為に各組合の人間が頻繁に出入りしているし、急遽増えた依頼を狙って組合員が集まってきているからな。俺達は昨日のうちに話を通していたからな、部屋も押さえてあったし通り道として裏口を使わせてもらえたんだ」



 ガイカンの先導に従って部屋に向かうソラ達。



「この部屋に入って待っていてくれ。全員が集まるまで俺は裏口で関係者を待っていなければならん」



 そう言って部屋の入り口までソラ達を連れて行ったあと、元の場所に戻るガイカン。


 ガイカンを見送り部屋まで入ると今回の護衛に参加していた人間がほぼ揃っていた。ソラ達が入室したのを見た《民衆の盾》のメンバーが近寄ってくる。



「よく来てくれた、昨日は助かったよ。まだ来ていないのもあと少ししかいない。直に始まるはずだから空いているところに座って待っていてくれ」



 言われた通りに空いている席に座って待つソラ達。待ち始めて少し経つと、扉からガイカンと共に数名の人間が入ってくる。その中にはカーターもいた。



「待たせたな。これから中断した護衛依頼をどうするか話をする。質問があるかもしれないがまずは全部聞いてからにしてくれ」



 壇上に立ち全員に話を聞くよう促すガイカン。全員が聞く姿勢になったのを確認してから話し出す。



「今回、通常ゲメの街まで向かう街道周辺に出現しないはずのチェイサーウルフ、それも変異個体が現れた事で一時撤退することになった。本来であれば撃退した後はゲメの街に向かうべきだったが、怪我人が多く困難となった為だ。この時点で予定通りにゲメの街には到着できないので護衛依頼は失敗となる。とはいえ護衛依頼の講習でこれは趣旨にそぐわないということで後日、再度講習を行うことになった。ただ現状ではすぐに行うことは難しいので待つ必要があるがな。大筋はこんなところだが何か質問はあるか?」


「依頼は失敗になりましたけどそのことに対するペナルティはありますか?」


「無い。今回は難易度が講習に対して不釣り合いだということで特別に免除された。カーターさんに関しては組合が全て補填することになった」



 それを聞いて殆どの人間が胸を撫でおろす。その後も細々とした質問が続き、解散となった。皆が部屋から退室していくが、ソラ達はこの後もガイカンと話があることから席から立たずにいた。

 

 

「さて、残ってもらって悪かったな」


「いえ、こちらも用がありましたし」


「早速本題だがチェイサーウルフの出現の仕方について不審な点があると帰りの道中に言われてな、同行していたメンバーとも確認しあったんだがやはり誰も接近に気づいていなかった。戦ってみた感じでは接近に気づけないほどの速度があったとも思えん。周辺の生態系にも異常があるという情報は無かったし、どこかから流れてきたということも無さそうだ」


「そのことで気になることがありまして、僕の異能はかなり広範囲の感知が可能なんですが何もなかった場所に急に現れた事を感知しました。反応を考えると召喚か転移かはわかりませんが、そのような手段が関係していると思います」


「こちらでもそのような結論になった。そうなると今度は誰がそのような事をしたのかということだが、何か心当たりはないか?」


「関係しているかはわかりませんが昨夜ローブを着込んだ不審な男を見ました。火事を鎮火した際に忌々し気にこちらを見ていたので気になったんです。僕らが気づいていると分かった途端驚いて逃げてしまったので足取りは分かりません」


「君達が鎮火してくれたのか。助かった、対策組合が何者かに襲撃を受けていたようでな、あのままだと際限なく広がり続けていたかもしれなかったんだ」


「火災のタイミングで図ったように対策組合が邪魔されるなんて怪しいですね」


「ああ、本当は君達二人に街で不審な事が無いか調べて貰おうと思っていたのだが、そうような人物がいたのなら話は早い。そいつを少し探ってみて欲しい」


「わかりました。元々そのつもりだったので構いません」


「助かる。我々で出来ればよかったのだがカーターさんを今度こそゲメの街まで護衛しなければならん。今回は待機していたメンバーも連れて行くのでそちらに人員を割く余裕がないんだ。火災の捜査に関しては組合長が指揮している。話は通しておくから、何か分かり次第彼に報告してくれ」



 ガイカンと別れ部屋を出るソラ達。そのまま建物の外に出るとレンが口を開いた。



「さっき話していたのが昨日言っていたことなのか?」


「うん、はっきり敵意を向けてきたから気になったんだ」


「顔はわからなかったのか?」


「ローブで隠れていたからね。すぐに逃げちゃったし」


「よし、俺も手伝うよ」


「私も手伝います」


「気持ちはありがたいけど……」


「大丈夫、例え見つけても戦ったりしない。街の友人たちに当たって情報集めるだけにするから」


「いいんじゃない、ソラ? 私達だとそういう探し方できないし。レン達には私がついて行くからさ、ソラは別の方法で探ってみてよ」


「うーん、分かったよ。でも危ないことは駄目だからね」



 そう言ってソラは一人別行動し、昨夜男を見た地点に向かうことにした。












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