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超能力者の魔法世界紀行  作者: 富悠
52/103

ー52ー 火災






 炎と煙が立ち上る。


 ロジーアの街の各所で火の手が上がる。


 混乱する人々の悲鳴や怒号が響き渡る。



「おい! 邪魔だ!」


「どけ! 通せ!」


「離してくれ! 俺の家が燃えちまう!」


「危険だ! あんたが行ったところでどうにもならないだろ」


「火災対策の奴らは何やってんだ!? このままだとどんどん燃え広がっちまうぞ!!」


「駄目だ! 奴らの詰めてた建物も燃えちまってる! 無事かもわからねえし、こっちの消火に間に合うとは思えねえ!」



 逃げようとする人同士で押し合い、突き飛ばされる人。自分の住居が出火し、混乱しながらどうにかしようと近づく人間に、それを押しとどめる人間。対策組合に連絡に走る人間。


 そんな混沌とした状況をローブを着た男が無表情で遠くから眺めていた。



(狙いが古代図書館だとバレぬよう街の各所にも火を放ちましたが、この分だとしっかり燃え広がってくれて、後の捜査をかく乱してくれそうですね)



 男はこの惨状を引き起こした張本人だというのに、罪の意識や後ろめたさをまるで感じることもなく満足そうにしている。



(途中で消火でもされたら台無しですから、対策組合にも細工をしておきましたが上手くいってるようですね。これなら今夜中に火をどうにかするのは無理でしょう)



 男は周囲の様子を一通り観察した後、最後に一際大きく燃えている古代図書館に目をやりその場を後にした。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






 マキナ達は就寝してしばらくした頃、家の周囲が喧噪に包まれた。あまりの騒がしさに目を覚ましたレンとリンは一足先に目を覚まして玄関を開けたまま外にいるマキナに気が付いた。



「なんだ? まったく。随分とうるさいな」


「マキナ? 一体何があったの?」



 起きたばかりで状況が掴めずマキナに問いかけるリン。それに対してマキナが呆然と返す。



「街が……燃えてる」



 はたしてその声が聞こえていたのかどうか、街の至る所から火の手が上がっているのに気づいたレンとリンも呆然として立ち尽くす。


 そうして立ち尽くしている間に、また一軒火の手が上がる。そこはレン達が暮らす家から数軒離れた民家だった。



「不味い、このままだと俺達の家まで火が回ってきちまう。マキナ、魔法でなんとかできないか?」


「できる…… けどこの家だけ守っても街全体が燃えちゃったらどうしようもないよ」


「それにレン、うちだけ無事だったら周囲から嫌な目で見られちゃうよ」


「くそ、確かにそうだな。流石にマキナでも街全部をどうにかってのは無理だろうし」


「町全域に雨を降らせればどうにかできると思うけど、ちょっと時間が足りないよ。その頃にはこの家にも火が回っちゃう」



 マキナが苦い表情で言う。現状をどうにかしようと考えこんだまま動かない。



「そうだ、レン。ソラさん連れてきて。このまま家で寝かせたままだと危ないよ」


「わかった」



 レンがソラの元に向かっている間もマキナは考えこんでいた。



(今言ったように町全域に雨を降らせるのは間に合わない。一軒一軒消火するにしても、消火のスピードより燃え広がる方が早い。かといって急いで消火したら周囲の建物や人に被害が出ちゃう。どうしよう。どうしたら)



 マキナが悩んでいる間にレンが寝ているソラを背負って出てきた。



「おい、マキナ。この家は間に合わないかもしれないけど街はどうにかできるかもしれないんだろ?だったら頼む。やってくれないか」


「それだとレン達の家が…」


「いいんだ、家はまた建てればいい」


「でも家族と住んでた家なんでしょう? それなのに燃えちゃうなんて嫌だよ……」



 マキナが弱弱しい声でレン達の家が燃えるのを嫌がる。そこにレンの頭の上から声がかかった。



「どうしたの? そんなに泣きそうな声して」


「ソラさん!! 目が覚めたんですか」


「うん、まだ少し眠いけどね。ごめんレン君、降ろして」



 目を覚ましたソラがレンから降りる。それから周囲の様子を見て状況を理解する。



「うわ、街中が火事になってるのか。それで? マキナちゃんは何を悩んでるの?」


「なんとかできるけど、その間に俺達の家が燃えるのが嫌だって」



 それを聞いたソラがマキナに問いかける。



「どうやって火を消そうとしてるの?」


「町全域に雨を降らして。でも街全部を範囲にするのは時間がかかる」


「どうして? 草原を凍らせるのもそんなに時間かかってないよね?」


「上空で発動しないといけないから。ただでさえ範囲が広いのに距離があると余計に時間がかかるんだ」


「なら上まで飛んで魔法を使うのは?」


「飛行魔法を使いながらになるから結局時間がかかっちゃう」


「なら僕がマキナちゃんを抱えて空まで行ったらどう?」


「それならどうにか……って何を言って?」



 ソラが空を飛べないことを知っているマキナが聞き返す。話についていけていないレンとリンが困惑しているのをよそにソラがマキナに言う。



「今日分かった。全力を出せば空を飛べる。僕がマキナちゃんを上空まで連れていく」






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