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超能力者の魔法世界紀行  作者: 富悠
51/103

ー51ー 暗躍






 ロジーアの街をローブを着込んだ男が歩いている。雑踏の中を真っすぐに進んでいるにも関わらず誰とも衝突しない。周囲の人間が何故か男の存在に気づいていないのに自然と道を譲ってしまう。



(驚きましたね。チェイサーウルフがもう二体共倒されてしまった。この街にはあの二体をここまで早く仕留められる者はいないと思っていたのですが)



 男が内心で呟く。驚いたなどと思っている割には表情に特別変化は無い。



(もうすこし準備したかったのですが致し方ありません。外に向いていた警戒も普段通りに戻ってしまうでしょうし今日の夜にでも行動を起こしてもらいましょうか。準備が足りない分少し時間はかかるでしょうが、最終的に街全体にまで影響は広がるはず。それを観察していれば遺物の手がかりが何か見つかるかもしれません)



 男が不意に立ち止まる。その視線の先には街まで引き返してきたガイカン達の姿がある。男は陰に隠れるようなこともせず、ガイカン達を堂々と観察している。



(ふむ、話を聞く限り彼らがチェイサーウルフと戦ったようですね。感じ取れる強さだとチェイサーウルフをあの程度の負傷で倒せるとは思えませんね。とはいえ《民衆の盾》はそこそこ長く活動している組合員のはず、隠し玉の一つや二つあってもおかしくはありませんか)



 見るべきものは見たと男は踵を返す。ガイカン達が街に帰還してから男がこの場に来るまでに少し時間があったため、マキナ達は既に治療院に向かっていた。その為この場にチェイサーウルフを倒した者がいないことに男は気が付くことは無かった。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






「それでは皆さん、今日の深夜に決行してください」



 隠れ家に戻ってきた男が指示を出す。男の前には裏路地に屯していた男達の姿がある。皆一様に人形のようにその場に立ち尽くしている。



「せっかくの仕込みを無駄にしないためにも全てを終えるまでは、絶対に見つからないように注意してください。終わった後はもう用はありませんので、私の事は忘れて好きにしてください」



 話が終わると同時に男達が家を出ていく。三人が別々の方向に向かい街に消えていった。指示を出した男だけが隠れ家に一人残っている。


(さて、後は夜を待つだけですね。これで見つかってくれると楽でいいんですけど)



 男達を好きに操っていることに大した感慨も見せずに男は奥の部屋に向かっていった。






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 ソラを家まで背負ってきて、ベッドに寝かせたマキナは夕食を作りながらレン達の帰りを待っていた。



「ただいま、悪い遅くなった」


「ただいま、マキナ」



 夕食の用意が済み、マキナが一息ついたタイミングでレンとリンが家に入ってきた。


「おかえり、二人共お疲れ様」


「あー、ほんとに疲れた。改めて助けてくれてありがとな」


「ありがとう、マキナ」


「何度も聞いたよ、そんなに言わなくてもいいって。夕食ももうできてるから早く二人共着替えてきなよ」


「わかった。すぐ着替えてくる」



 二人が着替えの為に自分の部屋に向かう。その間にマキナが料理を並べていく。準備が終わる頃には二人共着替えて部屋から出てきていた。三人で席に付いて食事を始める。



「ところでソラさんはあれからずっと寝てるのか?」


「うん、流石に疲れたみたい。帰ってきてから一度も目を覚ましてない」


「マキナ、ソラさん大丈夫だよね?」


「ソラも言ってたしただの疲労だと思うけど… なんで?」


「ソラさん、レンに力を使った時尋常じゃない位の汗をかいていたから。かなり無理をしていたんじゃないかって。その上その状態で戦っていたし」


「まあ、無理はしていたと思う。異能の制御に手一杯で反応ができなくなるなんて初めてだし」


「ソラさんそんな状態だったのか。俺も意識が無い時の方が長かったから知らなかった」


「明日になればきっと起きてくるよ。二人だって今日は大変だったんだから早く寝よう?」



 マキナが食事の済んだ皿を全員分まとめて台所まで持っていく。魔法で出した水で洗いながら就寝を促す。



「悪い、そうさせてもらう」


「おやすみ、マキナ」


「おやすみ、二人共」



 部屋に入った二人に少し遅れて洗い物を済ませたマキナも床に就く。


 街全体が寝静まり夜も更けた頃、街の各所で炎が上がった。













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