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超能力者の魔法世界紀行  作者: 富悠
45/103

ー45ー チェイサーウルフー5ー







「ふぅ、思ったより手間取っちゃった」



 ロジーアの街からある程度離れた場所にある、街道からすぐの位置にある草原。そこで私はチェイサーウルフと戦っていた。


 ソラと別れてすぐ、私達を追いかけてきていたコイツと接敵した。最初の幾度かの攻防の後、油断しなければ問題なく仕留めきれると判断した私は速攻を仕掛けた。


 序盤のやり取りでこちらが格上と理解したらしく積極的に攻めてこなくなった。そのくせ逃げるようなことはせず、じっとこちらを睨み臨戦態勢でい続けた。


 本来、野生の魔物は知能の低い魔物を除けば相手との差が大きければすぐに逃げ出す。レン達を襲っている個体と合流されたり、他の人に被害が行くのは不味いのでもちろん逃がすつもりはなかったが、変異個体であるコイツは知能もそれなりに高いはずなのに、逃げる素振りをまったく見せないのは少し不自然だ。


 睨みあっていても仕方ないので私から攻めていたが、回避に集中して私をここから動かさないよう時間稼ぎのような行動をとってきた。


 想定していたよりも仕留めるのに時間がかかってしまった。最終的に避けられない位広範囲を氷漬けにして、生きたまま氷の中に閉じ込めてやった。とどめは刺していないが魔力を感じないので自力で脱出することはできないだろう。帰りがけにここを通った時にやろう。


 ソラ達に合流するべく街道の先へ駆け出した。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






 駆け出して少しするとソラ達が見えた。ソラがチェイサーウルフと戦闘しているのが見えるが普段よりも動きが悪い。見たところダメージを負っている様子もないので何か別の事に意識を割いているのだろう。


 少し離れたところにリンと《民衆の盾》の人も見える。遠くからソラをサポートしてるみたいだ。でもレンの姿が見えない。疑問に思いさらに周囲を確認してみると怪我人が寝かされている場所にレンもいた。ここからでは詳細にはわからないが、かなり傷が深そうだ。他にも何人か寝かされている人の中に致命傷を負っているような人がいた。


 普通なら死んでいるはずなのに魔力を感じることから何故か生きている。多分これがソラの動きが悪い理由だ。普通じゃないことが起きている場合、大体ソラの異能のせいだ。怪我人に異能の力を割いている分、普段通りに動けていないのだろう。


 リンから魔法が放たれた。チェイサーウルフが魔法を避けた隙を狙って、ソラが動こうとしたがふらついてすぐに止まってしまった。もしかしたら魔素の浸食で限界が近いのかもしれない。


 チェイサーウルフが魔法を避けた勢いで距離を取り、その場で魔力を口に溜めて遠距離攻撃の準備に入る。狙いはリンのようで、位置的にレンも巻き込まれる。ソラもそれに気づいたのかそうはさせまいとチェイサーウルフに駆け出している。


 私も間合いに入った。チェイサーウルフの攻撃を防ぐのには間に合わなさそうだが、ソラがどうにかすると信じて、攻撃後の隙に魔法をぶつける為に魔力を溜める。


 ソラが勢いそのままにチェイサーウルフの口を蹴り上げて、無理やり攻撃の軌道を逸らす。


 限界だったのかそのまま倒れこむソラ。私に気づいていたのかその際に声を掛けてきた。



「後はお願い」



 私ならどうにかできると信じ切っている声。私がもう一体に手間取っちゃったせいでソラにここまで負担をかけてしまった。信頼にこたえるべく、一撃で仕留めきると魔法を放つ。



「任せて」






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






「マキナ!!」



 リンが私に向かって飛び込んでくる。倒れないよう、抱きしめた後回転して勢いを殺す。



「ごめん、遅くなった」


「ううん、来てくれてありがとう」



 感極まったのか目に涙が浮かんでいる。



「すまない、助かった。君が彼の言っていた仲間かな?」


「うん、そう。それよりソラ、大丈夫?」


「なんとかね。でももう動けないや、悪いけど急いでレン君達の近くまで運んでくれる?」


「任せろ、俺が運ぼう。君もありがとう、助かったよ」


「なんとか倒せましたが、まだ怪我人が残っています。チェイサーウルフの処理をしたら、早いとこ街に戻りましょう」


「俺が言ってくる。ガイカンは早く彼を運んでやれ」



 《民衆の盾》の一人がチェイサーウルフの死体を処理しに向かっていく。


 私達はソラを運んでいくが、ソラの顔色がかなり悪い。バリアを解除した状態を長時間維持していた影響だろう。


 

 ソラを怪我人の傍に連れてきて、改めてレンの様子を見て息を呑んだ。


 なにこれ? 奇跡的に内臓は傷ついていないが全身ズタズタだ。なんでこれで生きてるの? どう考えても出血多量で死んでいるはずだ。


 いや、原因はわかる。ソラが何かしてるんだ。でもこんなの絶対普通じゃない。こっちにこんなに力を割いていたら、まともに戦えない。


 とにかく早く街に向かわないと。これで誰か死んでしまったら、ソラがここまで無理をした意味がない。動ける人間で手早く準備をして出発した。







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