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超能力者の魔法世界紀行  作者: 富悠
42/103

ー42ー チェイサーウルフー2ー






 レン君がリンちゃんを突き飛ばして庇ったことによってリンちゃんは無事だが、その代わりにレン君が攻撃を受けてしまった。反応は消えていないがかなり弱っている。早く治療しないと命が危ない。


 チェイサーウルフはそのまま倒れたレン君を無視して、少し離れた場所で倒れているリンちゃんに狙いを定めている。次こそはとリンちゃんを嚙み殺そうとしているが今度は間に合う。



「邪魔だぁぁ!!」


「グォン!?」



 チェイサーウルフの下顎を思い切り蹴り上げて吹き飛ばす。一瞬だけバリアを解除して全力を出したが、若干反応されて衝撃を通すまではできなかった。とはいえかなり距離を稼ぐことができた。


 遠くで転がっているチェイサーウルフに意識を向けつつ、レン君の状態を確認する。


 酷い、内臓には傷ついていないが体を大きく切り裂かれている。このままだと街まで持たない。



「ソラさん!?」


「増援か!?」



 リンちゃんとガイカンさんが声を掛けてくる。返答しながら異能でなんとか助けられないか試す。菌を取り除いて空気に触れないよう密閉する。



「ソラさん、どうしてここに?」


「組合で手続きの順番待ちをしていた時にピンチだって聞いて飛んできたんだ」


「良かった。すぐに動いてくれたか」


「期待させてすみません。増援はまだ来ないと思います。組合もすぐに編成に取り掛かっていましたがもう少し動くのに時間がかかると思います。それよりこのままだと命に関わりそうな人をここに集めてください」


「どういうことだ?」


「僕の異能で救命処置をします。延命する位しかできませんが街に行くまでは持たせられるはずです」


「すぐに集める」



 今度は傷口から流れ出る血液をコントロールして循環させ、疑似的に出血していない状態を維持する。かなり集中する必要がある。この状態で戦闘するのは相当厳しい。



「血が!?」



 リンちゃんがレン君の出血が止まったのを見て驚いている。



「ソラさんが血を止めてるんですか!? これならレンは助かり…… ソラさん!?」



 リンちゃんが僕の顔を見て驚いている。よっぽど酷い顔をしているのだろう。



「顔中から汗が…… 大丈夫なんですか!?」


「なんとかね。このまま力を使いながらだとちょっと普段のようには動けないかな」



 この状態で、ましてやさらに延命する人数が増えるならまともに戦闘はできない。バリアを解除しなきゃ無理だ。正直解除してもリソースの殆どを延命することに回す必要がありそうなので、チェイサーウルフを倒せる自信がない。なんとか凌いでマキナちゃんが来てくれるのを待つしかない。



「早いとこマキナちゃんが来てくれないと不味いかな」


「マキナも来てるんですか!?」


「途中で別れちゃったけどね、あいつがもう一体いたんだ」


「えぇっ!?」


「連れてきたぞ…… っておい、何を騒いでいる」



 ガイカンさんが重傷の人達を連れてきた。他の《民衆の盾》のメンバーはチェイサーウルフを警戒している。



「チェイサーウルフの変異個体がもう一体いたって」


「何!? どういうことだ!?」


「こっちに来る途中に別の変異個体に出くわしたんですよ。僕の仲間が相手してくれてるんでこっちには来ないと思います」


「マキナが戦ってるんですか!? 一人で!?」


「大丈夫。マキナちゃんなら心配ない。今はこっちの心配をしなきゃ、ほら来たよ」



 かなり遠くに吹き飛ばしたのにもう近くまで来てる。かなりの速さだ。



「僕が相手するんで、ガイカンさん達は怪我人や依頼主の人を守ってくれますか?」


「何言ってる!? 俺達も戦うぞ!!」


「そっちこそ何言ってるんですか、長い間皆を守っていて限界が近いのは分かりますよ。とにかく僕が相手をします。周囲の守りにまでは意識をまわせないのでそっちはお願いします」



 何かを言われる前にバリアを解除してチェイサーウルフの前に出る。バリアを解除した状態なら全員の延命に異能を使った状態でもなんとか戦えそうだ。後はバリアを解除した状態にどれだけ僕が耐えられるかだ。


 格好つけて前に出たくせしてこんなことを考えるのもあれだけど、余り長くは持たなそうだ。マキナちゃん早く来てくれよ。









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