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超能力者の魔法世界紀行  作者: 富悠
40/103

ー40ー 緊急事態






 組合に勢いよく転がり込んできた男が声を張り上げる。



「すまない。助けてくれ!!」



 窓口で手続きをしていた組合の事務職員が何事かと男に近寄る。



「グロッタさん!? 一体何事ですか!?」


「護衛の講師役のガイカンからチェイサーウルフの変異個体が出たと緊急連絡があった!! 《民衆の盾》から緊急依頼を出す。頼む! 救出に手を貸してくれ!!」


「すぐに依頼の準備をします! 待っていてください!!」



 転がり込んできた男【グロッタ】は《民衆の盾》のメンバーの一人で連絡役であり、チームメンバーの危機的状況を解決するために組合まで走ってきたらしい。


 それを聞いた職員が大慌てで窓口の奥に引っ込み、他の職員と連携して作業を始めている。全員そちらに注力しており、他の手続きは一旦中断されている。


 グロッタと職員の話を横で聞いていた組合員が声をかける。



「チェイサーウルフの変異個体だぁ? ハイドッグの変異個体の間違いじゃねぇか?」


「それならガイカン達だけでなんとかなる! わざわざ金を払ってまで緊急依頼を出さない!」


「なんだってチェイサーウルフが… あいつらこの辺で発生しないだろ。それに護衛依頼の講習って今日の朝すぐに出発したよな、ここから結構離れてるはずだぞ」



 周りで聞いている他の組合員の浮かない顔をしている。



「それにチェイサーウルフの変異個体なんて俺達ならかなり数を集めないと相手にならないぞ。特に今は強い奴らが全員出払っているし」



 悪い情報ばかりが出てくるのを聞いてグロッタが歯を食いしばっている。皆がその話に集中している間にソラとマキナが組合を飛び出して行った。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






 ゲメの街まで続く街道に繋がっている門に向かって僕とマキナちゃんは街中を駆けている。さっきのグロッタって人が言っていた依頼にはレン君とリンちゃんも参加している。組合で聞いたように《民衆の盾》のベテランが歯が立たないっていうなら相当強いはずだ。二人が危ない!!



「ソラ! もうすぐ門だけど手続きどうするの!?」


「時間が勿体ない。飛び越えよう!」


「大丈夫なの!? そんなことして。怒られちゃうんじゃ!?」


「それが原因で二人が死んでしまうより全然良い。異能で簡単な説明もしておくよ。それでも駄目だったならその時はその時だ」



 言っている間に門が見えてきた。止まる様子の見えない僕達に向かって門番が声をかけてきた。



「そこの走っている二人!! 止まれ!! 手続きをせずに門を通り抜けるのは禁止だ!!」


「ごめん、悪いけど緊急なんだ。見逃してくれ!!」



 門番の上を飛び越しながら、異能を使って事情を書いたメモを門番に渡しておく。そのまま勢いを殺さず街道を二人で駆けだした。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






 走る、走る、走る。


 今出せる全力で街道をマキナちゃんと駆け抜けていく。


 チェイサーウルフと戦う際に必要になるかもしれないのでバリアは解除していないがその状態で出せる全速力で走っていく。


 組合で誰かが言っていたようにレン君達は朝早くにこの街を出発した。荷馬車の速度はそこまで速くはないといっても、そこそこの距離を進んでるはずだ。僕達が到着するまでに無事でいてくれと祈りながら走る。


 走る速度は僕の方が少しだけマキナちゃんより速い。ちょっとずつだけどマキナちゃんと距離が開いてきた。


「ソラ!! 私のことは気にしないで先に行って!!」


「でも!!」


「いいから!! 私もすぐに追いつくか… 何!?」



 何だ!? 急に近くに強い反応が!? どれだけ急いでいるとは言ってもまだ街からでてそれほど進んでいない、いくらなんでもここまで早く接敵するはずがない。



「どういうこと!? あっちが追い返してこっちに来たってこと!?」


「だとしてもおかしい!! 僕の感知範囲に急に出てきた!!」



 レン君達の位置を探る為、異能のリソースを感知範囲に殆ど使っている。かなりの距離まで感知できるのに、感知範囲の端と僕らの丁度中間辺りに急に反応が出た。どれだけコイツが速くてもこの反応はおかしい。



「周囲にレン君達の反応も無い。レン君達を襲っているのとは別のやつかもしれない!」


「どちらにしてもこのまま引き連れて行けないよ!! 私はコイツを仕留めてから行くから先に行ってて!!」



 確かにコイツがレン君達を襲っていた奴にしろ別の個体にしろこのまま連れて行ってしまえばレン君達を危険にさらすだけだ。



「わかった!! 先に行くけど早く追いついてきてよ!!」


「任せて!! すぐに行くから!!」



 僕達を狙ってきていた奴に向かっていくマキナちゃんと別れて僕はそのまま街道を駆ける。


 

「急げ… 急げ…」



 焦りで落ち着かない状態のまま走っていると遂にレン君達の反応を捉えた。生きてはいるみたいだが反応が弱弱しい。強い反応も近くにある。やはりさっきのは別の個体だったみたいだ。


 捉えた以上感知範囲は狭めてもいい。浮いたリソースを推進力に変えて今まで以上の速度でレン君達の元へ向かった。

 










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