ー39ー 久々の二人きり
レン君達が護衛の依頼で街を出発するのを見送った後、マキナちゃんと二人で街に買い出しに向かう。とはいえそこまで必要なものは多くない。水は僕もマキナちゃんも異能や魔法でどうにでもできるし、食料も現地で調達してしまえばいいので、全く見つからなかった時の為に幾つか保存食を用意しておくだけでいい。
怪我をしたときなどのための応急処置用具は特に不足はしていなかったので、その辺は飛ばして衣料品の確認をする。まだそこまで長く旅をしてはいないが、外套などが少し傷んだりしているので新調するか補修するための道具などを確認していく。
必要なものがそこまでなかった関係で買い出しも午前中には終わった。そのまま荷物を家まで一旦置きに行った後、マキナちゃんと依頼を受けに組合まで向かう。
「二人で依頼を受けるなんて初めてじゃない?」
「そうかも。ゲメの街では依頼は受けなかったし、この街に来てからはレン君達も一緒だったからね」
「でもあんまり新鮮な感じがしないや。なんでだろ?」
「組合で依頼を受けるっている手順を踏んでいないだけで、森に居た時とやっていることが変わっていないからじゃないかな」
「確かに。ソラの初めての探索の時から何度も二人で魔物を狩ったりしていたもんね。旅にでてからだって、二人で魔物の相手をしていたわけだし」
今までに依頼という括りでは一度も二人きりで行動したことがないということに、少し面白さを感じながらマキナちゃんとどの依頼を受けるか相談する。
「私またラッシュカウの肉を食べたいんだけどさ、ソラもそれでいい?」
「いいよ、じゃあラッシュカウの依頼にしちゃおうか」
「こないだはラッシュカウの焼肉だったから何か別の料理がいいな」
「じゃあシチューにしようか。材料が足りないし帰りに買い物していかなきゃね」
「いいね、お願い。私手続き行ってくる」
晩御飯のメニューにテンションを上げながら窓口に向かうマキナちゃん。手早く依頼を済ませて帰ってこよう。
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以前レン君達ともやって来た、ラッシュカウがよく発生するという街道から少し離れた平地でマキナちゃんと獲物を探す。
魔物が生まれる方法は幾つかあるみたいで通常の生物のように繁殖する他に、生物に過剰に魔素が溜まって魔物に変化したり、空気中の魔素が集まって自然に発生したりするらしい。
普段からこれだけ乱獲されていても絶滅しないのはそういう理由があるからだとか。つらつらとそんなことを思い出していると感知に反応があった。
「見つけた」
「どのあたり?」
「少し遠いな、歩いて10分位」
見つけたラッシュカウに向かってマキナちゃんと一緒に進む。程無くしてラッシュカウを視界に捉えた。
「どっちがやる?」
「僕がやるよ、倒した後そのまま状態を維持して組合まで持っていこう」
「じゃあ、お願い」
こちらに気づいたラッシュカウが威嚇してくる。気にせず接近すると僕に向かって突進してきた。走っている最中に異能で足を引っかけてやる。勢いよく転んだラッシュカウの頭を殴りつけ、衝撃を脳で爆発させ仕留める。
「一丁上がり」
「お疲れー」
「早いとこ組合に戻って晩御飯にしちゃおうか」
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僕らが食べる分を除いてラッシュカウを渡して、組合で依頼完了の手続きをするために順番待ちをしていた。
「今日は普段よりも混みあってるね」
「いつも混んでるけど今日はそれ以上だなぁ。もうしばらく待ってないといけなさそうだ」
「仕方ないよ、のんびり待ってよ」
普段に比べて手続きを待っている人数が多くて僕達の番まで大分かかりそうだ。マキナちゃんと雑談して時間を潰していると勢いよく組合のドアが開かれて、息も絶え絶えな男が転がり込んできた。




