ー35ー 成長具合
遺跡に初めて見学に行ってからしばらく経った頃、僕は他の遺跡も調べに行ったり古代図書館に新しい情報がないか何度も通ったり、古代文明の研究者に話が聞けないか行動していた。調査の合間に息抜きとして組合で依頼を受けて生活費を稼いでいたりもする。
マキナちゃんの話ではレン君とリンちゃんの二人は、会った当初に比べると大分強くなったらしい。僕が見た感じでも以前囲まれていた群れも時間はかかるがなんとかできそうな位強くなったと思う。流石にゴラオン達にはまだ勝てそうにないが逃げる位はできるはずだ。もうそろそろ僕達のどちらかが二人と一緒に行動しなくても問題ないだろう。
マキナちゃんにも相談してお墨付きが出たら二人にもその話をしてみよう。
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「前にマキナちゃん二人が結構強くなったって言ってたじゃない? そろそろ二人だけで行動しても大丈夫だと思うんだけどどうかな?」
家に戻ってから夕食を済ませレン君とリンちゃんも部屋に入って、後は寝るだけになったところでマキナちゃんに確認してみた。
「確かに強くなったけど大丈夫かな? まだあの三人には勝てないと思うんだけど」
「勝つことはできなくても逃げる位はできそうだし大丈夫かなって。まあ不意打ちされたら不味そうだけど警戒とかもできるようになってるんでしょ?」
「まあね、とはいえ全部教えられたわけじゃないよ。まだ教え始めてからそこまで経ってないし」
「それもそっか。もう少し様子を見た方がいいか」
「うん、でもずっと一緒に行動するわけにもいかないしあいつらが変な事しなそうなら二人で依頼に行かせても大丈夫かな。元々は二人でやってきてたんだしね」
「今まで何かやってきたわけじゃないしもう警戒しなくてもいいのかな?」
「わかんない。そうやって気を抜いた時にってこともあり得るし」
「様子を見ながら少しずつ別行動してみようか」
マキナちゃんと今後の方針を話しながら眠りについた。
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少しずつ二人だけで依頼を受けていってもいいんじゃないかと話した。
「いいのか? まだそんなに強くなれた自信ないけど」
「うん、この辺の奴らにならよっぽどの事態にならなければ負けないと思う。あいつらにはまだ勝てないだろうけど逃げることはなんとかできると思うし」
「少しずつ強くなってた自覚はあったがそこまで? あの時の群れからも逃げられるか?」
「逃げられるというか倒せると思うよ。ちょっと時間はかかるけど。というか自信なさすぎじゃない? マキナちゃん何したの?」
死にかけた出来事ってことで過大評価というか厳しく考えてるのかもしれないけど、倒せるかどうかではなく逃げられるかどうかで悩むのはちょっと自己評価が低すぎる。
「前にも言ったようにウルフィンさんにさせられた事やってるだけだよ。後はリンに使えそうな魔法を教えたり私と組手したりかな」
「うーん、それだけでこんなに自信無くなるものかな?」
「私達が強くなってるのはわかるんですけど、マキナとの組手や偶にするソラさんとの組手も全然勝負にならないし、以前に比べてそこまで強くなった自覚がないので」
「あー、成程。でもそんな簡単に追いつかれても僕達も立つ瀬がないし、それに依頼で魔物と戦ったときに以前との違いとか感じなかった?」
「あっ」
何かに気づいたようにマキナちゃんが声を上げた。
「マキナに鍛えて貰うようになってから魔物とは戦ってないんだ」
「え? でも何度も依頼に行ってたよね?」
「討伐系じゃなくて採取系ばかりだったんだ」
「そうだったの? マキナちゃん」
「うん、簡単に終わらせられそうなのを選んで残りの時間を教える時間に充ててた」
マキナちゃんがばつが悪そうに答えた。鍛え始めてから比べる相手が僕やマキナちゃんしかいなければ自分の強さが掴めなくてもおかしくない。今後は組手の他にも周辺の魔物を相手にしていくべきだろう。強さの指標が僕やマキナちゃんだけだと相手の強さを推測できないだろう。色々なのを相手にして強さの指標を増やす必要がある。
「ごめんね、これからは討伐系の依頼を増やすよ」
「別にいいけど、あまり自覚がないな」
「やってみたらわかるさ。自己評価が高すぎるのも不味いけど、だからといって自信がなさすぎるのも良くないからね」
早速明日から少しずつ魔物と戦ってみることになった。




