ー31ー お願い
自分達を強くして欲しい。レン君のそのお願いに僕は…
「ごめん、無理」
はっきり断った。あっさり断られたことが衝撃だったのかレン君が固まってる。少し時間が経って立ち直ったレン君が何故と聞いてくる。
「そんなにすぐ断らなくても… ソラさんの用事の時間を割いてまでって程じゃないんだ。空いている時間に少し付き合ってくれるだけでもいいからさ。ちょっとは考えてくれよ」
「確かに僕も用事があってこの街に来たけど、そこまで急いでる訳じゃないからそれはいいんだ。そうじゃなくてレン君は剣を、リンちゃんは魔法を主体に戦うんだろう?」
「ああ、そうだけど。それが?」
「僕は武器を扱うセンスが無くてどんな武器でも全く使えないし、魔力が無いから魔法も一切使えない。意地悪とかじゃなくて単純に教えることができないんだよ」
「ええ!? でもあんなにあっさりハイドッグの群れを蹴散らしてたじゃないか。素手であそこまで戦えるなら武器の扱いだってかなりの腕なんじゃ?」
「逆だよ。武器が全く使えなかったから素手で戦えるように鍛えたんだ。武器が無い時の戦い方を鍛えることも大事だけど、二人はその前に武器を持ってるときの強さを高めなきゃ」
「そっかぁ、強くなれるチャンスだと思ったんだけど」
落ち込んだ様に呟くレン君だったが、何も僕に教わるだけが強くなる方法じゃない。
「あんまり気を落とさないでよ。空いた時間に組手位は付き合うからさ。そもそも強くなりたいなら僕よりもマキナちゃんにお願いするべきだよ」
「マキナに?」
「うん、マキナちゃん僕より強いしね。魔法も色々使えるし、確か武器も一通り使えたよね?」
「ウルフィンさんに使うかどうかは兎も角、基本的な扱い方は覚えておけって教わるからね。むしろあんな一切合切使えないソラの方が希少だよ」
「確かにマキナも強かったけど、ソラさんより強いって本当か?」
「あー! 酷い! なんで疑うのさ」
「いや、だって…」
「その、マキナ、私達と同じかそれよりも少し下の年齢でしょ?」
マキナちゃんが僕より強いという話に二人は半信半疑な様子で戸惑っている。確かに見た目は子供なマキナちゃんが僕より強いというのは戸惑うのかもしれない。
「マキナちゃんが僕より強いってのは別に冗談じゃないよ。僕が一人立ちする為の訓練もマキナちゃんが引率してくれたんだよ」
「そうなのか。悪い、疑ってた」
「ごめんね、マキナ」
「まあいいよ、私が子供なのは本当だしね」
「疑ってすぐこんなこと言えた義理じゃないけど、俺達のこと鍛えてくれないか?」
「別にいいけど、私も偉そうに何かを教えられる程強くないんだけどな」
「それでも俺達よりは強いだろ。頼む、この通りだ」
「私からもお願い」
レン君が手を合わせて頭を下げる。それを見たリンちゃんも同じように頭を下げている。
「わかったよ。どれだけ役に立てるかわからないけど付き合ったげる」
「本当か!? 助かるよ」
「ありがとう。マキナ」
「とりあえずこの前の群れ位ならどうにかできるようになってもらわないとね。教えるのなんて初めてだから上手くできなくても文句言わないでね」
「話はまとまったね。僕もできることがあれば手伝うよ。ただそろそろお金も稼ぎたいし、今日は組合で依頼を受けたいかな」
「そうだね。しばらくこの街で活動するなら生活費を稼がないとね。組合の依頼をこなしながら二人に色々教えていけばいいかな」
「なら善は急げだ。早速組合に向かおうぜ」
二人がマキナちゃんに鍛えてもらうことになった。二人が強くなればゴラオン達も手を出しにくくなって、僕かマキナちゃんが一緒に居なくても行動できるようになるかもしれない。流石にそんなにすぐに強くなれるとは思わないが、古代魔法のことなんかもすぐに調べ終わるとも思えないので長い目で見ていくことにしよう。




