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超能力者の魔法世界紀行  作者: 富悠
30/103

ー30ー 散歩






 眼が覚めた。


 昨日はあれから談笑を続けて日が変わる頃に眠った。急遽泊まることになった為、僕とマキナちゃんの寝具は無かったのでマキナちゃんがリビングのソファ、僕は床で寝袋に入って寝た。遅くまで起きていたので、マキナちゃんはまだ眠っている。他の二人の様子も探ってみるがそれぞれの部屋から動いていない様だ。


 マキナちゃんを起こさない様に、異能を使って僕を中心に一定範囲より振動が伝わらなくする。こうしておけばマキナちゃんに僕の動く音が伝わる事はない。


 起きる時間帯としては少し遅めだった為、街では既に人の往来がある様だ。皆の目が覚める前に、散歩ついでに朝食の材料を買ってこよう。寝ているとはいえマキナちゃんがいれば、ゴラオン達が何かしてきても大丈夫な筈だ。家を出て、異能で鍵をかけ直す。


 商店街を目指しながら何となしに周囲を眺める。前に訪れた二つの街より大きい分、道も広いし人の数も多い。普人種に比べれば数は少ないが、森人種や獣人種もちらほら見かける。こういう光景を見るとやはり自分は異世界に居るという実感が湧く。この世界に来てからそれなりの時間が経ったが、森に居る間は鍛えることに必死だったせいでそのような感情は湧かなかった。


 商店街に着いて朝食に何を作ろうか迷う。昨日の残りのスープと買い置きのパンはあるが、肉は全て食べきってしまった。せめてあと一品二品と考えながら食材を吟味する。


 それにしてもこの世界は食文化が前の世界に近い。魔物を食べられる関係で野生生物の肉を食べる機会は前の世界に比べて多いが、それ以外は結構似ている。畜産や農業も行っているみたいだし形態もあちらと似ている。人間が生活していく上で自然と似通っていくものなのか、それとも昔この世界に来た異世界人が伝えたのかはわからないが、僕からするとわかりやすくて楽だ。


 ベーコンや卵など、幾つか食材を買って家に向かう。それほど時間は経っていないはずだがもしかしたら誰か起きているかもしれない。少し急いで家まで戻ろう。


 家まで戻ってきたがまだ誰も起きていないようだった。皆が起きるまでに朝食の用意も済ませてしまおう。とは言ってもカリカリのベーコンとスクランブルエッグを作るだけなのでそれほど時間もかからない。後は盛り付けるだけになった段階でリンちゃんが起きてきた。



「おはよう」


「おはようございます。すみません、朝食まで作ってもらってしまって」


「いいよいいよ、顔洗ったらレン君を起こしてきてくれる?」


「わかりました」



 リンちゃんがレン君を起こしに行っている間にマキナちゃんを起こす。



「ほら、マキナちゃん。朝御飯できたよ、早く起きて」


「うぅん、わかった~」


「御飯食べる前に顔洗っといで」



 寝ぼけ眼でふらふらと顔を洗いに行ったマキナちゃんを見送って、朝食の用意を進める。食卓の汚れを異能で落としてお皿に料理を盛り付ける。食卓に並べて後は食べるだけといった段階で皆が戻ってきた。



「おはよう、レン君。御飯できてるよ」


「おはよう、ソラさん。ありがとう」



 皆で食事を始めると、リンちゃんが僕に質問してきた。



「家に卵なんてなかったと思うんですけどどうしたんですか?」


「皆が起きる前に散歩ついでに買い物に行ってきてね。その時に買ってきたんだ」


「いつの間に。全然気付かなかった」


「ソラの事だから音とか伝わらないようにしてたんだと思うよ。気が付かなくても仕方ないよ」


「昨日から思ってたけどソラさん異能が使えるんだな」


「うん、使えるけどそれがどうかした?」


「こんな身近で異能を見たの初めてだったから気になったんだ」


「レン君はまだ異能使えないの?」


「ああ、だから興味深くてさ」


「でも組合には他に使える人だっているんじゃないの?」


「いるだろうけど、基本リンと二人でやってたからな。使える人と関わりが無いんだ」



 異能について矢継ぎ早に質問してくる。リンちゃんも質問こそしてこないが、興味津々な様子で話しに耳を傾けている。一通り質問してきた後、僕にこうお願いをしてきた。



「俺たちを強くして欲しい」






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