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超能力者の魔法世界紀行  作者: 富悠
23/103

ー23ー 救出






 ゲメの街から伸びる街道を進み続けて二日ほど経っていた。街道周辺にはなるべく魔物が近づかないよう工夫をされているみたいで、出発してから今まで兎以外には出くわしていなかったがついに魔物が襲ってきた。

野犬のような魔物が三体僕たちに襲い掛かってきている。とはいえたいして強い感じもしない。油断をするつもりはないが変に焦る必要もないだろう。



「ソラ一人で大丈夫?」


「多分。このくらいなら僕一人で問題ないよ。もしそっちに行っちゃったらごめんね」



 三体のうち一体が走って向かってくる。残りの二体は様子見をしているのかじりじり距離を詰めながら威嚇している。全力を出しているわけではないだろうがそこまでの速さではない。間合いに入った瞬間僕をかく乱しようと左右に動いているが、異能で動きを感知していなくても十分に捕捉できる。一際大きく周囲を回った後、大きく口を開けて僕に向かって飛び掛かってきたが側面に回り込んで首根っこを掴まえる。



「こいつって食べられるのかな?」


「食べられると思うけどそいつの調理の仕方わからないよ」


「僕もわからないしなぁ、こいつの肉は要らないか」



 マキナちゃんと話している間も必死で拘束から逃れようと暴れているが掴んだまま離さない。残りの二体も助けようとしているのか僕の近くをうろうろしている。変に時間をかけてもしょうがないのでさっさと始末してしまうとしよう。


 

「ガァウッ!」


「おっと」


「キャンッ!?」



 二体のうち一体が飛び掛かってきたので掴んでいた奴をぶつけて弾き飛ばす。そのままの勢いでもう一体に向かって投げ飛ばす。



「「ギャンッ!?」」



 二体が互いに絡み合って転がっている間に、弾き飛ばした奴の首を踏み折って止めを刺す。絡んでいた二体が起き上がっているが、体勢を整える間に一気に接近する。接近した勢いのまま蹴りつけると胴体がくの字状に折れ曲がり、血を吐いて動かなくなった。最後の一体は慌てて逃げようとしているが、蹴りを放った体勢から踵落としで首の骨をへし折った。



「終わったよ」


「見てたよ、前に比べて大分強くなったね」


「ワイルドベアに比べれば大したことなかったよ」


「あれと比べればそうだろうけどさ。それにしても異能も使ったら随分威力が上がるんだね」


「ん? 別に異能はつかってないけど?」


「え? じゃあ身体能力だけであの威力だったの?」


「うん、普段から異能を使って肉体も鍛えているからね、前に比べれば大分筋力とかも上がってるよ」


「うぇー、異能も使ったら威力ヤバそう」


「今のも別に全力ってわけじゃなかったからもし異能も使ってたら爆散してたかもね」


「加減してくれて良かったよ。そんなことになったら返り血で酷いことになりそう」


「そこまで考えてなかったな。今後は気をつけないと」



 今まで全力をだしてもそんなに威力が出なかったから気にしなくても良かったけど思ってたより強くなってたみたいだ。村の外の人がどれくらい強いのか知らないけど場合によってはしっかり加減しないと殺してしまうかもしれないな。



「それにしても魔物出てきたね。次の街まで何も無しってのは流石に都合が良すぎたね」


「組合で聞いた話だとこの辺に出てくるのは大体このくらいの強さみたいだから、次の街に行くまで心配なさそうだね」



 魔物に襲われてから数時間、何事もなく道を進んでいると前方で戦闘の気配を感じた。探ってみると人間二人が先程と同じ種類の魔物の群れに囲まれているようだ。



「マキナちゃん、先の方で魔物に襲われてる人がいるみたいだからちょっと急いでもいい?」


「わかった。危なそうなら助けてあげよっか」



 走り出してそれほど時間の経たないうちに様子が見えてきた。15歳くらいの男女が襲われている。なんとか抵抗しているようだが、魔物の数が多くて防ぎきれず二人ともボロボロになっている。明らかに助けが必要そうに見えるが念のため声をかける。



「すみません、助けは必要ですか?」


「お願いします、助けてください」


「わかりました。マキナちゃん、半分お願いできる?」


「オッケー、任せといて」



 僕が男の子、マキナちゃんが女の子を襲っている魔物にそれぞれ向かう。先程と同様勢いのままに蹴り飛ばす。マキナちゃんも僕と同じく蹴り飛ばしたみたいだ。僕が蹴ったほうみたいに半分に折れ曲がったりはしていないが、致命傷にはなったみたいで生命反応が無い。そのまま氷の魔法を駆使して周囲の魔物を確実に減らしていってる。向こうの状況を感知しながらも僕も周囲の魔物の相手をしていく。先程は使わなかった異能を使って迅速に数を減らしていく。僕に襲い掛かってくるのは直接殴りつけたり、蹴り飛ばして始末する。僕を無視して彼らを襲おうとする個体は念動力で地面に叩きつける。群れの大半を始末したところで残った奴らは逃げ帰っていった。



「ふぅ、これで終わりかな。僕の感知できる範囲からは居なくなったみたいだ」


「危なかったね、怪我は大丈夫?」


「あ、ありがとう」



 マキナちゃんが襲われていた二人に声をかけていた。二人は疲労困憊みたいで地面に座り込んでいる。様子を見る限り二人とも体中傷だらけだが命に係わるほどではないみたいだ。それにしても一度にあれほどの数が出てくるのが当たり前なんだろうか? そうだとしたら武器を持っているとはいえ若い子二人ではかなり危険だと思うが。



「疲れているところ悪いんだけど動けるようになったら移動しようか。血の匂いに誘われて他の魔物が寄ってくるかもしれないからね」


「はい、助けてもらってありがとうございます」


「間に合って良かったよ、少し休んで動けるようになったら教えてくれるかな?」



 彼らが動けるようになるまでに死体の処理を済ませてしまおう。


「すみませんもう大丈夫です。今から動かないと夜になる前に街まで戻れなくなります」



 一通り処理が終わった頃にそう言って立ち上がった彼を見て、女の子も立ち上がった。少し辛そうだがゆっくりと歩き出した彼らについて行きながら、何故あんな状況になっていたのか聞いてみることにした。











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