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超能力者の魔法世界紀行  作者: 富悠
19/103

ー19ー 挨拶回り






 あと数日で旅に出るので、お世話になった皆に挨拶しに回っている。今向かっているのはペルラさんのところだ。



「聞いたよソラちゃん。しばらく森を離れるんだって?」


「ええ、ちょっとガトランドに用事ができまして」


「寂しくなるねぇ」


「なるべく早めに帰ってこれるようにしたいんですけどね」


「ガトランドまでは結構かかるんだろ?」


「そうみたいですね。行ったことがないので実際にどれくらいかかるかはわからないんですけど」


「体に気をつけるんだよ。元気な状態で森に戻ってきておくれ」


「はい。ありがとうございます」


「わざわざ顔出してくれてありがとうね。まだ挨拶に行く家があるんだろう? あんまり時間をかけちゃ他の皆に悪いからね。もう行っておやり」


「はい。行ってきます」






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「あと何日かで出発するんだろ? もう準備はできてるのか?」


「はい。水については困ることはないですし携帯食料や街で必要なものを用意しておけば大丈夫そうです」


「ああ、異能のおかげでそのへんはなんとかなるんだったか? 随分便利なもんだな」


「以前ならできなかったんですけどね。位階が上がったおかげでかなり使い勝手がよくなりました。戦闘に使えるようになったのもいいんですけど、日常で役に立ってくれることのほうがありがたいですね」


「旅に出る前に位階が上がって良かったな。それがあるのとないのじゃ荷物の量が大分違ってくるだろ」


「そうですね、必要最低限の荷物でも何とかなるので、大分身軽でいられます」


「森の中では魔物ばかり相手にしていただろうが、外では野盗なんかも出てくるし、人間を相手にすることも増えてくる。今までとは違う事も多いから気をつけろよ」


「はい。僕は対人戦はウルフィンさんとの組手くらいしか経験が無いんですけど、大丈夫ですかね?」


「野盗やらその辺の奴等は、お前の相手にもなんねぇよ。だが油断するなよ、人間は魔物と違って汚い事も平気でするからな」


「気をつけます」


「いいか、野盗に限らずクズみたいな奴は街の中にも山程いる。お前を騙そうとする奴もいる筈だ。苛つかせたり、動揺させたりして正常な判断を奪おうとしてくる。日常生活に限らず、戦闘でもな。だからなるべく冷静でいるよう心がけろ。お前を挑発してくる奴が何を狙っているか考える事を忘れるなよ」


「わかりました」


「まあ、お前の異能でその辺は見破れるのかもしれないが、どんな奴がいるかわかんねぇからな。異能が通用しない事もあるかもしれねぇし注意しとけよ」


「はい。ありがとうございます」



 その後もいくつか注意点や対処法などを教わってから、ウルフィンさんの家を後にした。






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 大体の挨拶回りが終わって残るはフィリアさんとユキナさん達だ。ユキナさん達はお隣さんなので先にフィリアさんに挨拶に行こう。



「よく来たなソラ。他の皆とはもう話したのか?」


「はい。後はフィリアさんとユキナさん達だけですね」


「そうか、もう準備も粗方終わってるだろうし、注意すべきこともウルフィンから教わっているだろうからな。後はもう体調を整えて出発するだけか」


「そうですね、こんな長距離の遠出なんて今までしたことがなかったので少し緊張します」


「ガトランドに行ったところで異世界召喚の詳細が分かるとは限らんぞ。ガトランドにとっても重要な情報だろうからそう簡単には調べられないはずだ」


「流石にそこまで簡単に事が運ぶとは思いませんが、異能を上手いこと使って調べられないかなと思いまして。後は召喚された三人に接触できれば教えて貰えないかなと」


「異能はともかく他の三人に接触するのはおすすめできないな。今までは存在を知られていないからよかったが、知られた場合どうなるかわからん。最悪他の三人と同じようにいいように使われるぞ」


「拉致同然にこの世界に連れてこられたので僕はガトランドの印象は良くないんですが、フィリアさんもガトランドのことを随分嫌ってますね」


「長く生きている奴らなら大概ガトランドのことは嫌っているだろうな」


「昔に何かやらかしたんですか?」


「昔というか今回もというか… ガトランドは今までに何度も異世界召喚を行っているが、理由が他国に戦争を仕掛ける為だ」


「え? でもそれなら周囲の国から袋叩きに遭うんじゃ?」


「表向きの理由は違うからな。他の種族を滅ぼそうとしている魔人種の国に対抗するためという建前で召喚している」


「表向きってことは実際は違うんですよね? 他の国はそれを信じているんですか?」


「魔人種が危険という認識は世界中に広まっているからな。周囲の国が全てを疑っているというわけでもないんだ」


「フィリアさんを見る限り危険な種族には思えませんけど」


「当たり前だ。魔人種が危険という風潮も大昔にガトランドが広めたのが原因だ。仕掛けてきた戦争を返り討ちにしたり、攫われた子供たちを取り返しに襲撃したことなどを自分たちに都合よく広めていたからな。今思えば当時のガトランドの王がそういう類の異能を持っていたのだろうがな。それに嫌気がさした魔人種が山脈を越えて大陸の奥に引っ込んだのだ」


「まともな接点が無くなった結果、魔人種が危険という話がさらに広まったんですね」


「だからなるべくなら他の三人とは接触するな。ガトランドから何を言われてるかもわからんしな。善意でお主のことをガトランドに報告するかもしれん」


「わかりました。不用意な接触は避けることにします」



 元々いい印象はなかったけど、話を聞く限りだとろくでもない国だ。無理やり拉致してきて兵士に仕立て上げるなんて冗談じゃない。異世界召喚の秘密を調べたらさっさと国を出よう。ばれたらどうなるかわかったもんじゃない。















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