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超能力者の魔法世界紀行  作者: 富悠
100/103

ー100ー 飛空艇 ー5ー







「今回お前達が狙っていたのは私だな? ソラとマキナはあくまで近くにいたから排除する為に一緒に襲われただけで」


「ああ、そうだよ。事前情報でそいつが厄介だって話は聞いてたからあんたから引き離した。そのガキんちょのことは特に言及されてなかったから、残りの面子で囲んじまえば仕留めきれると思ってたんだがな」


「なにそれー、酷くない? そんなに弱いと思われてたの?」


「まったくだ、わかってればもっと違うやり方でやったんだけどな」


「それで本題だ。私を狙うよう依頼をしたのは誰だ?」



 思っていた通りフィルの確認したいことは襲撃を企てたのは誰かという事だった。僕達の予想では第一王子だったけど実際はどうかな?



「悪いがそれだけは話せねえ」


「それならお前達は解放できんな」


「話したくないとかじゃなくてできねえんだ。これだけは勘弁してくれ」


「できないだと?」


「依頼を受諾する時にそういう契約魔法を使われた。俺達も失敗するつもりなんてなかったから普通に受け入れたんだ」



 契約魔法? 特定の行動をできないよう制限する魔法かな。



「つまりお前達を仮に拷問にかけたところで依頼主の名前を聞き出すことはできないということだな」


「そうだ。名前を口にしようとしても声が出なくなる」


「えー、じゃあこいつらどうする? ここにいられても邪魔だし、かといって解放してまたちょっかいかけられても面倒だよ」


「とりあえず別の事を聞き出す。今回の襲撃に加わっている人員で、ここにいる人間以外に後どれくらいいる?」


「遠距離から監視しているヤツが一人いるだけだ」


「お前達の仲間以外で参加している人間はいないのか?」


「少なくとも俺の知っている限りではいない。隠されていたり後から参加したってやつは知らねえけど」



 ソリアの言っていることが正しければ僕が気絶させたヤツを含めれば襲撃に参加した人間はこれで全員か。それにしても困ったな、一番肝心なことが聞き出せなかった。なんとかできないかな?



「ねえソリア、契約魔法で制限されているのって言動だけ?」


「どういう意味だ?」


「文字で伝えたり身振りなんかで意思疎通を図ったりもできないの?」


「できない、それに繋がる行動をしようとすれば体が勝手に止まっちまう」


「体が動かないだけで意識はあるんだ?」


「ああ、やめようとすれば動かせるようになる」


「うーん、頭の中を覗ければ教えて貰わなくてもわかるのにね」



 頭の中を覗ければ? マキナちゃんの言葉に異能でできるのではないかと閃いた。超能力には確かテレパシーなんかもあったはずだ。できる気がする、というか今まで似たようなことはやってたのになんで思いつかなかったんだろう。


 今まで感情や意識の動きなんかは感知できていたんだ。能力の方向性をそっちに絞って、より深くまで感知できるよう意識を傾ける。


 縛られた状態で床に転がっているソリアの傍でしゃがみ込む。



「ん? なんだよ」



 不審に思ったのかソリアが尋ねてくるが無視してソリアの頭に手を乗せる。


 手のひらを通してソリアの思考に入り込んでいく。駄目だ雑多な思考が入り混じっていて知りたいことを探し出せない。使い方に慣れないと、必要な情報を頭から抜き出すのはまだまだできそうにないな。とりあえず名前を思い浮かばせよう。



「ソリア、ちょっと依頼主の名前を頭に思い浮かべてみて」


「はあ?」


「いいから}


「なんなんだよ」



 ソリアに思考を一本化させると、他の思考をかき分けて浮かび上がってきた。これがフィルを狙っているヤツの名前か。



「わかったよ」


「なにっ!? どうやって、まさか俺の思考を読み取ったのか?」


「そ、どうやらフィルを狙っているのはカーライルってやつらしいよ」


「っ!?」



 ソリアの反応からして僕が読み取った名前は間違ってなかったみたいだ。



「やはりか」


「その反応、ソラが言ってたカーライルってのが第一王子なの?」


「そうだ、カーライルとは我が兄、ヴァントゥールの第一王子だ」


「同じ名前なだけの違う人の可能性はないの?」


「確かに世界にはカーライルという人間は他にもいるだろうが私が関わったことのあるカーライルという名前の人間は兄上以外にはいない」


「じゃあほぼ間違いなさそうだね」


「名前も分かったことだしこいつらはどうする? もう解放する>」


「ちょっと待て、最後にもう一つ聞きたい。私を狙っている理由については言っていたか?」


「それについては知らねえ、依頼人がどうしてターゲットを殺したいかなんざ俺達には関係ないからな」



 まあそれはそうか。事情によっては仕事は受けないなんて言ってたら暗殺者なんてやってられないか。



「もういいぞ、マキナ、縄をほどいて解放してやってくれ」


「いいの? また襲ってくるかもしれないよ」


「構わん、ソラが戦った二人はともかく他の奴らに関しては一人でも対処できるレベルだ」


「なんだとっ!!」



 フィルの言い草に唯一最初から起きていた男が怒りの声を上げる。まあ警戒するに値しないって言われたみたいなもんだもんな。



「やめとけ、せっかく解放しようとしてくれてんだ。突っかかるんじゃねえ」


「ほら行け。次に襲ってきたら容赦せんからな」



 起きている二人が他の四人を抱えて部屋を出ていったのを見送り扉を閉めると、後ろから大きく息を吐きだす音が聞こえた。



「ふぅ」


「フィル、大丈夫?」



 マキナちゃんが心配そうにフィルを覗き込んでいる。フィルは疲れたように椅子に腰かけうなだれている。



「あまり大丈夫ではないな。わかっていたことだが、やはり少しショックだな。すまないが少し一人にしてくれないか」



 マキナちゃんと顔を見合わせた後、フィルを残して僕達も部屋を出ていった。





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