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JUN-AI ~身がわりラヴァーズ~  作者: よつば猫
巡愛
47/48

 もしかすると……

響への想いに比例して、一真への後ろめたさが増えたから。

それがストレスになって、あの手強い中途覚醒の、1番の原因になっていたのかもしれない。


 だからお義母さんの……

愛は変化する、私の幸せを願ってるという言葉で、そのストレスが軽減されたのだろう。


 次の日曜、お弁当を作りながらそんな事を考える。



 他にもこの1週間、色々と考えた私は……


「ねぇ今日、秀人と食事に行きたいんだけど……

ダメ?」


 秀人の気持ちを汲んで、その想いは知らない事にするけど。

どうしても、面と向かって今までのお礼を伝えたかったのだ。


 でもそれは、秀人の想いを知ってる響を、不安にさせてしまうかもしれないけど……


「全然いいよ?」

いつだってその人は、私の気持ちを温かく受け入れてくれるから。


 もっと、ちゃんと、幸せにしたいと思った。




 そうして、秀人をランチに誘い出すと。


「彼氏と、なんかあったのか?」

響をそう呼ぶようになったその人から、誘ったわけを心配そうに伺われる。


「ううん、そうじゃなくて。

秀人にちゃんとお礼が言いたくて……

色々と、ありがとう」

そう握手の手を差し出すと。


「俺は別にっ……」

戸惑った様子で、そっと触れてきて……

ぎゅっとされる。


 なぜだか切ない想いが込み上げて来た。


「……秀人には、言い尽くせないほど感謝してる。

ずっと自分の事で精一杯だったから、色んな事が見えなかったけど……

秀人が支えてくれなかったら、今の私はなかった。

だから……

今まで本当に、ありがとうっ」


 高まる思いに涙が滲んで……

いつしか私も、ぎゅっと握り返してた。


 秀人も同じ様子で……

握られた手が、さらに締め付けられていく。


 だけどそれを誤魔化すように、いつもの調子に切り替わる。


「俺はなんもしてねえよっ。

っ、よしっ。

このまま腕相撲でもするかっ!」


「なんでそーなるワケっ?

けど……

いつも一真と、なにかにつけて腕相撲してたよね。

……そういえば、あの時は何がきっかけだっけ?」

おもむろにそれを振り返る。




 腕相撲で勝負の最中。


「憧子っ!

絶対勝つから見てろよっ?」


「いや憧子っ、俺のが勝つから見てろよっ?」


「なに呼び捨てしてンだよッ!」


「なにケチケチしてンだよッ!」


「ケチでけっこー!

俺はそんだけ憧子にハマっ、」


「勝手にノロケてろっ」

一真の戦意が乱れた隙に秀人が攻める。


「おまっ!狡ィだろっ」




「それでも無理に勝とうとして捻挫しちゃうんだから、馬鹿だったよね……」


「……だな」


 2人して、懐かしさに目を細めた。


「つか。

おまえとこんなふうに、あいつの話が出来るようになるなんてな……」


「えっ?」

ボソボソと呟かれた声は聞き取れなかったけれど。


「いやっ、やっぱり腕相撲するぞっ!

あん時のきっかけは、どーせくだらねぇ事だろーけど。

おまえが一真のリベンジしろよっ」


「はっ?

本気でっ?

こんな場所でっ?」

他のお客さんの視線が気になる。


「いーからほらっ!

おまえは両手で、あっ、顔も使っていいぞっ?」


「どーやって使うのよっ」



 結局、強引にやらされたものの。


「ビクともしないんだけどっ……

痛っ!

なんでそんな強く握るのっ?」


「っ、ワリっ」

秀人の力が緩んだところで。


「隙ありっ」


「うわっ!おまっ……

ほんとにリベンジしやがった」


 なんて、わざと負けてくれたってわかってる。


「じゃあ負けたから、なんか言う事聞いてやるよ」


「え、そうなのっ?

じゃあ……

これからも、友達でいてくれる?」


 それは秀人にとって残酷だろうか?

だけどもし気を使って距離を置こうとしてるなら、そんな他人行儀な事はしてほしくなかった。


「それおかしくねぇかァ?」


「え……」

やっぱり残酷で我儘な頼みだったのかと、申し訳ない気持ちで戸惑った矢先。


「言われなくても、俺とおまえは一生親友だっつの」


 その言葉に、ぎゅっと心を抱き締められて。

とっさに俯いたけど。

思わず落ちたひと雫に、その人は気付いたのだろうか……

ぽんぽんと、優しく頭を撫でられる。


「んっ、ありがとう……

秀人ありがとうっ……」


 いつか私が、その人の力になれますように。





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