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そして響を想うほど、中途覚醒は酷くなる。
それは回数だったり時間だったり……
どうしよう、このままじゃ身体が持たない。
今はGWの連休で、仕事が休みだからよかったものの……
もっと強い眠剤に変えてもらおうか?
それとも量を戻そうか?
でも断薬まであと少しだから、ここで逆戻りしたくない。
響のサポートを無駄にしたくない。
なのにその人の、思わぬ提案。
「……憧子さん。
いったん減薬、休憩しない?」
「えっ……」
どうしてそう思ったのだろう。
まさか、中途覚醒に気付いてるのだろうか?
そういえば響も、いつからか眠そうにしてるし。
もしかして、頻繁なそれで起こしてしまってるんじゃ?
心配になって戸惑うと。
「目の下にクマが出来てるから、あんまり眠れてないんじゃない?」
最もな理由が告げられた。
でもクマは、異動準備で大変な響だって出来てるし……
「……大丈夫。
私も今仕事がハードで、疲れてるだけ」
響の事だから中途覚醒を知ったら、毎回は無理でもそれに付き合ってくれるだろう。
でもその時間は一真との時間だし、響に無理もさせたくない。
そう思って、クマを疲れのせいにした。
「だったらなおさら、減薬は休憩しよう?
疲れてる時は無理しない方がいいし、気長にやってこう?
あと、お弁当もしばらく休もっか」
「響……
ありがとう。
もう少し様子を見て、キツかったらそうする」
無理はしない、必要以上に頑張らない。
そう決めてたけど……
今はもう少しだけ、頑張りたい。
だけどそう言われて、気持ちが楽になったのだろう。
お弁当も強制休暇を取らされて。
それ以来、中途覚醒が若干治まった。
やっぱり治そうとしてるのが、プレッシャーになっていて……
それも原因の一つだったんだろう。
そうして、GWも明け。
仕事から帰って来ると……
「今日さ、ひでとさんに会ったよ」
「えっ、どこで?」
「新店舗」
なんでも、今日休みだった響はオーナーさんと視察を兼ねて、そこを工事している大工さん達に差し入れに行ったのだとか。
その大工さん達の中に、まさかの秀人がいたようで。
どうやらオーナーさんと、秀人の会社の社長さんが知り合いだったらしい。
「大丈夫?
なにか失礼な事、言われなかった?」
その発言はむしろ秀人に対して失礼だけど。
感謝や申し訳ない気持ちはあっても、それとこれとは別問題で……
「特に。
むしろ、あの人の事見直したっていうか……
ごめん、偉そうな言い方して悪いけど」
「ううん、見直したって何を?」
「ん……
なんかムードメーカーで、腕もすごくいいみたいで。
みんなに慕われてた」
「うん……
秀人は本当に優しくて、面倒見もいいから」
友人を理解してもらえて、嬉しい気持ちで目を細めた。
「……なのに、お互いの気持ちは自覚してないんだ?」
「はっ?……なんの事?」
気持ちの自覚という言葉に、過剰反応してしまう。
まさか私の気持ちがバレてる?
でもお互いって誰と誰?
「……なんでもない」
結局それ以上、聞き出せなかった。
そんなある日、何かの感覚で目を覚ますと……
私の指先にキスしてる、響が映り込む。
瞬間、バチッと目が合って。
「あ……
ごめんっ、起こしたっ?」
「ううんっ、いま何時っ?」
2人して動揺する。
でもなんでそんな事を、そんな愛しそうに……
時間を耳にしながら、そう思ってハッとした。
眠ってれば、私のパーソナリティはほとんど封じられ。
このビジュアルだけが残って、ちひろさんに1番近い状態になる。
そう気付いた途端。
膨らんでた胸が潰されて、眉をひそめて唇を噛みしめた。
「……ごめん、引いたよね」
その謝罪はコピー扱いしたのを認めたようなもので……
「謝らないでっ。
私は別に、気にしてないから……」
嘘、ほんとはすごく切ない。
ー「たぶんこの先も、千景以外愛せないんじゃないかなって」ー
響の言葉を思い出して、いっそう切なくなる。
少しでいい、私も響の愛が欲しい……
それから幾日が過ぎて。
朝、携帯を充電器から外そうとしていたら……
その横で充電している響の携帯画面に、ツイッターからの通知が表示される。
え、響もツイッターしてたんだ?
そう思ってすぐ。
ー「憧子さんツイッターとかしてるんだ?
おもしろい?俺もやってみようかな~」ー
そんなやり取りを思い出す。
本当にやってみたんだ……
どんな事を呟いてるのか、無性に気になる。
さっそくその日、仕事を終えると。
車に乗りなり、ツイッターを開いて友だち検索をかけてみた。
仕事中、響のツイートが気になってしょうがなかったし。
家に帰ると、今日休みの本人がいるだろうから。
その検索は、アドレス帳に同期して知り合いを探す機能で。
今までオフにしていたそれを使うと……
響は初期設定で誘導されるままオンにしていたのか、すぐにそれらしいアカウントが表示された。
アカウント名をKと名乗るその人の、アイコン画像は美容師の道具で。
ユーザー名には、ローマ字でちひろさんの名前が含まれていて。
響だと確信したと同時、ズキリと胸が突き刺される。




