表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
JUN-AI ~身がわりラヴァーズ~  作者: よつば猫
覚醒
25/48

 3月。

繁忙月の響は、第3日曜の今日も遅くまで働いてて。

秀人も、響の存在を知ってから誘って来なくなっていて。

最近は休日をぼうっと過ごす事が少なくなった私は、今日も響の代わりに掃除に励んでた。



「いつもありがとう、すごく助かる。

でも、無理はしなくていいからっ」

帰って来た響に労われる。


「ううん、平気。

それに、何かした方がよく眠れるし」

淋しさも紛れる。


 だけど、一真に対しての淋しさは変わらないはずなのに……

新たに感じてる、この淋しさはなんだろう?


 ふと、淋しさで逆ナンしていた頃を思い出して……

なんて事をしてたんだろうと、おかしくなってた自分に今さら驚く。


 きっとその頃は、それほど追い詰められていたんだろう……

それに気付いたという変化も、響のおかげに他ならなくて。

そんな響や、変化を私自身の力だと言ってくれた事に報いるためにも。

本当に自分で変化を起こしたいと思った。


 今までは、例え相手が専門家だろうと。

誰かのアドバイスでどうにかなるような問題じゃないと、決め付けてたし。

それを試して効果がなかった時、もっと絶望に追い込まれそうで怖かった。


 でもこれまでの変化を前にして、何か効果があるんじゃないかと思った私は……

相変わらず治まらない中途覚醒の、改善に向けて。

翌日から、その方法を調べ始めた。



 その結果、原因としては……

ストレスや運動不足が、特に当てはまり。

身体をあまり動かさず、ぼうっと過ごしてた休日や、ストレスが強い時に中途覚醒が多かった事に納得した。


 そして改善方法を調べていくうちに、睡眠ホルモンのメラトニンを増やす事にたどり着く。

掛かり付けの心療内科医から耳にして、聞き覚えのある名前だったけど。

その生成には、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンが欠かせないらしい。


 すると、サイトによって多少の違いはあるものの。

セロトニンの生成に適した食材として、バナナが出て来て驚いた。


 バナナは、それに必要な栄養素を全て含み。

朝陽をしっかり浴びる事がこのメカニズムに重要なため、朝食でバナナや乳製品を摂るのが効果的と記されていて……


 偶然だろうか?

でもそれをしてくれてる響は、私が眠れないのを知っていて……

確かそう、眠剤を見られた後にそれは始まった。


 もしかして私のために?

これを調べて、わざわざ早く起きて、簡単とはいえ苦手な料理を?

それも毎日、どんなに疲れてても欠かす事なく。


 それだけじゃなく、セロトニンを増やすには……

笑う事は無理でも、話す事や思い切り泣く事も効果的らしく。

響は私にそれをさせてくれてる。


 他にも、シャンプーや頭皮マッサージなんかも効果的との事で……

頭皮には睡眠に効果的なツボがたくさんあって、長年の不眠症が改善された例も多いらしく、私もいつもそれで眠気を誘われてた。


 なにより驚いたのは……

セロトニンが活性化されるという、1日5分以上のリズム運動。

特にガムを噛む事が勧められていて……

そういえばキスガムで口移されものは、味が長続きするものだったと思い返す。


 そして効果が現れるには、3ヶ月ほどの継続が必要らしく。

確かに、私が眠気を感じ始めたのは最近で……

この前眠剤なしで眠れたのも、初めてのキスガムから3ヶ月を過ぎていた。


 ここまで偶然が続くと、もうそうじゃなくて。

響の睡眠改善プログラムとしか言いようがない。


 私の知らないところで……

誰に感謝されるわけでもなくっ……

そう思って涙が込み上げる。


 きっと、このプログラムを直接勧められてたら……

プレッシャーになったり、そんなの効果ないって拒んでた。


 それを想定してたからじゃないかもしれないけど。

私の力だと言ってくれた響だから、恐らくこのプログラムを明かすつもりはないのだろう。


 その人はただ、寄り添うように、そうっと支えてくれていたのだ。


 響……

早く響に会いたい。



 その日、「ただいま」の声を聞くと。

すぐにその人に駆け寄って……


「おかえりなさいっ」

思わず抱きついた。


「え、どうしっ……

なんかあったのっ?」


 あった。

だけどその人が明かさない事を、口にするわけにもいかず。


「うん……

ちょっと、嬉しい事があって」


「嬉しい事っ?……どんな事?」


「……秘密」


「え、秘密っ?

すごい気になるんだけどっ。

……でも、嬉しいなら良かった」


 そう抱きしめられて、もっと嬉しくなる。



 私も響に、何かしてあげたい。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ