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交渉

「そうだね。本当にこちらの言葉がわかるってことは、やっぱ、交渉のしがいがありそうだ」

森の暗闇から、声が聞こえ、男が出てきた。

その男の名は―――ゼエン。

「日本語?喋れるのか?」

隣で竹杉(めっちゃ頭いい子)が言う。

(あえて、魔族の言葉で話しかけてきたってことか… 一体何故だ?)

と竹杉は考え、行動に移す。

「日本語も喋れるってか。わざわざ大層なご登場じゃないか。……何が目的だ?」

「そうだね。申し遅れました。お――私は、魔族の王子になる男だ」

(交渉は第一印象が大切だ!!口調まで気を使わなければ。)

だが、そんなゼエンの思惑も、境木の前には無意味である。

おさらいだが、彼女の特殊スキルは「読心」。つまり、相手の心が読める。

(え?えー交渉って何ーー???)

「あの…交渉ってなんですか…」

「?????」

(は!?何でこいつ、こっちの目的を知っているんだ???)

「そろそろ、魔族として、私に殺されたいのかしら?」

安田(ヒール使うトゲトゲ女)が言う。てか、お前、そんなに強いか?

(えええええ初対面に人に、普通そんな事言う!??だって、こっち魔族ですよ!??)

「いやー校外学習でも、安田はお美しいなああ」

山田が言う。やっぱいつでも、通常運転だねー。

(????????????????????)

「あはは…魔族の人も混乱しちゃってるよ…」

境木も諦めモードである。

「で、本題って?」

竹杉が言う。

「俺は―――」

そう言って、ゼエンは僕達に交渉し始めた。

「俺は、魔族の王子だ。だが、王の座は兄と競うことになっている。

事実、兄や、そっちに着く上皇は、俺の仲間を侮辱した。やはり、そのことだけは許せない。

だが、世論では、原則に基づいて兄が推されている。

俺が王座に着かなければ、この暗い社会は変えられない。

今の魔王国は、昔の活気が何一つ残っていないんだ。魔族じゃない、魔獣族という種族が、ちょくちょく国を襲っては、民が犠牲になっている。皆が一つにならなければ、勝てない相手だ。

そのためには、俺が絶テェに王にならなくちゃならねぇ。そこでだ。

新たなる戦力が必要なんだ。それが、テメェら、人間だ。

人間も、魔族も、ここ二百年間、交流も争いもない。なら、互いに憎しみ合っているわけでもない。

せっかくなら、魔族の民だけじゃなく、人間も救ってやりたんだ。

魔獣族という種族は強大だ。いずれ、人間たちも襲われる。

奴らを倒すには、やはり、人間の戦力が必要だ」

「ふーん。大体は分かった。 じゃあ、こっちが交渉に乗るメリットは?」

竹杉が言う。やっぱ、頭の回転が速いなぁ。

「人間が襲われたときに、魔族もともに戦う」

その男が言う。

「それじゃあ、メリットが弱い。こっちは、王座争いと魔獣族、二回戦わなくちゃならないんだ」

まあ、そんな感じか。そういえば、昨日の朝、テレビのニュースであったな。

魔族林で魔族が目撃されたなんて話。

「いきなりすぎるなぁ」

俺が呟いた。

え??みたいな雰囲気だったから続ける。

「こっちは、人間たちの説得までしなきゃいけないんだから」

そうだろ?そこが一番ネックなんだよ。人間の戦力なんて、大勢なきゃ意味がない。

そのためには、何でテレビ放送とかに出ないんだよ。あ、知らなかったのか?

個人に言ったところで、多くの人間を仲間にできやしないんだ。

「そうだね……」

男が黙る。すると、雰囲気を察したように、はじめの女が言う。

「ていうか!!あんたたちだって、魔獣族にやられるかもしれないのよ?だったら、メリットなんか考えずに、ゼエンの交渉を受け入ればいいじゃない!!」

そっか。この男の人、ゼエンっていうのか。そうか。そうか…

「違うんじゃ、リーシャ。メリット以前に、実現が難しいんじゃ」

男の後ろから、更に、白いひげのおじいさんが出てきて言った。

「マカン!!どういうことよ!!」

「戦力が根本的に足りない、ってことかな…」

ゼエンって奴が答えた。

その後独り言のように、マカンが

「せめて、ゼエン様が、王族の特殊スキルを使えれば…」

「王族??一体何のことだ?」

おれが聞き返してみた。

「そうだな…マカンの特殊スキルで見させるのが、効率的だな。マカン、頼む」

「はい!!すみません〜」

そういって、俺達の頭を、ポンッと触る、マカン。

いや、なんか、いつの間にかこいつら(魔族の人たち)と打ち解けてる自分がいるんだが。

「じゃあ、始めますよ」

あれ?頭がボヤッとして……

鮮明に何かが見える。これは…

歴代、魔王国、国王の顔だ。

きっとこれは、誰かの記憶だろう。それに関しての知識が流れ込んでくる。

国王の人たちが戦っている画像が、映し出される。

この人達、攻撃があたってない!!すべて、攻撃を、()()避けてる。

え?でも、これって…俺と同じ―――

あれ??また、頭にボヤがかかって―――

でも、こんなに強いのか…それでゼエンは…

攻撃が早い!!攻撃が見えない?時間を止めてゆっくり見てみよーう。

――タイムスリップ―――

え??え???????????

ゼエンの攻撃が…動いている??

もう、時間は止めたし、他のものは何一つ、動いてないのに、なぜ??

後で、竹杉に話してみようかな。

「どうだったか?」

そういった、ゼエンの声で、頭がはっきりした。

「記憶の伝授?そういうスキル?」

安田が聞く。

「ああ。マカンの特殊スキルは『記憶』。人の記憶となくしたり、与えたりできるスキルだ。」

「ちなみに発動条件は、その人に触れることです」

「おお…酒がうまく飲めそうだな!!」

酒田先生がつぶやく。つくづく酒のことしか頭にないな。

「まあ、いいよ。ここまでやってくれたのもあるけど、力を貸してやる」

竹杉が言った。始めから、答えは決まっていたみたいだった。

次回予告

交渉は成功に終わった。ところで、ゼエンの攻撃が、時間が止まった世界でも見えたのは、何故なのか。

竹杉の考察回!!

次回《特殊スキル》

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