ガイナ撃退作戦!!
実は、ゼエンたちがセンゼナのもとにいたのには理由があった。
それは、戦力。
センゼナは、女として歴代初の第二騎士団、団長である。
センゼナを仲間にすることで、世論を上げるだけでなく、最終的に武力行使されたときの保険にもなる。
しかし、、、、
「で?妾がそっちの仲間になれというのじゃな?」
「はい…!!」
ゼエンが敬語を使って、必死にご機嫌取りをしているが、この女にそれは効かない。
「何でよ!!お母さん!!」
リーシャはセンゼナに言ってみる。
しかし、母の頑固さは娘のリーシャが一番知っている事実だった。
「分かっておる。常識的に考えれば、娘のいる陣営に着くじゃろう。だが、妾の子はリーシャだけではない。今も、リーシャの兄と、あ――もうひとりの兄が、潜入捜査に行っている。妾一家、この国の民の味方じゃ。妾に仲間に入ってほしいのならば、まずは世論で半数の人気を得ろ」
その、一点の曇りのない言葉に、
「はい」
ゼエンは答えた。
「センゼナ様、お時間ありがとうございました。そして、この時間を無駄にはしません。必ずしも、センゼナ様が快く入れるように、なります」
マカンが答える。コミュニケーション能力が高いと言うか…
「フッ、待って居るぞ」
そう言われ、三人はセンゼナの部屋を後にした。
リーシャは、自分の兄が、今何をしていたのか、ついさっき知った。
それほどまでに、リーシャ、つまり、センゼナ家は、民の味方で、自らを犠牲にしてまで尽くしているのだ。
「ごめんなさい、ゼエン…私のお母さん、頑固だから……」
リーシャが目を伏せながら言う。
でも関係なかった。
「いや、センゼナさん、とってもいい人だと思ったよ。俺も見習わなければならないな」
フッと笑いながら、ゼエンは言った。
センゼナはもとは平民出身なのである。
そのせいで、貴族からも見下されることもあったが、それ以上に、自らの特殊スキル「ワープゲート」を使いこなした、戦闘の実績があった。
誰よりも頑固で、正義感が合って、それでいて、心だって強い。それがセンゼナなのである。
(この国の民の味方、か。俺と同じだな。俺も、この国の民を守りたいのならば、覚悟を決めなければ。そのために、人間だって仲間につけたのだし)
まだまだ、道は長いだろうが、きっとやっていけるだろう。
(でも、いいなぁ。リーシャはとってもいいお母さんがいて)
ゼエンもつい、そう思ってしまった。
ゼエンの母と、この国のもと国王である父は、十二年前に殺し屋に殺されている。
しかし、その犯人はつかまっていない。
ゼエンは思い出した。
「――――真っ黒じゃない―――この―――て― 魔――後――――ふさわし―――――」
「――めください――くろざ――…―――の―――――」
「やめ――!!やめろ…――― ―して――――― お父さん――――」
「黒崎――黒崎―――」
所々、記憶にボヤが、かかってるようで、思い出せない。
でも、その感情だけは、思い出す。あの激しい憤りを。
ゼエンは拳を握りしめた。
「ところで、本当にこれからどうするのです?」
マカンが聞いている。
そのとーり!!どうすればいいんだ!!
「うーん………まあ、えーーっとなんかを…」
てな感じで無理やりひねり出そうとしたが、全然思いつかねえ!!
「あ、そうだ!!デーナ御兄に聞いてみる? 確か、明日、潜入捜査から帰ってくるんだよ!!」
リーシャが言った。
「ナイスアイデア!!それはマジで、アリよりのアリ!!………で、デーナ御兄?それって一体誰なんだ?」
聞いてみた。雰囲気的にリーシャのお兄さんなのは分かるんだが…
「あ、御兄のこと、機密情報だった………」
おーーーい!!ふざけんなっ!!「あ、」じゃねーよ!!そんなんじゃ、意味ねええええ!!
なんなら、こっちが犯罪者になっちまうだろうが!!
「ふーむ。つまり、禁断の相談、ということですか…いいですね…」
は? マカン!?!?!?!? 何を言っているんだ?
Watts?ワタシー、フタリノー、カンガーエ、ワカーリマセーン!!!
「えっと…つまり?」
俺も俺で、意味がわからず、 つまり? って聞いちまった。
「会いにいくのよ!!デーナ御兄に!!」
そんなこんなで、まさかの、リーシャのお兄さんに会うことになった。
「えっとね、デーナ御兄は、とっても頭が良くて、多分、魔獣族とか、ガイナ撃退とか、相談すれば、いい案、出してくれるんじゃない?」
なーるほど…
「無理や」
まだ、一言しか言ってないのに、そのデーナにそう言われてしまった。
こいつ、ソファーの上でショートケーキを、優雅に食べている。
じっくりと見つめていると、青くて先がピンクがかった髪に、鋭く赤い瞳…美青年、見せつけんじゃねえ!!
まあ、本題に戻ろう。デーナに無理って言われたんだよな…。
「何でよ!!」
リーシャが怒りながら言う。
「魔獣族を倒すために、王になって、協力する? そんなこと、できる訳ねえだろうが」
え…マジすか…そんなはっきり?
「そもそも、お前ら、魔獣族を見たことあんのか?俺はな、三年間も、魔獣族に擬態して、潜入してたんだ。 三年もだぞ!!それで、分かってんだよ!!そもそも、魔族全員で戦っても、戦力で勝てる相手じゃねぇってな!!」
「しかし…魔獣族は所詮、魔族の進化系統では?知能など、無いはず…」
マカンがつぶやく。
それに答えてデーナは言う。
「それは、ちげーな。最近になって、何故かあいつらは、知能を持ち始めている。数年前の常識なんか、通用しねぇくらいにな」
「そうですね…」
マカンも沈黙。
あ!!でも…
「それって、人間と魔族が力を合わせたとしても、敵わない相手なのか?」
デーナに言ってみる。
「もしもの話はやめろ。人間を仲間にできるわけねぇだろ」
え?こいつ、もしもだと思ってんのか?(ニヤッ
「御兄…それは違うわ…!!」
「ふっ」
ここぞとばかりに、ドヤ顔を見せつける俺。
「すでにゼエン様は、人間と協力関係を結んでおります。」
そーだそーだ!!メロンソーダ!!
「は??」
これには、さすがのデーナさんも、フォークを落として、唖然。
ふうーふっふっふ!!俺の凄さを思い知ったか!!
「流石に…マジなのか? ……チッ」
ん?チッって何???えっ、なんか怒らせた?え?なんか逆鱗に触れた??えええええ
「で?それなら、魔獣族に勝てるかって聞いてんのよ!!」
リーシャがそういうのなら、きっとキレてはいないのだろう。
「ああ、なるほど」
ヒュって寒い空気が背中を駆け巡る。え?急に口調が……キレた?
目をゆっくり、デーナに向けてみると、人差し指を顔の前に置いて、ただ黙っていた。
「見えた。そういうことだな」
え……急にデーナの口調が…
「できると思うよ。まあ、もちろん、とても高度なミッションをこなす必要があると思うけど」
???????何が……
「そろそろ効いてきたわね、御兄に!!」
え?
「リーシャ、お前なんかしたのか!?」
え??だって、そうだよな???え?????
「実は、御兄は糖分を摂取しないと、ヤンキー御兄になっちゃうんだよね」
は???????ヤンキー御兄????ヤンキー御兄とは???
「ああ。その件は迷惑をかけたようだな」
あーはい。完全に理解しましたけども…
いや、つまり、頭を動かすために必要な、糖分がないと、このデーナってやつは、素行が悪いやつになっちゃうってことかよ!!
「まあ、本題に戻ろうか。お――僕が言う、ミッションってのは、まず、お前が王族の特殊スキルを、完全に使えるようになることだ」
デーナはゼエンに向かって言う。
実はゼエンは、自分の特殊スキルを、完全に使えていない。
もともとは、ゼエンのような、早い攻撃をするだけではなく、どんな攻撃も当たらないという、能力もあったのだ。
では、どうやってその力を得るのか。
それは―――
もう、練習して、体に覚えさせるしか無い。
新しく力を得るなんてことは、この世界において不可能なのである。
「ゼエン様ー!!いきますよーー」
「オッケーだ!!」
そう言って、マカンは、プラスチックの小刀をゼエンに投げつける。
シュッ
そうなって、ゼエンの横を通り過ぎた。
「うーん、もっと早くできないか?」
「すみません、これ以上は…」
マカンの力にも限界がある。早く投げようにも、そういう特殊スキルを持っているのは、ゼエンなのである。
「あ!!ゼエンがブーメラン的な感じで、自分自身に、弱めだけど、早い攻撃をしてみれば?」
「いいな!!それだ!!」
そう言って、ゼエンは自分自身に攻撃をうってみた。
ガツッ
「いってえええええ」
こんな事あっていいのかよ!!俺の攻撃が、みえねええええ!!
「流石…ゼエンの攻撃…」
「流石…俺の攻撃…」
「いや、ゼエン様は避けなくては!!」
いやーね?だってさあ……マジで、見えないものをどうしろと……
「ゼエン様…」
(もともと、ゼエン様の能力は、ハクマ様とゼエン様で半分ずつ、継承されているのです…つまり……)
ゼエンは自分に弟がいたことを訳合って知らない。いや、覚えていない。もちろん、それが拍真であったという事さえも。
生まれつき、兄弟で能力を継承するケースは、レアである。
しかし、その場合、片方は攻撃が、もう片方は防御が、今までの誰よりも強くなれた。
これが王家の特殊スキルなのであった――――
次回予告
ガイナ撃退作戦第一歩!!
ゼエンはどうするのか!?
次回《王家の特殊スキルとは》




