名前を言ってはいけない
2話
名前を言ってはいけない
到着した先は、大きなお屋敷。
私は障子から太陽の光が差し込む畳の部屋で、暫く座って待っていた。
すると顔に白い布を被った女性が3人ほど現れて、
化粧を施され、服を着せられた。
真っ白い肌着に、羽織り物。髪を綺麗に結われ、顔に白い布を被せられる。
こちらへと障子を開けられた方向へ隙間から見える景色を頼りに歩くと、
人力車に乗せられどこかへ向かう。
一体どこへ向かうのだろう。
暫く揺られていると、目的地に着いた様で、布の隙間から覗き見るとそこには偉そうな黒服スーツのおじさん達がずらりと並んでいた。
私を見ると訝し気に、やや眉をひそめて咳ばらいをしていた。
どこへいけばいいのか分からずあたふたしていると、案内の人が前へと示したのでそちらへ向かう。
足元を見て転ばないように進むと、止まれと言われた。
どうやら私の座る場所には藁がひいてあり、周りには果物や穀類等の供物が沢山置いてあるようだった。
真名を決して言うな。
それだけ告げられた。
座ると周りに一斉に灯火が灯った。
怖い、怖い。
素直にそう感じる。まだ、死にたくない…のだろう。
まさか、このまま燃やされて死ぬのだろうか。
怖い、怖いよ。
煙が不思議な匂いをしている。
焦げ臭いとも言えない、不思議な香り。
私はいつの間にか気を失っていた。