君と彼氏彼女の関係になった瞬間に僕は死にたい
この世界は、美しくて優しくて温かくて、爽やかで燦めいていてときめいているのに………。
学校が楽しいと思いながら生活してる高校2年の男子学生は世の中にどれくらいいるだろうか?因みに僕はとても楽しい。勉強も運動も人付き合いも苦手な僕だけど、そんな僕に彼女が出来て世界が変わった。しかも向こうから告白してきてくれたので、最初はドッキリを疑ったから断った。一緒のクラスになって数か月しか経ってないけど、彼女がそういう人を傷つけるようなことが出来る人ではないことは見ててなんとなく感じた。けれど、小学校低学年の時点で自分は女性から好かれる人種ではないことを悟った僕にとっては到底信じられることではなかったから。それから数日経ってから改めて告白してくれて、彼女が本当に僕を好きでいてくれてるんだと思うことが出来て、前回断ったことを謝罪して晴れて僕たちは彼氏彼女になった。
毎朝学校の最寄り駅で待ち合わせして一緒に登校してお昼ごはんも一緒に食べて、放課後も勿論一緒に帰る。他愛ない話をしながら歩いて、たまに寄り道なんかしちゃったりして二人で買い食いとかもするんだ。休日になったらデートで色んな所に行きたいけれど高校生にそんなお金はなくて、カラオケで時間潰したりファミレスでドリンクバーで粘ってみたりしてやりくりしてた。試験前になれば僕は彼女に勉強を教わる。学年トップクラスの成績優秀者である彼女に教われば間違いなく赤点は回避できる。僕は、自分で言うのは悲しいけど頭が悪い。この高校に入るのも2次試験で何とか受かった。勉強嫌いだし学校自体が嫌いだけど滑り止めに受けてた学校が遠いし、入試受けに来てるのに髪の毛が茶色かったり青かったりする人がいたので、ここには通いたくないと思ったから受かって心底ホッとした。そんな僕に勉強を教えてくれるおかげで、全教科60点くらいは取れるようになった。点数は決して高くないけど赤点は回避してるから僕にしては快挙だ。中学時代は下から数えた方が早かった僕がこの試験ではクラスのTOP3に入っている。とはいえ、クラス20人くらいしかいないし自分の平均点は60点台後半くらいらしいんだけど。これで、試験後の補修を受けることなく夏休みを迎えることができた。
夏休みになってすぐに短期間のバイトを入れて、先ずそれだけに専念してお金を稼いだ。7月末まででバイトは辞めて8月からは宿題を終わらせることに集中する。こういう時、一度に一つのことしかできない自分の性能が恨めしい。僕は、物事の並列処理ができない。やることがA~EまであったとしたらAから順番に片づけることしかできないからとにかく要領が悪いとよく言われる。最近では開き直って、分岐点のあるゲームをやった時もそこでセーブしてやり直すとかではなく、一番最初からやりなおして前回選ばなかった選択肢を選んでいくという風にプレイしてる。そんな僕だから宿題が終わるまでは彼女に会わないで頑張ろうと思っていたんだけど、悲しいことに僕の脳ミソでは解けないような問題が沢山ある。なので彼女に連絡を取ってみたら、それなら一緒にやろうと言って貰えたのでお言葉に甘えることにする。学校の最寄り駅で待ち合わせして、近くの図書館に向かう。暑い日差しの照り付ける道を10分ほど歩いて冷房が効いた建物に入る。かなり広い図書館なので雑談スペースがあり、軽く汗を拭いて向かい合って座り持ってきた宿題の山を広げる。彼女が鞄から取り出したのは赤本だ。宿題は持ってきてないのか?と尋ねたらもう全て終わらせたと返事が返ってきた。まだ、8月にもなっていないのだけれど・・。成績優秀者恐るべし。
理数系のプリントの最後の方の問題が応用問題だったので頭がこんがらがったが、30分くらいかけて丁寧に教えて貰えたおかげで何とか終えることが出来た。宿題さえ終われば後は夏休みを満喫するだけ!
初めて出来た彼女とどこへ行こうかなどと計画を立てる時間がこんなに楽しい物だなんて初めて知った。ベタにカラオケやボウリングに行きたいしカフェでお茶とかしたい。花火大会は・・自分が陰キャだからちょっとしんどいかなあ。泳ぎが下手だから海やプールもできれば避けたい、しかし健全な男子高校生としては彼女の水着姿が見たい!彼女の水着姿が見たい!思わず2回言ってしまった。ああ・・本当にこれからが楽しみだなあ!
そんなもうそうをしながらきもおたとかかれたかみをせなかにはりつけてきょうもぼくはじゅぎょうをうける
お読み頂きありがとうございます。作者のそら豆と申します。今迄書いてきた中で一番短い小説になってしまったかもですが、情けない事にこれくらいのほうが言いたいことが纒められるようです。
作者は、両思いになったことがありません。異性と付き合うなんていうのは都市伝説みたいな物だと思ってます(周りに結婚して幸せになってる友人が何人もいますが)なので、両思いというのは、空想と妄想と現実逃避の中でしか叶えられない物です。だから小説に出来ました。
小説本編が短めなのに後書きが長めというなんとも皮肉な作品になってしまいましたが、個人的には気に入ってます。ここまでお読み頂きありがとうございました。