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パーティー崩壊?

「ケニー! すまん二体抜けた!」


「わかった。マリン、フォロー頼む」


「任せて、【アイスニードル】!」


 次の日、街道から少し外れた奥の方で、魔物を狩ると言う依頼を受けていた。

 これは街道の安全を確保すると言う常時依頼で、ランクの高くないパーティーやソロの冒険者にとってはその日の日当や連携の確認など、割と大事な依頼となっている。

 ランク『D』パーティーである俺たちもこの依頼でよく連携の確認を取っていたりしている。

 商人を含む一般の人達も安全に通ることができて、俺たちも日当を稼ぎながら色々と試すことができる。実に合理的な依頼だ。


「今日も順調だったね! 私達このままハルトナ最高のパーティーになるんじゃないかな?」


 ギルド併設の大食堂で、テンション高めのマリンが大言壮語をぶちかましていた。

  随分と大きく出たな……上にはまだベリット達の『雀の涙』やワイズの『猫の額』、オーグとアイラの『猫の手』。

 そして未だ見ることのない、ハルトナ最高峰であるランク『S』パーティー。

 他にも俺たちが知らないだけで、まだまだ単純に強いだけじゃなく連携が上手いパーティーだっているはずだ。

 けど、アレン達が順調なのも確かだ。だからこそちゃんと言わなきゃいけないこともある。


「今日、常時依頼を受けてみて確信を持てたよ。これは私がいなくても十分やっていけるね」


「それはどう言うことだ?」


「私がパーティーから離脱するって事」


「え〜〜〜何で⁉︎ どう言う事? ひょっとして瑞樹ちゃんのおやつを勝手に食べた事を怒ってるの⁉︎」


 ほほう、勝手に食べたのか? それは初耳だ。


「おやつの事は一旦横に置いといて、ちょっと急用ができてね。出発は一週間後、帰りは未定ってとこかな」


 そう言って、昨日ギルマスに呼ばれた内容を掻い摘んで話した。


「却下! そんなの横暴だよ、もっとランクの高いパーティーとかに任せればいいじゃん!」


 マリンがこう言う事は判っていたけど……。

 それも一理あるけど、結局は当事者を呼び出すと言う名分が立つんだろうな。

 こっちの実力者と合流して事に当たれば、ハルトナのギルマスの顔も立てれるし、自分の所の被害も小さくて済む。

 言い換えれば、実力主義の冒険者が依頼で死んでも、自己責任で済むって事だ。

 ギルマスもそれを踏まえての俺への指名依頼なんだと思う。あの時の事件で指揮を取っていたのは俺だし、実力者も俺だった。

 これがランク『S』パーティーがいたら今回呼ばれる事はなかったと思うんだけど、タラレバを話してもしょうがない。


「マリン、指名依頼をそう簡単に断れるかよ。で、当然その依頼に俺らが同行する事は出来ないんだよな?」


「そうなるかな? 厳密には同じ方向の護衛依頼を受ければ可能かもしれないけど、そこからの帰りは自分らで依頼を受けながら戻ることになるけど?」


「厳しいな……」


 ケニーまで……どんだけ俺頼みなんだよ。


「この際、いい機会だから私の抜けた状態で、身の丈に合った依頼を見つけるのも悪くないかもね」


「瑞樹ちゃん、どうにかならないかなぁ……?」


 どうにかって何だ? まぁどうにかならない事もないけど……。


「じゃあヒントを、私は乗合馬車に乗らずに、以前から交流のあるモール商会の方が王都まで荷物を輸送すると言う事で、それに便乗させてもらう事になったよ」


 そう、二年前にベリット達が受けていた護衛依頼の依頼主がモール商会だ。

 あれから縁があって小さな依頼とかを受けていたんだけど、今回は王都に行くタイミングがあって、お願いしたらタダで乗せて行ってもらえるようになった。


「瑞樹の顔の広さには驚かされるな。ハルトナ有数の会長と知り合いとか……他にまだ凄い知り合いとかいるんじゃないか?」


 あぁメルって言う領主とも友人だな。

 その内実力がついて有名になれば君らも知り合うことが出来るかもよ。


「とりあえず、ヒントは出したよ。私としては、今はまだ無理をする時じゃないと思うけどね。王都とハルトナの間にある、森のことを考えればわかるはずだよ」


「むぅぅ……」


 王都への道のりはおよそ十日間と言われている。

 それがただの道のりであれば、俺も王都まではちょっとしたお別れ旅行気分で一緒に行ったかもしれない。

 けれど、それをさせてくれないのが丁度中間あたりに広がる森だ。この森に生息している魔物が、アレン達にはまだ荷が重いのだ。

 ハルトナの南東に位置する大森林程じゃないけど、この護衛依頼はそれなりに実力のあるパーティーでないと務まらないのも事実だ。

 さぁどうする? ぶっちゃけさっきのヒントは引っかけだ。いや、引っかけにすらならない。


「瑞樹、暫く皆で考えたいからいいか?」


「わかった。じゃあ次に会うのは出発の前日にしようか」


 そう言って俺は席を離れた。ポーチはあるけど多少の準備は必要だし、まだ事情を話していない人がたくさんいるからな。

 マリンと似たような反応をしそうな人もいそうだけど、言わないわけにはいかないからね。

 ま、もう少し時間あるし、焼きそば屋のおじさんとこ行こうかな。

さて、ゴールデンウィーク中の執筆活動なんですが、若干停滞気味になると思われます。

それでも頑張って投稿しますので応援よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] >そして未だ見ることのない、ハルトナ最高峰であるランク『S』パーティー。 ええ?ちょっとちょっと、2年も帰ってこなかったのあのパーティー?
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