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重いわぁ……

今回も短めですがお願いします。

「ひっく……ひっく……ぐすっ…………」


 流石にやり過ぎたと思った俺とギルマスは、二人がかりでメリッサを慰めて、一時間かかってようやく落ち着いてきたところだ。


「流石に悪ノリし過ぎたかのう?」


「そうですね。所で一層の事どこを触ろうとしたのですか?」


 場所によっては、考えを改めなきゃいけないか?

 まぁその前に、正当防衛が通じるか試したい気もするけどな。


「ふぉっふぉっふぉ、さて何のことかのう?」


 この場面じゃシラを切るか。

 まぁやり過ぎると、またメリッサが泣き出しかねんしな。


「警備隊への書状は書くとして、もう一つの要望は一体なんじゃ?」


 もう一つの要望。

 それはさっきの会話の中で突発的に浮かんだことだ。

 この件どころか、もっと根幹に関わることだ。


「領主様への、面会の紹介状を書いていただきたく存じます」


 首を傾げるギルマス。言いたい事はわかる。

 この間の夕食会での一件を思い出せば、こんな事を言い出すのはおかしいだろう。


「ん? お主なら好きに会いに行けるではないか。わざわざワシに頼まなくてもいいじゃろ?」


 それはあくまで『友人として』だ。

 俺は『領主様』に会いたいのであって、『メル』に会いに行くわけじゃない。

 だから俺は一冒険者として、そしてデンにはギルドマスターとして紹介状を出して欲しいのだ。

 だから……。


「友人としてじゃダメなんです」


「一応理由を聞いて良いかのう?」


 そうだな、面会理由もわからずに紹介状は書けないか。


「理由は単純、この犯罪法の見直しの懇願です。この法律では未来ある少年少女の芽まで摘んでしまいます。メリッサさんにも言いましたが、確かに盗みは犯罪です。ですが、それを一律に重罪と同じで裁くと言うのはどう考えてもおかしいと言う事です」


 そこまで一気に捲し立てると、ギルマスも深いため息をついた。

 メリッサも何かを言いたそうにしていたが、ギルマスがそれを制しこの法のあらましを話し始めた。


「瑞樹ちゃんがこの街に来てまだ日が浅かったのう。結論から言うとな、この法はもう少ししたら変わるのじゃよ」


 俺の表情があからさまだったのか、ギルマスは続けて説明してくれた。


 メルが領主になったのは、俺がこの街に来る少し前の事だったらしい。

 と言うか、厳密にはまだ『領主では無い』。

 という事は領主は勿論メルの父親だ。

 メル自身は以前会った通り気さくで少々豪快な性格だけど、その父親は違った。

 頭が良く、正義感溢れる領主だったけど、どうやらそれが行き過ぎていたようだ。

 けど、メルの知る父親は正義感は溢れ、誰にでも優しく、そして時には諫めてくれる良い領主だった。

 それが数年前、領主は何の前触れもなく、領民に向けて『全ての罪は鉱山にて償う事』と命じた。

 これには当然領民どころか、街に住む一部の貴族も猛反発したが、『嫌ならば罪を犯さなければ良い』と言う真っ当な言い分に誰も文句が言えなくなってしまった。

 けど、メルだけは虎視眈々と機会を窺っていた。

 突然変わってしまった父親に、何かあったのだろうと考えて調べていた時、決定的な証拠を見つけた。


「何じゃと思う?」


 ……突然振ってきたな…………。

 聞きに徹した所で振られてもな。


「……わかりません」


「実はな、あの領主館の地下にオークの集落と同じ転移魔法陣があるんじゃよ」


 ……は? ……何だって?

 ちょっと待てよ? オーク達の襲撃がついこの間で、その集落に転移魔法陣が見つかったんだろ?

 けど、領主館の地下でも見つかったんだろ?

 て事はだ……。


「ギルマス、その魔法陣はオーク達の襲撃より前に見つかったんですよね?」


「そういう事じゃ、言わんとしている事はわかっとるよ」


 これらは全部繋がっているということか。

 更に言えば、オークが大森林に来る事も判っていて、討伐されると困るから領主の指名依頼でランク『S』パーティを長期不在にしてから襲わせたって事だ。


「手が込んでいますね。で、その領主は今どうなっているんですか?」


 俺やギルマスが領主館に行った時は、そんな事を微塵も感じさせ無い完璧な隠蔽ぶりだったけど、実はあの中に領主がいたという訳だ。


「調べたら領主は洗脳を受けていての、ワシが上書きをして、逆にこっちの傀儡となっておるのう」


 なる程、逆に敵を泳がせているのか。

 何だか泥棒がどうのとかの話じゃなくなってきたするぞ……。


「と言う訳でな、あやつに直訴と言うのは待って欲しいのじゃ。瑞樹ちゃんの言わんとしておる事はわかる。勿論ワシもこのままで良いなんて事はないぞ」


「で、そのランク『S』パーティが戻って来るのはいつ頃なんですか?」


「来週くらいかの」


 もう少し先か、それまでに何事もなければ良いんだけど……。

 ともあれ、先に警備隊への分は書いてもらっても良いか。

 なんか嫌な話を聞いちゃったな……。

 少し話しがややこしいくて、色々伏線回収も盛り込んでいますが、もう暫くすると色々自体が動く……かも知れません。

 これらを楽しんで読んでいただけたら嬉しく思います。

 評価や感想など頂けたら、励みになりますのでよろしくお願いします!

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