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ロクでもない女神様に殺された挙句、振り回されます。  作者: 雷訓


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ウサギ狩りだ!

 夕陽も大分傾いて来た頃に違和感が起きた。

 農場の人たちが農具を片付けて帰った後、俺たちだけになって周りが静まり返る。

 時折吹く風が木々を騒めきつかせるその音の中に、雑音が混じる。

 しかし、風が止むと音も消えた。

 そして風が吹きその音の中に雑音が混じる。


 何かがおかしい……。

 風がガリガリなんて音は立てない……。

 さっきからそんなのがずっと続いている。

 そしてまた風が吹き雑音が混じり、そして止む……ガリッ……。


 なる程なる程……。


「アレン、来るよ! 構えて!」


「おう!」


 俺の掛け声と同時に、柵の下に穴が開き一匹ずつだけど、連続で一斉に入ってきた。

 夕日に染められた白い毛皮がアレンとマリンの間を擦り抜けようと猛然と走る。


「捕まえに行ったり、無理に振らなくて良いから! 走り抜ける奴に合わせて刃を滑らせて!」


「「はい!」」


 その返事と同時に、二人の間を通るホーンラビットの体にダガー刃が当たる。

 そう、なまじ足が速いからこちらから、振りに行かなくても刃を滑らせるだけで傷を負わせれる。

 そして四足歩行だから、どれかの足に当たれば、機動性を一気に落とす事が出来て止めも容易だ。


「二人は穴から出てくる奴にだけ集中。抜けたのは私に任せて!」


 そもそもこいつらの目的は、農作物だ。

 アレンとマリンから抜けたやつは、その後ろに控える俺に向かってくる……訳じゃなくその周囲にある作物だ。

 抜けたのは六体中二体。初めてにしては結構いい感じじゃないかな。

 俺は抜けた二体に対してスローイングナイフを正確に首に命中させる。軽い軽い。


「六体だけか……?」


「後何体だっけ?」


「全部で十体って言ってたから残り四体だね」


 柵から入ってこないところを見ると、感づかれて逃げたか?

 いや、ホーンラビットにそんな知性があるとは思えないんだけどな。


 来ないならあの穴は塞ぐか。


「大地よ……」


 俺が呟くと、柵の下にできた穴が見る見る間に隆起し、穴を塞いでしまった。


「瑞樹って魔法も使えるのか?」


「戦闘補助と攻撃系ばかりだけどね」


「いいな〜」


 そうか? 戦闘補助と言っても自分自身のばかりだし、回復系はこれっぽっちも覚えていないし。

 覚えておけば良かったと今更ながら後悔してるぞ。


「これで入ってこれないから、傷を負って動けない奴をとどめ刺しちゃって」


「あ、アレンお願いね!」


 む、見た目が可愛いからって怖気付いたな?

 けど、ここで躊躇ったら手痛い反撃を貰いかねないから、心を鬼にしてもらわないとね。


「マリンもやるんだよ?」


「瑞樹ってば残酷!」


 じゃないと、作物の被害減らないし、どのみちこのままにもしておけないでしょ。

 見た目だけに騙されていると、その内自分が死ぬのにな。


「ほら、さっさとやらないと、もうすぐ日が暮れるよ?」


「う〜〜〜……」




 しかし、残りの四体は何処へ行ったのやら?

 柵の向こうで鳴き声は聞こえたからいたのは確かなんだけど……。

 仲間が次々とやられるから怖くなって逃げた?

 いや、でもこれはさっき否定したばかりだ。

 取り敢えず日も暮れるし、今倒した奴らだけでも持て報告に行くか。



「ひっく、ひっく……うえぇぇぇん」


 オラグの所へ戻る道中で泣いているのはマリンだ。

 俺とアレンに強制され、自分で相手した分のホーンラビットの止めをさせられたのだ。

 マリンには申し訳ないが、これも今後の為と思って頑張って欲しい。


「私が報告して来るから、アレンはそのままマリンに付き添っててくれる?」


「わかった。任せてくれ」


 マリンの事はアレンに任せとけば大丈夫だろう。幼馴染だけあって、よく理解しているはずだ。

 それに、俺も気になる事があるから、オラグとゆっくり話したいんだよね。

 

「おう、どうだった? ホーンラビットは出たか?」


「えぇ、あの後六体侵入して、その全てを倒しました。農作物は全て無事です」


「おぉ流石は新米といえど冒険者だな!」


「しかし、気になることもいくつかありまして、それを確認しに来ました。一番最初の発見者とその次の発見者は誰ですか?」


「チッ……最初もその次もお俺だよ!」


 ソラグか、まぁいいや。

 聞く内容は変わり無いしからな。


「幾つか聞きたい事があります。一番初めに発見した時は何体いましたか?」


「あぁ? 十体だって言ってんだろ⁉︎ 疑う前に仕事しろや冒険者風情が!」


「それはあなた一人で見ましたか? それとも他の方々と見ましたか?」


「最初は俺だけだったが、次は一緒にいた奴らとだよ!」


「その人らは今呼べますか?」


「俺が呼んでこよう。全員は無理だが住み込みの奴等なら呼べるからな」


 そう言ってオラグが席を立って呼びに行った。

 その間ソラグと二人っきりだけど、そっぽを向いたままだ。会う度に不機嫌な気がするけど、何がそんなに不満なんだろうか?


「失礼ですが、ソラグさんは何をそんなに苛立っているんですか?」


「うるせーな、何だっていいだろ?」


 これは取りつく島もないかな?

 話を進めるきっかけも無いとは……。


「ソラグ、この人達はいい人だ。瑞樹、ソラグがすまないね、これには少し事情があってね」


「オヤジ!」


 奥の階段からオラグが姿を見せると、その後ろから昼間に見かけた人が何人か一緒に降りてきた。


「俺らに答えれる事があれば、なんでも答えるぞ?」


「幾つかお願いします。ホーンラビットの数は覚えていますか?」


「平均して十体前後だったな。少ない時は六体前後で多い時は十体だ。それが数日おきって感じだな」


「で、その時に怪我しちまってな。こっちに突進してきた奴がいてよ。俺とこいつ、あとソラグもだな」


「なるほど……あとホーンラビット達が侵入して来る前は風が吹いていませんでした?」


「んーーあぁ吹いてたな、今日も作業の終わりに風が気持ちいいって話してたしな!」


 やっぱりか。

 これでわかった事がある。

 一つ目、自分らの掘る音を消しながら侵入すると言う、知能を持っている奴がいる事。

 二つ目、そいつはホーンラビットを統率していると言う事。

 そして三つ目、統率しているのは恐らくデッドラビットで、二グループを統率していた。


 それを今回俺らが一つを潰した。

 次にまた風が吹く時に現れるかわからないけど、それでもその時はデッドラビットも一緒に現れるだろう。




読んで頂きありがとうございます。

最近は読んでくれる方や、評価をくださる方がいまして、大変やる気が充実しています。


これからもどんどん評価や応援などを頂けたら、皆様に楽しい内容をお届け出来ると思いますので、よろしくお願いします!!

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