番外編 どこに手を⁉︎
ちょっとだけ番外編。
百合百合っぽいのが若干出ます。
苦手な方はバックでお願いします。
「くぅ〜〜〜〜〜!! 良い湯だな〜〜〜〜!!」
俺は今領主館の大浴場で、一人足を伸ばして湯を満喫している。メル達との夕食会が終わった後、そのまま止めてもらうことになったからだ。
しかし、まだ仕事が残っているとは言え、領主より先に入らせて貰って良いのか?
メルが気前良くても使用人達が黙っていないんじゃないか? とは思ったけど、偉ければ黒でも白になるが如く、この館じゃメルが法律だ。
「瑞樹様、湯加減はいかがでしょうか?」
「大丈夫〜〜〜〜〜〜最高だよ〜〜……」
蕩けるわぁ〜〜〜……
「そうか最高か! ならば私も入ろうじゃないか!」
え……?
「うわぁぁぁぁぁぁ! メル、仕事は⁉︎」
「そんなもん、瑞樹が逃げない様についた嘘に決まっとるわ!」
こいつ最悪最低だ!
わざわざ俺と一緒に入る為だけに、仕事とか嘘つきやがった!
さっきの声もメルの声だったのか、完全に油断した。
出口はメルの後ろの一か所だけ……脱出は不可能か。
「まぁそう警戒するな、せっかくの大浴場だぞ。伸び伸びと裸の付き合いで、背中でも流し会おうじゃないか!」
下心丸出しの奴に言われても、警戒を解けるわけないだろ!
下手なスケベな男よりタチ悪いな!
「瑞樹、私は結構前に父を亡くしてしまってな。それからというもの、領主になる為に日々勉強や作法ばかりを詰め込まれてな。こうして同年代の女の子と一緒に入るのが夢だったのだ」
む……そう言われてしまったら無碍にできないじゃないか。
泣き落としで、人の弱味につけ込むとは…………はぁ
「わかったけど、変な事しないでね? どこいった?」
「おーい、こっちだ!」
振り向けば、メルは既に石鹸を泡だてて準備してた…………どこまで本当の話しかわからんな。
まぁでも誰かと一緒に風呂に入るのは、凄く久しぶりな気がする。
武神ガレルの時は、川で水浴びばかりだったし、魔法真アレフの時は魔法一つで体が綺麗になってたしな。
確か、ポーチの中に魔法全集みたいなのあった気がするから、少しずつ生活魔法系を覚えるのも悪くないな。
「何をぼうっとしてるんだ? えい!」
「うひゃぁ⁉︎ どこに手を入れてるの⁉︎ って前は自分でやるから!」
背中を流して貰っていたのに、いきなり脇に手を突っ込まれてそのまま胸にまで回ってきた。
おい、揉むんじゃない! ……感じるだろ!!! 雌落ちさせるつもりか!!!
「初めにあった時にも思ったんだが、身長の割に胸があるな。何か秘訣でもあるのか?」
風呂に入って何で疲れるんだよ俺……。
そんなもん知るか! 女神エレンにでも聞いてくれ!
とは言えないし、勝手にそうなったとでも言っておくしか無かった。
「持たざる者の気持ちは、わからんと言うことか。とは言え、まぁ私のこの胸にもいずれ需要が来る時がこよう!」
まぁ地球の一定層にも「貧乳はステータス」とか言ってたしな。
でも、領主相手に供給多過は大問題な気がするぞ。
「ぼうっとしてたが、何か考え事か?」
「いや、私の魔法って、戦闘用がほぼだから、今度は生活用も覚えておいて損はないかなと」
「そう言うことか、今まではどうしてたんだ?」
「体を洗う時は、川で洗ってて。野宿の時は、結界用のダガーを使ってましたね」
「結構ハードな生活だったんだな」
確かにハードだったな。
特に前半は常にギリギリで、死んだ筈なのにまた殺されるかと思ったわ。
後半は割と緩かったけど、それでもメンタルは削られてたな。
「まぁ暫くは門の修復や、街の治安維持や平常化を念頭に置くとして、大森林の方は他の者に任せる様デンに言っておく。瑞樹は暫くはゆっくりと過ごすなり、好きにするが良いぞ。その代わり、次も頼りにさせてもらうぞ」
何のかの言っても、領主としてちゃんと考えているんだな。
一体どうして、その年でこの地方の領主になったのかは聞かないけど。
これらの行動は、それなりに苦労している反動なんだろうか?
だとしても、勘弁願いたいものだ。
「最後に一点だけ良いか?」
改まってどうした?
「私と友達になってくれ……」
そこだけ照れるのか……剛気なのは照れ隠しのためなのか?
何にしても俺が言う言葉は一つだな。
「私は既に友達だと思っていたけど、違うのかな?」
「…………⁉︎ そ、そうか! そうだよな? 瑞樹、ありがとう!」
こうも自分に正直な奴は嫌いじゃないな。
どこか、ユミルに似てるけど、違うか?
「じゃあこれからもよろしく」
「おう! ここへはいつでも好きな時に来ると良いぞ!」
いや、それはまずい気がする。
けど、たまにはお茶しに来るのも良いか。
「さ、のぼせる前に出ようか、メル」
「そうだな、私が拭いてやるぞ!」
いらんわ。
「のう、トバスよ、ちょっとくらい覗いていかんか? 主人の成長も気になるじゃろ?」
「なりません」
「ケチじゃのう……」
評価や感想はいつでも承ります。
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