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舞い上がれ!

気づけば20話超えてました。

「瑞樹が会った人族の言葉を使うオークキングが、陽動や挟撃作戦を練るのか……なぁデン、どう思う?」


 あれからこのトップ二人が本当に晒し首をしに外に出ようとしたところで、ようやくトバスからのストップがかかった。

 出来ればもうワンテンポ早く止めてほしところだけど、余り深く考えると神経すり減りそうだからやめておこう。

 ちなみに夕食会はデザートに突入し皆でケーキを食べている。



「そうじゃのう、ワシが現役の頃の記憶を掘り返しても、ここまで綿密に計画を練るオークなんぞおらんかったからのう……」


「役に立たん記憶だな。どうせ古すぎて記憶の彼方へ消えていったんだろ? 瑞樹はどう思う?」


 俺の横で「酷い……」と涙目になっているギルマスを放って置いて、メルが話しを振ってきた。

 どう思う? か……俺が修行時代色んな場所へ置き去りにされたけど、その時はどうだっただろう……?


「人族の言葉を使えるのは基本的に、人型をして一定の知性を持ち、かつ理性を持ち合わせる生物……けど、オークは人型という条件以外の二つは大きく逸脱する。…………と言うことは」


「と言うことは?」


「…………誰かに仕込まれた? のかな?」


「「!?」」


 二人の顔が驚愕に染められてる。俺も独り言の様に仮定を並べていっただけなんだけど、そこまで的外れな事を言ってない気がするんだ。


「瑞樹ちゃんや、その根拠を聞いて良いかのう?」


「ギルマスは私に説明した時に、オークはどこからか流れて来たと言ったよね。確かにその通りだけど、実際にあの場所へ行って見てきた私の感想は、『あの場所に配置された』って感じかな。今になって思い出すと、最近住み始めたって言う割には、色々集落が整い過ぎてたんだよね」


「なる程のう、現場を見て来た者ならではの意見じゃのう」


 まぁその辺りはね。残りの情報はあの人達から引き出せば良いしな。


「残りは『誰が』『何のために』ってやつだな」


「その辺りの情報は、捕まっていた女の子達から多少は取れるじゃろうから、今しばらく待ってくれんかのう」


 メルの疑問に、ギルマスが間接的に答える。

 俺の仮説に女の子たちの証言を精査すれば、あのオーク達が何処から来たのかがわかるし、さらに言えばどうやって捕まったかもわかれば、黒幕の鱗片でも見えて来るかも。


 まぁ本当に『仮定』の話しなんだけどね。


 けど、それならまだ気になる事がある。


「ギルマスひょっとしたらだけど、オークの集落にもう一度調査しに行ったほうがいいかも知れない」


「ふむ手がかりか」


 そう言う事。もし本当に『あの場所に配置された』となれば、何かしらの手掛かりがあるはずだ。

 俺の仮定が正しければ、事態はあまり良くないだろう。こう言うのは外れてくれて、俺が道化だった方が望ましい。

 今回は頑張ったから、暫くのんびりさせて貰おう。

 俺自身も、少しだけやりたい事を見つけたしな!




「おはよう……ございます……ふわぁ」


 俺があくびを殺しきれずにギルドに入ったのは、朝と言う時刻を過ぎて、冒険者の大半が依頼を受けて出払った時間帯だ。

 昨日メルのいる領主館で一晩泊めてもらい、送迎馬車で一旦宿に戻ってからギルドに来たわけだ。

 


「おはようございます、のんびりと出て来ましたね。今日はどうします?」


 のんびりとした時間に出て来たのにも一応訳がある。

 兼ねてより計画して事の前準備だ。


「メリッサさん、今日のアレンとマリンの予定がどうなっているか教えてもらうことはできますか?」


「えぇ、大丈夫ですよ」


 そう言えば、とメリッサが補足説明すると、受付とギルドカードを介して、個人ごとの情報開示が出来る様になっている。

 要するに、マリンやアレンが俺に予定を教えても良いと言う設定を受付にお願いすれば、いつでも教えてくれると言う事だ。


「では、ギルドカードをお預かりしますね……二人はこの後、いつもの薬草採取ですね。もう暫くしたらこちらへ立ち寄ると思いますよ」


 良いタイミングだ。

 なら、のんびり待たせて貰って、来たら打ち明けよう。


「あ、それとカードのご確認を」


 カード? むむ、ランクが二つ飛んで『E』になってる。

 あれか、キングの討伐でランクが跳ね上がったのか。


「そう言うことですね。瑞樹さんの実力であれば、『S』どころか『Z』クラスでもおかしく無いと思いますが、途中での試験は免除が出来ませんので……」


「いえ、これでも十分嬉しいですよ。と言うことは、依頼の幅が増えるんですよね?」


「そうですね、ランク『E』からは討伐依頼が受けられる様になります。討伐依頼の場合、ランク毎の難易度はパーティ単位になりますのでご注意ください。って瑞樹さんなら大丈夫ですね」


 一通りの説明を聞いて、逆に焦った。

 討伐依頼ってランク『E』からだったんだ……。

 拙いぞ、あの二人もランク上がらないかなぁ。

 まぁ無理なら一緒に薬草採取に行くかなぁ。




「瑞樹、お疲れさん。昨日はありがとな!」


「瑞樹、昨日はありがとうね! じゃ無かったら、今日こうして会えなかったよ!」


 俺が色々悩んでいると、程なくして二人が入って来た。

 街の警備は多少物々しいけど、それでも昨日の昼から働く人たちは精力的に動いていた。逞しいな。


「メリッサさん、今そこで郵便の人から荷物を預かったよ。宜しく」


「随分と適当ですね……どこどれ」


 困った顔をしながらも中身の検分をしていたが、その中に俺のもあったらしくついでに受け取った。

 誰だろう? って聞くこともないか、女神エレンだろ?

 決まっている。決まっているけど、中身の予想がつかない。


『瑞樹ちゃんへ。二人のランクを上げときました〜。私偉い!』


 ………………えー……バカなの? 不具合とかさ、そう言うのの補正とかならしょうがないけど、人様の人生を捻じ曲げるとかダメだろ……。

 そこは素直にモニタリングだけしとけよ⁉︎


「「やった!」」


 ほら見ろ、何も事情を知らない二人が舞い上がっているじゃないか。

 くっそー、今更元に戻せなんて言えない。

 まぁ今回は二人の喜びに免じて許すけど、次は苦情入れてやる!


「見てくれ瑞樹、遂にランク『E』だ! これで討伐依頼を受けれるぞ!」


 マリンとハイタッチまでしてるんだ。

 このランクになるまで、結構な道のりだったんだろうな。

 エレンからのご褒美と思っておけば良いか。


「じゃあ二人とも、私とパーティを組もう」


感想や評価、ありがとうございます!


気づけば20話超えてたので、人物紹介もしくは、キャラストーリーか何かを考えていきたいと思います。

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