CHAPTER9ー2 狙い通り
お久しぶりです。川田です。
(´・ω・`)非常に怠慢で投稿が遅れてしまいました………
秋らしくて過ごしやすい日が続いていていいですね~~~
僕の住む所はまだ暖房要らずです。
夏が猛暑なだけに、冬も暖冬なのかな……?
暖冬より冷夏が好きです。寒いのは耐えられるけど、暑いのは無理…………ま、適切が一番いいんでしょうけど。
では、皆さん、今話も読んで下さってありがとうございます。これからもよろしくお願いしますm(__)m
今回はこの辺で。
小橋が校舎に行ったのを見届け吉田は走った。体育館に着くと、G組の生徒が小躍りしていた。
スコアは………22ー9……
吉田は3年相手にここまでやれる同級生に呆れるも、まだ何の異変も起きていないことに安堵した。
一方小橋は屋上に行くべく、非常階段のある校舎に入った。
「おっ。」
「むっ。」見ると鈴木と小林が、校舎から出てきた。
「小橋。」鈴木が声をかけた。
「何してたんだ?」
「明後日の野球相手の情報収集さ。いや。」鈴木が首を振った。
「別に、女子バレーを
ほったらかしって訳ではないんだよ。ただ、一方的な勝ち試合って分かってるからさ、暇つぶしに………小橋はどうした?」
「んあ………えっと。」小橋は小林に話すのは構わないと前に吉田から言われていたが、鈴木の前で話すのは憚られた。
「同好会の仕事か?」小林が事情を知ってか知らずか、聞いてきた。
「まあ…そんなところだ。ちょっと注意する必要がでてきたんでね。」
「ほぅ………で、敵が校舎にいるのか?」
「屋上にな。」小橋が言うと、小林と鈴木は顔を見合わせた。
「敵って………不審者とかそんな感じ?殺人とかしちゃう系?」鈴木が聞くと小橋は微妙な顔をした。
「殺人はないが、少なくとも危害は加える可能性がある。クラスマッチが始まった時から、ずっといて傍観してたから見てみぬふりしてたけど、もしかしたら、動き出す可能性があるから、見張りに、な。」
「ヤバいやつらか。クラスマッチ中止させた方がよくね?」
「理由がないだろ。正直に言ったって信じられるわけじゃないんだから。」
小橋はそう言うと、階段を上り始めた。
「待ってくれい。」
「なんで追いてくるんだ。」
「俺は戦力になるぜ。暇つぶしにもってこいだ!」
「おいおい…………」鈴木までついてくる。
一行は3階に来た。ここから非常階段に出て屋上に行くつもりだ。
と。
ガシャンと音がして、近くの教室のドアが閉まった。
3人はそちらを注視する。
「誰だ?今はクラスマッチ中なんだが………」
「お前が言えた口か。」鈴木が小林に突っ込むのを無視して、小橋はそっと、小窓からその教室を覗き込んだ。誰もいない。
「誰もいないな。」
「教卓とかに隠れてんじゃね?掃除用具入れとか………」
その時だった。
ガラッとドアが開き、ナイフが特攻してきた。
侵入者が教室にいる事を知らなかったら、まんまと奇襲は成功していただろう。だが、警戒していた小橋はいとも簡単にかわした。それどころか、獲物が釣れたことに、満足していた。 「ナイフが浮いてる。」鈴木がナイフをみて叫んだ。
そう。ナイフが特攻してきたのだ。侵入者の姿は見えていない。
ナイフが動きを止めたのをみて、小橋が言った。
「変術師だ。」
「なんて言った?」
「変、術、師だ。」小橋が繰り返す。
「少し変わった人間を術師って呼ぶんだが……………っと。」小林に向かってナイフが向きを変えた。鈴木は表情が動揺しているが、どこか余裕が感じられた。
「どんな能力をもった術師なんだ?」
「吉田君から術師については聞いたな?」
小林が首を縦に振り、鈴木は横に振る。
「話して大丈夫か?」小林が聞くと、小橋はあっさり頷いた。
「やむを得ないってやつか。術師ってのはうおっ!!!!」ナイフが特攻してきた。小林は避けた。だが。
「うおおお?!」悲鳴が上がり、鈴木が顔を庇った際に前に出した右腕にナイフが深々と突き刺さった。
「隆徳!!!!」小林が叫んでナイフの柄を蹴った。
ナイフが勝手に抜け、小林に今度は向かってくる。
小林がかわす。しかし、ナイフは直ぐ様体勢を立て直し、小林を狙う。
「隆徳、大丈夫か?ハンカチあるか?!」小橋が駆け寄り、激しく出血している、右手を見た。
「いってえ………マジ殺す、あの野郎!!!」鈴木がらしくもなく激怒していた。
「ナイフが生きてんのか?」
「違う。ナイフを持ってるやつが姿を消してるんだ。」鈴木の傷口をハンカチできつく縛りながら小橋が答えた。
「小橋!お前もその術師なのか?何か特殊能力はないのか?」
「あるにはあるが………屋内ではまず無理だな。相手は姿が見えないだけで、ただの戦闘員と考えれば……………まだ楽だろ?」小橋はそう言って、ポケットからやや刃渡りが長いナイフを2本取りだし、鈴木に放った。
ー屋上ー
「騒がしいな。」
「生徒が戻ってきてるのを何回か見たから、そいつらだろ。」上久保は興味を示さない。
「ふーん。」清水はつまらなさそうに携帯をいじり出す。
上久保も必要以上のことは喋らず、黙って直立していた。
と、
「うおおお?!」という叫びが聞こえた。
「なんだ?」清水はギクリとして言った。
「…………痛いとか何とか叫んでるのは聞こえたな。事故かケンカだろ。」上久保は興味をやはり示さない。
「……………確かに、罵り合ってる声が聞こえたような………」
「だろ。血の気が多くていいな。」
「いいのかw」清水が苦笑しながら、携帯操作に戻った。
ー体育館ー
「おおおおお!!」2年G組が、25ー14で快勝。吉田もやや緊張を緩め、祝福の輪に加わった。
「流石だ~~~」
「つええ~~~」などの称賛を
「ありがとう皆!」の一言でお礼を言う黒澤はじめ、他の女子も誇らしげであった。
「勝ちましたか。」いつの間にやら川北先生もいる。
「はい!」嬉しそうに蛯原が得点版を指した。 「美しい………」川北先生はメガネを吹き出した。
一方破れた三年生チームは通夜のような雰囲気で誰も喋ろうとしない。男子は夢中で携帯をいじるか、寝るか、外を見ていたし、女子は飲むか、扇ぐか倒れるかしていた。
そんななか、吉田はふと気が付いた。
「大塚。」サッカー部の男子を呼んだ。
「ん?」大塚は笑顔のまま反応した。
「小林と鈴木君は居ないの?」
「…ああ、さっき教室棟に行くって言ってたな。」 「なんでまた。」
「三年生の情報を盗むためだとさ。」
「マジか………それいつぐらい?」
「昼休み直後だったかな………」
「なるほど。どうもね。」
「いやいや。」大塚が祝福の輪に戻るのを見てから、吉田は校舎へと向かうことにした。
と。
「ごっつぁん。」
「おお。勝ったみたいですね。」後藤とばったり会った。
「まあ………それよりごっつぁん。少々まずいことになった。」
「はい?」
吉田は敷地内に、新たな術師が紛れ込んでいることを手短に話した。
「小橋に見つけたら連絡するよう言ってあるから、大丈夫だとは思う。」
「校舎にいるとは限りませんよね?ここなんか、狙われたら厄介ですよ。だから今まで居たのさ。それで」
ブ~~~~ブ~~~~ブ~~~~
「あ。」吉田が携帯を取り出す。
「メールですか?」
「ああそうそう。………小橋からだ。」吉田の目が鋭くなる。吉田がメールを開き、後藤は横から覗き込み………驚愕する。
「現れた。」
ー教室棟3階ー
ガキン!!!ガキン!!!
激しい金属音が鳴り響いていた。小林と小橋がナイフ単身と戦っていた。小林が怪我の鈴木を気遣い、鈴木を殴って気を失わせたので、2対1での戦いだった。
「そこかっ!!!」小林がナイフを持っているだろう腕があると思われる部分にナイフを降り下ろすが、空振りした。
「チッ!」その反動で、バランスを失いヨロヨロとした所を、ナイフ単身が襲う。
すかさず小橋が割り込み、ナイフを受け止め、腹と思われる部分に蹴りを入れるが………また空振りする。
思いっきりナイフを受け返し、間を取った。
「どんな体型してんだ、こいつは。」小林がイライラと言った。
「普通だよ。」
「ていうか、見たことあんのかよ?」
「あるさ。ペンキをぶっかけてな。全身血塗れみたいだったが、声も聞いたし体型も見た。ただ、真の顔は見えなかった。だから、例えこいつが姿さらして何食わぬ顔で入ってきても、分からなかった。」
「じゃあ何でこいつが入り込んでいるって、わかったんだよ?姿を消すか、元々の顔を知らないならよ。」小林が唸る。こうして話している間、変術師はナイフをだらりとたれていて、休んでいるようであった。 「フッ…………言えないな。っと、なんで叩くのだ。」
「もう、ある程度の事は知ってるから言っても差し支えないだろ?」
「吉田から話すのはな。俺から話すのとは違う。」小橋は断固として言った。
「それより、どうする?」小橋が追及を許さず言った。
「ペンキなんてないしな……………あっ」
「どうした………?」
「昨日の宿題持ち帰るの忘れてた………」
「…………………………………………………………こんな時に!!」小橋が妙に長い間をもって言った。
「さあて、そろそろ。」小林が上着を着た。
「………………」
「斬られないようにするんだよ。」小林が冷たい目をした小橋を見る。
「戦闘シーンで上着を脱ぐのだけが格好いいと思ったら大間違いだぞ。」
「ハイハイ。」二人が構える。変術師も休憩終了のようで、ナイフを構えた。
「こんな広い所で戦うから不利なのかもな。相手がどこに行ったのか想像しづらい。」
「なるほど!!」小林がそう答えた時にはナイフが向かってきていた。
小林達はそれから逃げて、教室に逃げ込んだ。
ナイフは鈴木に構わず、特攻してくる。
小橋がそれを受け、ナイフで力の押し合いになる。
「だああっ!!」小林がナイフを持つと思われる変術師の頭めがけてナイフを投げる。
しかし、何にも当たらず、黒板に突き刺さった。
小林は急いで回収し、ナイフ単身を小橋と共に挟む。
「………………」
「なっ………!」
どこからともなく、ナイフ単身が2本に増えていた。
「二刀流ができるか…………2対1でも厄介だな。」小林はそう毒づき、小橋はナイフを握る手にいっそう力を込めた。