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第3章 最凶の転校生

黒澤をしつこく追い求めた犯人グループは、12月の下旬に逮捕された。何でも、地元の男子校を狙ってしまい、数人がかりで捕まえられたらしい。

冬休みが明けると、学校が変化し出した。否、変化がおおっぴらになった。入試に関係ない授業中に机の上で堂々と漫画を読んだり、携帯をいじったりした。

昼休みはパソコンでエミュレータ(ゲーム)をしたり、モノポリーをしたりと、良くない風習が広がった。但し誰も、人に迷惑をかけるような事はしなかった。

吉田や金子、その他の大富豪同好会会員達がどんどん、同好会のモットーを説いたからだ。無論、先生受けがいいはずがなかった。そして、自由な県トップの学力を誇る高校に正義の手がのびようとしている事に、誰もきずかなかった。


ある日、吉田の幼馴染みである、小林が深刻な面持ちで吉田に言った。

(小林…身長177センチ。体重61キロ。サッカー部所属の格好の良い男子。成績は学年一桁順位。体力テストはAランク。吉田と対極にたつ人物だが、幼馴染みということで、吉田は唯一完全に信用している人間。吉田には喧嘩の相性が良く、負けたことがない。)

「貴司、まずいぞ。井坂が放課後、進路指導室に来いだとさ。」

「来たな。また逃げるか。」吉田がせせら笑った。

「それなんだよ、問題は。」

「あん?」

「授業終了と共にお前を待ち構えているらしい。」小林がニヤリと笑った。

「それは廊下でか?」

「普通はそうだろ。さぁ、どうするんだ?」

「あれだな。」吉田はベランダを指差した。

「………また、大胆な事を。好きだなぁ、貴司は。」

「まあね。小林はあまり僕と居るところを見られない方がいい………ほら」

吉田がそう言って、指差した先に、複数の女子が小林を見ていた。小林は謙虚な笑い方をした。


「大丈夫だ。貴司を見ている女子も少なからず居るようだな………。」小林はそう言いながら、女子の方に視線を走らせた。黒澤や山口は素早く視線を反らした。

無論吉田は気付いていない。

「まず小林が僕にそれを伝えたことを感謝します。」吉田は最後に笑った。

(芯は優しい奴なのに………中学校の記憶はああいう物にしちまうもんだなぁ。)小林は密かにそう思い、微笑んだ。


「分かった。クラスの下に置いとく。荷物はあらかじめ、部室に置いといた方がいいな。」田子が何やら口頭で、吉田にアドバイスをしていた。

「よし、分かった。井坂がどんな顔をするか楽しみだな。」

「それにしてもどうやって、井坂の巡回の話を知ったんだ?」

「小林が教えてくれたのさ。掃除場所が進路指導室で昨日サボった罰として、昼休み逃げないように、廊下で待っていたんだ。小林はあっさり捕まった。で、進路指導室を掃除している最中に井坂が、数人と僕について話していたらしい。」

「同じ手を使うかな?」田子が言った。

「いや、更に厳しくなるだろ。校門とかを塞いでいるらしい。」

「イカンな。それじゃあ、進路指導室に行かなくたって、帰れないじゃないか。」

「フン。僕が孤児だということを忘れたのか?いざとなったら、部室に泊まってやるさ。」

分かった。じゃ準備しておく。」

「ああ、頼んだ。」吉田は通話を終了した。


カーンカーンカーンカーン。予鈴がなり、授業終了を告げた。吉田は横目で廊下を見た。曇りガラスを通して、井坂のような人間を確認した。


吉田は迷わずベランダに飛び込んだ。ベランダの柵を跨ぐ。

「吉田………こっち!!!!」田子、後藤、大野の3人が、マットを用意していた。田子は気をきかせて、走り高跳び用の柔らかいマットを用意していた。

吉田は迷わず飛び降りた。無事着地すると、部室棟に素早く駆け込んだ。後藤達はマットをサッと片付けてしまった。


「何?逃げられた?」進路指導室の部屋に校長の冷たい声が響いた。

「はい。……すみません。」

「謝って済む問題ではない。」

「はい。」

「これが何だか分かるか?」

校長は井坂の前に紙をヒラヒラさせた。『退学手続き』………

「有効なのは今日までにサインした場合だ。本人が逃げたら、また県教育委員会に証拠の提出から始まるのだ!!!!」校長が激しく言った。

「すみません。隈無く探しましたが、部室棟にも駅近辺にもいませんでした。」

「もう手遅れだ。減給とする。」校長が立ち上がった。

「この高校もこのままでは、まずいぞ。」

「待って下さい。校長。」

「何だ?」

「ある計画があります。」

「それは何だ?」

「今お見せ致します。おい入って来い。」井坂は突然、廊下に向かって叫んだ。

ガタガタと音を発てて学ランを着こん男子生徒が9人入ってきた。

「何だ?こいつらは?!」

「転校生です。防衛大学附属高等学校の。こいつらに、吉田達を叩かせましょう。」井坂はニヤリと笑った。校長は身を乗り出した。

「作戦を聞こうじゃないか………………………………………。」

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