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CHAPTER8ー7 開戦、クラスマッチ

かなり投稿に間が空いてしまいました………


今章は苦しみました……とにかく、骨組みはしてあるのに、納得のいく執筆ができない。


とりあえず次からはCHAPTER9に移行しますが、今章はとにかく自信がないです。


が!!!!!!!読んで頂けるとうれしいです。


それにしても、今年は秋がない気が……(笑)

ー昼休みー


ー棋道部室ー


「何か心当たりはありませんか?」吉田が鋭く聞くが、蛯原は首を振った。

「………じゃあ、やっぱり偶然なんですかね……………まあ確かに貧血の原因が心理的なものとは…………」

「うん………………」

「………………………」

「あの、貴司君?聞いていい?」

「はい?」

「なんか心理的な原因だとマズイことがあるの?」 「あるんですよ…………いや、蛯原さんに問題があるんじゃなくてですね。」吉田は首を振った。

「感情に負担………岩本さんから聞いたかも知れませんが、最近霊的気配が蠢いているのですよ。だから、もしかしたら蛯原さんが倒れたように色々な人に作用したら困るのです。」

「聞いてないけど………なんとなく分かった。」 「……まあ、疲れからの貧血なら大丈夫です。」吉田はふと蛯原を見た。

「なんかストレスとか溜まってます?」

「えっ!」

「なんか疲れてるように見えなくもないですね。目の辺りが。」

「ああ…………気のせいだよ。」昨日夜遅くまでメールしていたことは話さないことにする。

「よく寝てなかったりしたらそれが原因かもですね。」

「………………」

「とりあえず、霊的気配のせいでなくて良かったです。」

「…………………」

「?」

「…………………」

「………あの、どうかしました?」

「別に。」蛯原はサッと立ち上がった。

「もう、用は済んだ?出てもいい?」

「大丈夫ですが…………なんか怒ってます?」

「別に。」蛯原はまた行って出ていってしまった。 「……………?どうしたんだか」

蛯原は部室棟を出ながら、腹を立てていた。

まるで自分の身よりも、霊的なんたらによる被害を心配しているようで勘に触ったのだった。

「さて、僕も行きますか。」誰もいない部室をサッサと吉田は去っていった。

数分後……………。




トントントントントントントントントントン。棋道部室のドアが叩かれたが、答えるものはいない。

「あれ………?」岩本がいつも予鈴がなるまでいる吉田の不在に首を傾げていた。









ー屋上ー


立入禁止どころかM高の場合、屋上に通ずる階段すらない。それなのにM高校の屋上には2人の男女がいた。

「じゃあ、バレてないわけだね。」

「ああ。間違いない、奴等は気付いてない。」そう答えて長髪の女は腰元の刀を鞘を通して撫でる。

霊術師前道が時間稼ぎに吉田たちに見せた幻影と変わらない。一見美少女だが、口調は男口調とまではいかないものの、ハキハキとしており、それに加えて長身長髪の女だった。

剣術師、上久保は隣に立つ背の低い男を見下ろした。お世辞にもイケメンとは言えない顔立ちに短髪の茶髪に鎖がじゃらじゃらと体に巻き付いている。眼鏡をかけているその男は上久保を見上げて言った。

「今日の午後、わざと霊とは無関係だと気付かせる。」

「………は?何故だ?」

「奴等が低能過ぎて面白くない。」

「……確かにな。」上久保はクックッと笑う。

「だから、わざと気付かせるわけだが………問題ないか?」

「ああ、ない。後藤をこの手にかけるのは私だ。邪魔をするなよ?一生後悔と共に生きていく羽目になったらまずお前をストレスの捌け口にするからな。」

「あいよ。」

「私は駅に戻る。夕方また会おう。」

「はいはい。」

この会話の実行例はすぐに現れた。


ー放課後ー


棋道部室のドアが激しく叩かれた。

「貴司!!いる?!」ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン。

「ドアが破れますよ。」吉田は冷たく言いながらドアを開け放った。

「貴司………!」

「はいはいはいはい。何ですか?」

「あの家が………」

「え?」

「あの家が取り壊されたんだって!!」

「あの家って、昨日行った家ですか?」

「そう。だから急いで知らせに来たんだよ。あそこに住み着いてた霊はどうなっちゃうわけ?」

「…………………ちょっと待って下さいよ?」吉田はノートパソコンを開け、メールリストを開いた。

「??」岩本が怪訝な顔で覗きこむ。


数分後、吉田は妙な笑いを浮かべて言った。

「踊らされてましたね。」

「えっ?」

「いやはや………………ハッハッハ。」

「なに……霊は大丈夫なの?」

「霊ね……………いや、大丈夫ですよ?」吉田はやや思案顔のまま言った。

「ごっつぁんが来るまでちょっと話せませんが…………そうですね………」吉田は自分の耳を意味ありげに指差した。

「……!」何回かその行動を目撃している岩本は意味を理解した。

「分かった…………またあとで。」岩本は伝えることは伝えたといった感じで出ていった。

「感術師…………」吉田がそう呟いたのを



4月27日


「我々選手一同は………………………」少々長い選手宣誓が終わり、M高体育館ではクラスマッチ女子バレーの1回戦第1~3試合が行われようとしていた。

2年G組は第5試合のため、次の40分に出場する。

「40分で1セットって終わるもんかな?」

「終わるだろ。高校生のバレーなら1球10秒続けばいいほうだからな。」吉田の問いに小林は答えた。体育館は混雑を避けるため、応援にしても試合中のクラスの生徒しか入れない事になっていた。

吉田や小林が外に出ると、蛯原と山口にバッタリとあった。

「あ……………」

「?どうも。」吉田が微妙に頭を下げ、小林が手を上げると二人は、微妙に頭を下げただけで行ってしまった。

「緊張してるなぁ……」

「そこまで気負う必要があんのかね?」吉田は首を傾げた。

「そりゃあ当然。」

「そうなの?」

「ああもちろん。何せあの女将軍が………」小林が言った。

「黒澤さんか…………」吉田はいつも同バスケ部の海老澤を殴り飛ばしている女子の姿を思い浮かべて言った。

「そっ。人は見かけによらんな………美人な顔して、暴力派とは。」

「金子ね顔にやや傷があるのはもしかしたら………」

「もしかしたら?」


「「!!!!!!」」

吉田と小林は電光石火、後ろを振り向いた。黒澤瑞穂が世にも恐ろしい微笑を浮かべていた。

「匠(金子の名前)の顔の傷はもしかしたら?ん?」

「もしかしたら……………」

「なぁに?」

「見かけ以上におっちょこちょいなんじゃないかな………と。」吉田が動揺を無理に押さえ付けた声で言った。

「そうかもね~~~~~~~~~~~~~~~~~~」

「…………………あの黒澤さん。」

「なに?貴司君。」

「絶対優勝してくださいね。」

「期待してるから。」小林も激しく頷く。

「ありがとう。任せてよ。」黒澤はようやく普通の笑顔に戻ると脇をすり抜けて言った。

「…………暑いな。」

「ん……………ああ、暑い。」吉田と小林は額の汗をそっと拭った。


ー屋上ー


「今日は暑いな。」

「そりゃ、コンクリートの上に寝そべってたらそう感じるだろうよ。」長髪長身の女は冷たく男に言った。

「楽な姿勢がこれなんだよ。」男は寝そべってた体勢から胡座をかいて座った。

感術師……清水弘宣(CHAPTER8ー1参照)その人は頭をかいた。

「何のために見張りしてるんだよ?俺達に攻撃をさせない命令を出しながら、なんでまた見張り?」

「知らん。私でなくあの方に直接聞けば良かっただろう。」上久保はフンと鼻を鳴らした。

「奴等もこっちのこと気付いてるんだろうに。あからさまにやりすぎたか?もしかしたら、俺の仕業だとあまりにも露骨過ぎるから罠だとか考えてるんじゃないだろうな。」

「火術師も氷術師もお前がそんなに頭のまわる奴じゃないことくらい知ってるだろ。相手にしてないのかもな。」上久保は鼻で笑った。

「ひでえ言い方だな。だからと言ってお前の相手に忙しいわけじゃないだろうな。」

「……………確かにな。」上久保は前道の愚策を恨んだ。

先日の戦いにおいて、時間稼ぎのために大富豪同好会メンバーが面識があるなかでは、最も脅威を与えている上久保…………剣術師に怯むことなく、勝負を仕掛けてきていた。

しかも、相手が幻影だと気付いていない段階でである。そしてあっさり倒してしまったのだから、今後はただの術師くらいにしか思わないかもしれない。最も、清水が言ったように弱さが露骨過ぎて幻影だとばれた可能性が高いのではあるが、植え付けられた先入観により、大富豪同好会の過度な緊張を誘うアドバンテージは無くなってしまった。

「俺らが『ここ』に居ることは知ってるんだろうな?」

「多分な。いくらお前が学校の管理人や廊下でバッタリ会った奴等に学校の関係者だと思い込ませても時間が経ったら意味がないからな。」

「じゃあ、お前が初めから駆逐してたって変わらねえじゃねえか。」

「あのな。敵は大富豪同好会だけじゃないだろ?」

「誰が居るんだよ。」

バサッ。


上久保は答える代わりに書類を清水に放った。

暇潰しにも成りうるし、と清水は読み始めた。

「要注意人物………………」

「それだ。」

「『小林達也』…………火術師の幼なじみ!!!!火術師よりケンカが強いって書いてあるぜ。」

「いたな、そんな奴………」

「『鈴木隆徳』…………………ボクシング部のキャプテン。」清水は書類から顔を上げた。

「どうした?」

「鈴木隆徳…………鈴木隆徳………ボクシング部のキャプテン…………」

「………………」

「確かボクシングの県大会優勝はうちのクラス(R高校)に居るしな………しかしどっかで聞いた名前なんだよな…………」

「……別に今思い出す必要はないだろ?」

「まあな、大して有名でもないはずなのに、なんで聞き覚えがあるんだか………」

清水は無理矢理首を振り、書類を捲った。

「『海老澤弘毅』…バスケ部のキャプテン。なんだこのリストは?」海老澤の下に、他の2人は見られなかった名前のリストがダーッと書いてあるのである。

「今月に入って妙な怪我で病院で治療を受けた奴等のリストらしいぞ。重傷ではないはずなのに、精神的打撃が凄まじいそうだ。ん?」

「返す。」清水は立ち上がった。

「お前が正しいことは分かったよ。ちょっとコンビニ行ってくるから見張り頼むわ。」

「分かった。」上久保は驚くでもなく、書類を受け取り、剣を地面に突き刺しその上に手を置いて不動の体勢で立ち続けた。


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