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CHAPTER8ー4 開戦、クラスマッチ

かなり遅れてしまいました。

戦闘が無くなってしまうと途端に書きにくくなり、日常生活を淡々と綴った作品がいかに優秀かを思い知りました。


なかなか難しいですが頑張って執筆していきますのでよろしくお願いしますm(__)m

翌日。教室に一番乗りでの登校を果たしたのはやはり小林達也だ。 小林は鞄を適当に自分の机に放り投げると、着替えを始めた。

ガラガラ…………………


と、着替え始めて1分もした頃、ドアが開いた。黒澤が入ってきた。

「おはよ……ッ?!」黒澤は小林が下着一枚になっているのを見ると、いつもの堂々とした格好よさはどこへやら、脱兎のごときスピードで教室から飛び出した。

「……………ォイォイ。」小林は嘆息しながらも着替えを続ける。

小林が着替え終わり、数分してからドアがノックされた。小林がどうぞ~~と言うと黒澤がそろそろと入ってきた。

「あの……さっきはごめんなさい。」

「いや、別に……」小林はそう答えて、サッサと教室を後にした。教室には黒澤だけが残された。

「おはよ~~~~」

「うわっ?!」蛯原が入ってきて、黒澤が全く女子らしくない叫びを上げた。案の定、蛯原は顔をしかめた。

「人の顔を見て、『うわっ』って何?嫌がらせ?」珍しいことに蛯原は怒っているらしい。

「美樹………いや、何でもないの。何でも……」

「妙に動揺してるね。何かあったの………?」そう言って、蛯原は教室を見回す。教室には何もない。小林の着替えはきちんと畳まれて置いているし、どこぞのアニメのように、妙な疑いを受けることはなさそうだ。

「朝から、変なの。今日朝練するんでしょ?」 「!!そうだった、そうだった。早く行かないと……!美樹、悪いけど先行ってる、着替えないといけないから!!」黒澤がそう言うと、蛯原の制止を振り切って荷物を置くと教室をでて行った。

「……………………………」蛯原は不審に思いながらも、荷物を置いた。自分も体育館に移動しようとしたが、何か気になる。

「……………………」蛯原はさっきの黒澤をよく思い浮かべる。


妙に慌てた素振りが全く彼女らしくない……今まで彼女が取り乱した所など見たことがない。あまりにも突拍子もない光景だ。ニコ厨の小林とか、優しい笑顔の吉田とか、痩せた白玉とかと同列だwww


「?」蛯原が怪訝な顔をして辺りを見回した。………最後の筆者の忍び笑いが聞こえたか……


蛯原は思い直したようで、教科書類を机にしまい始めた。


「あれ?美樹。早いね。」不意に声がして、教室に三次志穂が入ってきた。

「あれ?志穂。」

「おはよう~~~」三次は手を振りながら上機嫌に挨拶した。

「何か私によう?」蛯原は笑顔を取り繕って言った。三次は首を振る。

「ううん。用はあったんだけど、無くなったというか、何と言うか………」三次はチラッと教室の様子を見た。

「?」

「何でもない。じゃあまた。」三次は残念そうに帰って行った。

「変なの………」蛯原はポツリと呟いた。

ガラガラ……と今度は後ろのドアから入室者が来た。

蛯原が振り返る。鈴木が入ってきたのだ。

「おはよう……」蛯原はおずおずと話しかけた。

「ざーす。」鈴木は右手を上げて適当な返事をしながら座席についた。

蛯原は男子も早いな、と内心思いつつ、自分も体育館に移動すべく、教室をあとにした。


蛯原はそこでバッタリと後藤に会った。

「あっ、おはよう………え?!」蛯原は思わず声を上げた。後藤が何やら男を引きずっていた。後藤は無表情に運んでいたが蛯原をみると笑顔を取り繕った。 「おはようございます。」後藤はそのまま非常階段に向かった。

蛯原は思わず声をかけた。

「後藤君、それは誰?」 「え?」後藤は一瞬、悩んだ顔になったが、すぐさま取り繕う。

「私の祖父です。」

「お爺さん?」

「そう。訳あって学校まで来たのですが、昇降口を過ぎた辺りから生気がないので引きずりました。何、ツルツルな床ですから怪我はしませんよ。」後藤はヨイショと老人をおぶった。老人はぐっすり寝ている。

「そうなんだ………大変だね……」蛯原が言った。後藤は微笑を浮かべると非常階段に消えた。


ー棋道部室ー


「何だよ、じゃあ近づいてすらいないじゃんかよ?」小橋が言った。

「野暮だな。危険と分かっているうえにこちらの戦力不足にも関わらず、特攻するのは、自死に等しいんだよ。」

「自慢気に言うな。」小橋がバシッと言った。

「だから、今日ごっつぁんのお祖父さんに来てもらうことになった。小橋も念のためについてきな。」

「そう言うと思った。親に連絡しないと。」小橋はそう言うと、両手で携帯を操作しはじめた。

「怪我はどうだ?」吉田が素っ気なく言った。

「悪いな。手がたまに意味もなく震える。上手く力が入らんときもある。しばらくすりゃ治るさ。謝るなよ?」小橋は吉田が口を開きかけたのを見て、小橋は遮るように言った。

「元々、危険は承知だった。俺があいつをしっかり絡めとればそんなことは起きなかった。」

「そうか」

「なんだなんだ?情が沸いたか?」小橋はニヤリと笑って吉田を見た。

「怪我した使えぬ戦士はゴミも一緒だ。戦場においては倒れた仲間がたとえ身内でも見捨てる。それが基本だろ。」

「僕に3Gのようになれと言うのか?」

「いんや?ただその妙な優しさが致命傷にならないといいな。」

「……ああ。」吉田がそう言った時、部室をノックするものが居た。

「後藤です。じいさん付きの。」後藤が何やら苦しそうな声をだした。

「大丈夫。本人だ。」吉田が言うと小橋がドアを開けた。

「おはようございます~~そらよっと。」後藤は部室に入るなり背負っていた老人を床に放り出した。

「偽じゃなかろな。」吉田が疑惑たっぷりな目で老人を見た。

「歴とした霊媒師ですよ。」

「死んでないよな?」小橋が老人の脈を取りながら聞いた。

「無論。寝てるだけだ。」

「今日霊媒師を呼んだってことはまたあの家に携わるわけだ。」小橋が老人を見ながら言った。

「嫌なら下りて構わん。」吉田が言うと小橋は舌うちをした。

「俺を臆病者と勘違いしてないか?あり得ん。」小橋はイラついた口調で言った。

「吉田君、一体どういった場所なんです?その曰く付きの家とは?」後藤が聞くと、吉田は無言で開いてあるパソコンを指差した。パソコンには以前岩本に見せた過去に曰く付きの家で起きた事件の新聞記事が表示されていた。

「ほう………見るからに何かヤバそうですね。」しばらくして後藤が言った。

「そうだな。岩本さんに昨日行って貰ったが、敷地内に入るだけで、悪寒を感じたって言ってたし、電話したらかなり多くの声が……というよりざわめきが聞こえた。」

「そんなあからさまなのかよ………呪い殺されるかも。」

「ああ。映画の『呪怨』みたいだ。」

「『白い老女』ですか?」

「ああ、それ。」

「見たことねえな。どんな話なんだ?」

「そうだな。要約すると、受験に落ちた……何回もな?奴が、両親や祖母、妹や姪を殺して自分も死ぬ事件に携わった人の経験を書いた話かな。」

「その人たちはどうなるんだ?分かるきもするが。」小橋が言うと、吉田は冷たく言った。全員死んだ……いや大体は死んだ。」

「何で死んだんだろうな?呪いの中身がいまいち分からないんだよな………例えば、精神異常で自殺とか?」

「殺された人間は大体が死んだ人間に直接手を下されて死んでる。」

「は?」

「だから首を絞められるなり、殴られるなりだろう。描写が原作にもない。ただ白い服を着た髪がバサバサな女が走ってきて、悲鳴を上げる。で『その声が○○のだした人生最後の声になった』で締めくくってあるんだから。」

「曖昧だな。」

「全くだな。それを現実に挑む僕らは大変無謀な訳だ。二人とも………小橋は2回目になるが、下りるなら止めはしない。今回の依頼は今までのどんな霊関係の依頼よりも遥かに危険だ。」

「………俺のさっきの発言はスルーか?」

「もう一回言ったらキレます。」

「フッ」吉田はニヤリと笑った。

「よし、一切責任は負わないからな。遺書とか書いても僕が焼き消すから無駄な事だからやめとけよ。」吉田はニヤニヤしながら言った。

「うーん…………」

「「「!!」」」

今までずっと黙っていた(寝ていた)老人がいきなり目を覚ました。後藤と吉田は視線を交わすと、後藤が抱え起こした。

「じいさん、目は覚めたか?」後藤が言った。

「フニャ……モガ……」

「ダメらしいな。」

「ったく、ラノベの幼なじみみたいな反応して……」

「じいさんが起きた描写がなけりゃ、よかった……」

「だよなぁ?フニャフニャ言ってんのが老人だからな………」

「ええい若造!!今何と言った!!」

「うおっ?!」

吉田と小橋がマニアックな話をしていると老人が割り込んできた。いつの間にか目が血走って、シャキッとしていた。

「今、何と言ったあぁあああぁああぁあぁあぁああぁああぁあああぁあ!!」

「ん、だから…………忘れたw」小橋が言った。

「老人と抜かしたな!!」

「老人で抜いた?うわー、気色悪いな。熟年でしかもゲイだなんて………」

「うるせえ」吉田が小橋を軽く蹴った。

「そうですよ。確かにとんでもなくみすぼらしくて、ひもじそうな雰囲気が出てて、皺だらけだし、染みだらけだし、1日14時間は簡単に寝るし、年金はないし、貯金はないし、要介護2だし、家もないし、世話してあげなきゃならないし、パチンコで作った借金が50万ほどあるし、ヤミ金に危うく手をだしそうに……いや出したっけな?まあヤミ金に関わるし、振り込め詐欺にひっかかりそうになるし、起きてる時はネトゲばかりやってるが、私の祖父です。」

「馬鹿にしてるだろ!!!」老人が言うと、後藤は怒ったように言った。

「まさか!!」

「じゃよな……」

「コケにしてるのです。」

「謙介!!」老人は両手を地面に付いた。

「ぬおっ?!」小橋が叫んだ。老人の後ろから大量の人魂(青白い炎)が現れた。そして3人に向かって、襲いかかってきた。

「熱い?!」小橋がまた叫んだ。

「さあ逃げますよ!!!」後藤が扉を開けて走り逃げた。吉田と小橋が慌てて部室を飛び出す。

「待てゴルァ!!」老人が老人とは思えない速さで追ってきた。

「部室の施錠!!」

「馬鹿野郎、オートロックだ!!」吉田が小橋に吠え返した。

「どりゃあ!!!!!!」

「させるか!!」吉田は部室を出て校庭に出た所で、人魂に向かって蹴りを入れた。

「ヤバッ!!」人魂はつぶれて、吉田のズボンが燃え始めた。

「何かを核にして燃えてるわけじゃないのかよ!!」

「当たり前ですよ!本物の人魂ですから!」

「流石は霊媒師!」吉田は火を叩いて消すと、さらに間を取る。

「私の祖父は……70を越えてますが……」

今度は老人は信じられないスピードで小橋に迫った。

「ケンカはまだまだ負けませんよ!!」

「危なっ!!」小橋に向かって老人が包丁を胸元から取り出して、振りかざした。小橋は危うく避けた。

「ちっ!」小橋は近くの茂みに飛び込んで、蔓系の植物に触れた。蔓が一瞬にして伸び、老人を絡め取った!」

「よし!」

「どこら辺がよしなのかな?」老人は嗄れた声を出した。老人の後ろに控えた人魂が蔓に触れた。

蔓が燃えだし、蔓を伝って小橋のいる方向へと逆に向かった。

「ヤベッ!!」小橋は急いで場を離れた。間一髪、小橋がいた地点の茂みが燃え出した。

「謙介!!」

「っとっとっと!!」老人は素早く後藤に向かって走り、包丁を振り上げた。後藤は氷細工の短剣で受け止める。背後から人魂が襲いかかってきた。

「しまっ……!」後藤が片手で短剣を精製する前に人魂は襲いかかってきた。

「ウラァ!!」吉田が割り込み、火棒で人魂を弾き飛ばした。

「よし、火術棒なら燃えないな。」吉田がホッと息をついた。

「後藤君!!なんか君のじいさん暴走してないか!!」

「したんじゃない、させたんですよ!!」後藤は小橋にそう言うと、おもいっきり、老人の包丁を押し返した。老人と3人の間が充分に広がった所で、小橋が口を開いた。

「何で怒らせたりしたんだ?」

「吉田君が……」

「んなこと言ったっけ?」

「直接ではありませんが。昨夜、私に言いました。『連れてきたらすぐに力を見せてほしい』と。」

「それと怒らせることに何の関係があるんだよ。」小橋は唸った。

「祖父が霊媒師としての力を発揮できるのは、怒りの感情が沸き起こってる時だけ、それも寝起きの後と決まっています。」

「ペテン師かそいつは。」

「吉田君が火術師であるように、歴とした霊媒師ですよ。」

「それに増してもケンカが異様に強くないか?」

「フム、元々、空手の師範代でしたから。」

「呑気だな。一体どうやって止めりゃいいんだよ。」

「決まってます。気絶させるんです。」

「老人相手にケンカしろと!」

「そうです……っと!!」

後藤がそういいかけた所で、老人の単語が聞こえたのか、後藤の祖父が襲いかかってきた。

「ぬぅ!!」小橋が包丁の残撃を避ける。

「ッ!!」吉田が腹に向かって蹴りを入れたが、交わして、包丁を今度は左手で操り、刺そうとする。

ガキン!!!


吉田が内ポケから短剣で受け止める。後藤が氷の短剣で脚を狙う。しかし、老人は吉田とも後藤からも離れ、小橋に襲いかかる。

「ちっ!」小橋は苦無でそれに応じる。

「ごっつぁん!!」吉田がその隙を借りて後藤に何やら吹き込む。

「……………よし、分かりました。やってみましょう。」後藤がそう言うが早いが、二人して老人に向かって走りだす。

「老人に対して1対3とは我ながら情けない。」吉田が呟く傍ら、後藤が小橋の後ろ側から殴りかかる。老人は小橋を突き放し、後藤の脇腹に肘鉄を喰らわそうとする。後藤が素早く右に動いて交わし、脚をかけようとした。

だが、老人は信じられない行動に出た。大きく跳躍したかと思うと、後藤の背後に着地した。

「なっ……!」後藤があわてて振り返るが遅かった。

バン!!と快音がして、後藤は蹴られた。後藤が10メートルほど飛ばされて着地した地点で踞る。

「やるな!」吉田が老人に向かって石を投げつけた。老人は難なく祓う。吉田は構わず投げ続けた。老人は祓い続け、膠着状態が続いた。

その間に生き返った後藤が小橋に何やら吹き込む。

「うまくいくんだろうな?」

「確信はないです。」

「…………ギャンブルは好きじゃないな………………」

「じゃあお願いします。」

「人の話聞いてんのかお前は。」

「いいから……」

「何気に本音出しやがった。わかったわかった」小橋が草むらに向かって走り出した。

「おい、ジジイ!!!!!」小橋が暴言と共に植物に触れ、蔓が老人に向かって走る。

「無駄だ」老人は何もせず、指を鳴らす。

人魂が再び姿を現し、蔓に飛び付いた。火が瞬く間に燃え上がる。

「知ったことかあぁあああぁああぁあぁあぁああぁああぁあああぁ」小橋が叫び、火が伝うのも構わず、蔓を伸ばし続けた。蔓の先端は焼け落ちていない。

「なんだと……」老人の元に蔓がたどり着いた。すぐさま老人は叩き斬るが、後から後から蔓は増えてきた。


「熱……」小橋の手にはたくさんの植物によるカバーが人魂の火から守っていたが浸透しつつあった。

「うわっ!!」老人の脚が遂に掬われた。

「そこだ!!」吉田が一瞬のチャンスを逃さなかった。飛び膝蹴りで後頭部を強打した。

老人は一瞬恨ましげな顔をしたが、ガックリと動かなくなった。

「フゥ……」後藤がため息をついた。

「まだ分からんぞ。気絶した振りをしてるかもしれん。」吉田が言ったが、後藤は人魂があった場所を指差した。

「人魂が消えたんでそれはないです。」

「ハァ………とんだ霊媒師だな。」

「でも力があることは証明されたでしょう?」

「証明方法が狂ってんな。」

「今日行くんですよね?」

「ああ」

「それならこのまま寝かせておきます。小橋君おぶって。」

「ハイハイ。って重っ!!!」小橋がよろめきながらも老人をおぶり、3人は部室へと引き上げた。



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