CHAPTER7 火術師×霊術師
皆さん、こんにちは。川田です。
1週間に1回の更新を心掛けています。今日は朝に書きましたから眠いです。
モバゲーで携帯小説を投稿できると知ったのですが、やりにくいです。
1000文字ごとに区切らなくてはならない所が特に。
それに内容を見ると、「小説家になろう」サイトの方が遥かに優秀な作品が多いです。僕の観念が入ってますが。
これが春かと思える天気が続いてますが、皆さん今年度最初の月を充実させるべく頑張りましょう。
いよいよ、火術師と霊術師の直接対決が始まります。
午後5時20分
ーG組教室ー
「やっと勝ったぜ!」
「糞が……何でだよ!!」春日が歓喜する傍ら、吉田がキーボードを叩く。
4対5で吉田の負け。春日が対策を考えるため、吉田に休憩を持ちかけたのも一つの要因らしい。
「ああ、気持ちいい。よし、勝ち逃げしよう。」
「あのなぁ………まぁ、構わんけど。」吉田が呆れたが文句は言わなかった。
その時、教室のドアをノックするものがいた。
トントントントントントントントントントン。
「どんだけノックしてんだよ。」
「岩本さんか。どうぞ~~」
吉田が言うと、怒ったような顔の岩本が現れた。
「アンタは何やってるの?校舎中に響いてるけど?」
「ボンバーマン5です。やりますか?」
「真顔で答えないで!周りの迷惑とか考えたらどうなの?」
「うるさかったですか?」
「はい。」
「Hmm………」
「何よ、その反応は!」
「Oops!!!」
「だから何で英語表記なのよ!」
「いちいち煩いなぁ。迷惑だから帰ってください。」
「あたしが?!」岩本が驚愕したところで、春日が笑いだした~
「すげーー息ぴったりだな。彼女?」
「ちゃう。下女。」
「なああああぁぁぁぁんですっっっっっってえええええええええぇぇぇぇぇぇえ!!!!!!!!!!!」岩本が絶叫した。春日が笑うのをやめた。
「マジ、彼女?」
「違う。1年とき同じクラスだった人。」
「岩本………さん?岩本?岩本?」春日が岩本を見ながら何かを思い出しかけているようだ。岩本が息を切らし、春日を見た。
「思い出した!!」春日が叫んだ。
「あなたは?」
「春日瞭太です。よろしく。」春日が言った。
「何を思い出したかは知らないけど、岩本怜衣です。よろしく。」岩本が吉田を見た。
「一発殴っていい?」
「やり返しますけどね。」吉田が冷たく言い、パソコンの電源を落とし、立ち上がった。春日もパソコンから離れる。
「4月なのに、雨だから暗いなーーー。岩本さんは部活は休みですか?」
「そ。だから教室で先輩の引退試合に渡す千羽鶴折ってたらうるさくて。」
「すみません、でもゲームしてたらそうなるんですよ。」吉田が漸く素直に謝った。
「何よ、その意味不な回答は………素直謝ったから許すけど。で、それは何?」岩本は50音の書かれた紙を指差して言った。春日が答える。
「さっきちょっとこっくりさんをやってたんだよ。」
「何で棒読み?こっくりさん?」
「そうそう、厨房であらゆる技で…………」
「また、ぶり返すか。」春日がそう言って遮った。
「何でそんなことを?」
「暇ですから。」
「……………暇も暇ね。で、こっくりさんは来たの?」
「全然。当たり前ですが。」
だよねー、と岩本が言ったその時だった。
チャリン、ワワワワワワ…………という音がした。
音がした方を見た春日が言った。
「何だ、小銭が落ちたのか。」そう言って、10円玉を戻す。
「明日体育あるよ、ダルいなーー」吉田が明日の科目を教室の掲示を見ながら言った。
「別に、いいじゃない。楽しいし…………」
「おい、吉田!!」
会話が春日の叫びで中断させられた。
「こっち来い!」春日が手招きした。吉田と岩本が近寄る。
10円玉が勝手に動いていた。
「………………ス。」
「来る前にはテとニを差したんだ。」
「テニス?」
「また動きがある。」岩本が言った。
「ジ……………………ャ…………………イ………ア……………………………………ン…………………ツ。」 岩本が言う。
「ジャイアンツ?」
ここで、吉田がハッとして言う。
「春日!さっき何て質問した?」
「………さっき?ああ、俺の一番得意なスポーツは…………」そこまで言って黙り込む。吉田が言った。
「僕は『僕の好きなプロ野球球団は?』と聞いた。」
「テニス、ジャイアンツ………来てるのか?!」春日が真っ青になった。岩本が指差した。
「まだ動いてる…………」
もう質問はないはずだ。しかし、10円玉は動き続ける。
「こ……………………………………ろ………………………す。」
次の瞬間、電気がすべて消えた。
スイッチを押す音もしなければ、点滅もしなかった。
「何なの!」岩本が怯えた声で言った。
「何か寒気がしてきた………吉田、どうなってるんだ!」
「知らん。とにかく一刻も早くここを出よう。」吉田が言うと、春日は頷き、直ぐ様鞄を持つ。
「春日、悪いが燃やすぞ。」吉田は言うが早いが、手から炎を出し、紙を燃やして閉まった。続いて10円玉を床に置き、踵落としをする。
10円玉は割れた。
「すげ!」
「悪い、10円は後で返す。」
「別にいいよ。」
「10円を笑うものは10円に泣く。」吉田はそう言いながら、超特急で荷物を片付けた。岩本が教室から出たとき、驚きの声を上げた。
「見て、あれ…………」
「ほう。」吉田も変に感心している。大職員室のある向かいの校舎がガラス張りの廊下から見えるのだが、真っ暗だった。まだ6時になっていないのに、異様に職員が誰もいないのだ。
吉田達のいる校舎も異様に暗い。
「真っ暗だ………気持ち悪っ。」春日が2人の後ろから言った。
「岩本さんも早く校舎を出た方が良いです。」
「うん、そうする。」岩本はいくらか慣れているのか冷静だった。
3人はB組教室まで行き、また驚かされた。
B組教室も真っ暗だった。
「友達がいたんだけど………」
「帰ったんですかね?」
「………あ、いつの間にかメールが…………………………………『ごめん、早く帰って留守番するの忘れてた。後で穴埋めするから、今日はもう帰ります。』だって。」
本来悲しむべきことだが、今はホッとしているようだ。岩本も素早く荷造りをして、B教室から戻ってきた。
「行きますか。」吉田が早歩きで先陣切って移動する。
中央ホールに戻ってきた時だった。
1階から何かが上がってくる。ヒタヒタと音がする。
2階に上がりきった所でそれを待ち構えた。
ヒタヒタヒタヒタヒタヒタ………………
やがて、それは姿を現した。唯の教師であった。
唯の教師は白衣を来ている中年の男性できちんと顔もあった。暗い顔をしていたが、人間らしい。
岩本がホッとしたらしく、さようならと挨拶をした。
返事はない。
3人がすれ違った。その時、吉田が床を見た。
真っ赤なラインが出来ていた。暗闇なため、岩本と春日は気付いていない。
吉田は男性の後ろ姿を見た。
背中が真っ赤に染まっていた。
その視線に気付いたのか、男性が振り向いた。 「…………………」
「………………見た」男性が首だけ回してこっちを見、背中からは相変わらず血が流れている。
吉田が恐怖というより、興味からじっと見つめていると岩本が階段下から呼び掛けた。
「何やってんの?急ごうよ。」吉田は動かない。
「だから何を……………」岩本がやれやれというように階段を上がってきて、目の前の者に唖然とする。
「………………マタ見タ………」男性が言った。
「は………………」
「何やってんだ?」春日も来た。そして同じように男性を見た。
次の瞬間、男性がこちらに体を向けて歩き出した。
「いやあああああぁぁぁぁぁぁ!!!」岩本が叫び、逃げ出した。
「うわあっ!」春日も岩本とは違う方向に逃げ出した。
男性は突如、吉田に向かって猛然と走り出した。考える間もなく、吉田は突進され、倒れた。
男性が白衣の下からナイフを取り出し、吉田に突っ立てようとした。
しかし、吉田が避け、ナイフが固い廊下に全力で当たって刃が折れた。吉田がサッと立ち上がり相手の脚をすくった。男性が転倒した。
吉田は情け容赦なく、男性の髪を掴み、何度も床に打ち付けた。だんだん体から力が抜け、やっと気を失った。
吉田が直ぐ様離れて、二人を探した。
***********
海老澤が体育館から忘れ物を取りに教室棟に戻ってきた時にはまだ5時数分前だった。
「電子辞書……………電子辞書……………」呟きながら、教室棟の階段を上がり、2階に来た。海老澤はその時、ふと奇妙な物を見た。赤いインクのような物が廊下に線を引いていた。一旦無視して、通り過ぎたが、インクのような物の匂いが妙に鼻についた。海老澤は不審に思い、液体をシューズの先で触れてみた。
と。
「うわ」海老澤が驚きというより不快感で声を上げた。ローションのようにネトーッとして糸を引いたのである。
海老澤はシューズの先を振って液体をとった。
当初の目的を忘れ、海老澤はG組教室へと続く廊下を直進せず、左へと折れ、液体を辿った。
液体は階段を上がり、3階に達していた。液体がだんだん、ラインというより点々としてきていた。
やがて液体は理科室へと入っていった。海老澤も入って行った。
電気のスイッチを押したが、点かない。理科室は黒いカーテンがしてあり、暗かった。4月の夕方だというのに、海老澤はどういう訳か寒気を感じた。理科室に入ってすぐの地点で液体は途切れていた。海老澤は理科室を一通り回ってみた。ちなみに理科室といっても化学室というべき場所なので、人体模型や奇妙な生き物はいなかった。それらは生物研究室にいる。
海老澤が一つしかない出入口から最も遠い場所にある洗面台に来た。鏡がある。一つ一つを注意深く見て回った。
日常と変わらない。そう思って、最後の鏡を覗きこんだ。
「うおおぉ!」海老澤が驚いて後ろを振り向いた。バタンとドアが閉まった。
海老澤が鏡を見たその瞬間、鏡の中で海老澤の後方を白衣を着た何者かが通過したのだ。
そして、今いる場所と正反対の場所に化学準備室があった。そのドアが音をたてたのだ。
『見るな、今すぐ引き返せ。』
こんな声が海老澤のどこで叫んだ。そうだ。その通りだ。別に何で化学準備室に行く必要がある。今は下校時刻でもない。生徒や教師がいても不思議はない。おそらく自分の存在に気付かなかったから、注意も何もしなかったのだろう。
海老澤は急ぎ足で教室の出口へと向かった。嫌が上にも勝手に視線は準備室のドアにいってしまった。
ようやく、教室の出入口に着き、最後はほとんど走るようにして出た。ドアをスライドさせ、大きな音をたてたがバシンと閉めた。
心臓を抑え、教室棟に急いで引き返そうとしたその時。
グサッ、グサッ。
こんな音が隣接する準備室から聞こえた。室内を通しても、廊下を通しても、準備室とは繋がっているのである。
グサッ、グサッ。
何やら音が聞こえる。
グサッ、グサッ。
海老澤はまたしても奇妙な感覚に襲われた。別に見る必要などない。今すぐ引き返せばいい。だが、何かが海老澤を見るように促している。
グサッ、グサッ。
海老澤は準備室の前に移動する。
海老澤がドアノブを握ったその時、音が止まった。いや、止まりかけた。
グサッ、グ………
海老澤は一気にドアを開いた。
そのとたん、海老澤は吐き気を催した。
身体中が真っ赤な白衣を纏う男が此方を振り返った。
その男以外人影は見られない。
グサッ。
海老澤の目の前で男は自分の腕に刃渡り20センチほどのナイフを突き刺す。
「ハ…………ハ………ハハ………ハハハハハ………………ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
男が笑いだした。
「うおっーーーーー!!」海老澤が叫び、一目散に逃げ出した。
男は追わず、相変わらず自分の体を傷つけていた。
***********
「春日!!岩本さん!!」吉田が声を張り上げて名前を読んだが、返事はない。昇降口にも行ったが、両者の外履きはあったのだ。
そもそも、昇降口が外からも内からも鍵が掛かっていた。少なくとも、外に出たなら内鍵がかかる筈がない。
非常階段は開けば警報がなるので気づくはずだ。
と。
「貴司!!貴司ーーーーー!!」声がした。
「む?岩本さん。」
「貴司ぃ。良かった~~」岩本は走ってきて吉田の目の前で息を切らした。
「岩本さん、どこに行ってたんですか?」
「ええ?自分のクラス。」
「ほう。何でまた。」
「だって怖くて………教室なら入り口が2つあるからいざとなったら逃げられるし。
」
「なるほど。春日を見ましたか?」吉田が言うと岩本は首を振った。
「困ったな。岩本さんは先に脱出して下さい。妙な気配がさっきからしてるんですよね。危険です。」
「うん………でも、貴司一人で大丈夫?」
「まあ………大丈夫ですよ。」
「本当に?」
「はい。」
「でもいいや。あたしも探すのを手伝うよ。」
「………………そうですか。」吉田が素っ気なく言った。
「貴司、顔色悪いよ?大丈夫?」岩本が心配そうに言った。
「…………大丈夫です。」吉田が顔をしかめ、歩き出した。
「春日はどっちに行った………職員室の方に行ったよな………チッ…………」
「ねえ、本当に大丈夫?」岩本がさらに追求するが、吉田は曖昧に頷くだけ。
「大職員室に行ってみますか。」吉田は頭を振りながら言った。
***********
春日は息を切らしていた。
物陰に隠れ、辺りを窺う。
何も起こらない。
春日はほっとため息をついた。4月にも関わらず、校舎は異様に暗い。真っ暗と言って差し支えないレベルである。
春日が座り込んでいた物陰から立ち上がった時。
ピリリリリリリリリ。
「おっ。」春日は短く声を出し、自分のポケットをまさぐる。
「…………G組のメーリングか。」
春日はほっとため息を付くと中央ボタンを連打して開く。
(non title)
本文
「オ前ノウシロ」
春日は思わず後ろを振り向いた。
誰もいない。
「何なんだよ、差出人はだれだ?」春日は呟くと、携帯を操作した。
「誰だよ、これ……………」春日は顔をしかめた。メーリングは差出人がすぐ分かる。本文の上に名前が出るのだ。その名前が……
「死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死」だった。
春日は気分が悪くなり、携帯を強引に閉じた。
それにしても…………あの白衣を纏う男は何者だろう?亡霊か?何かの誤解か?
春日はこっくりさんをやり始めてからこんな事態になったと後悔した。
「はぁ。」冷や汗をかいてしまった。
春日はハンカチで拭った。と。
何やらヌメヌメしている。春日は自分のハンカチを持った手を見た。
真っ赤だった。
「おえい!!」春日はハンカチを取り落としながら叫んだ。
ハンカチが真っ赤だ。
「なななな?!」春日は危うく腰を抜かす所だった。
すると、ハンカチがこちらに飛んできた。
なかなかのスピードだ。
「うわああああああ!!」春日が一目散に逃げ出した。