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第2章 稀有な依頼

新たな

「仲間」が増えてから、一夜が経過した。

吉田の自宅は高校から電車で40分の所にあるスラムに近い場所だった。

吉田はパソコンの前から少しも動こうとはしない。

大富豪同好会は学校のパソコンを用いてゲームをしていた。これは教室でやらなければ出来ないことなので、教師に見つかる可能性が大富豪やUNOに比べると高かった。パソコンでそんな事が出来るなんて、だとか懐かしい、だとかで生徒受けは相当良かった。

吉田は勉強を済ましてから、パソコンのゲームやインターネットをやっていた。今日は休みだから、それほど予習する意味はないので2時間だけ睡眠をとっていた。平日は趣味の時間がなくなるということで、勉強をしたのち、時刻が午前1時を過ぎていても、眠らず、パソコンを朝までやっていた。そんな訳で日頃から吉田は窶れていた。


正午になった頃、吉田はパソコンを閉じた。伸びをしたのち、新聞を読み始めた。自分の県の欄に、駅員と警備員に対する暴行を働いた4人組が一人を除いて、何故か重傷で見つかった、と書いてあった。吉田の脳裏を昨日の山口の笑顔が過った。

吉田は顔をしかめ、無理にそういった雑念を降り飛ばした。彼が、恋愛を嫌う理由。というより大富豪同好会が女性に免疫がない理由。



恋愛を優先させて学力が充実している輩は一人もいなかったからだ。それだけの理由で、イケメンな水上や、大野は彼女がいなかった。


週末が明けた月曜日の朝。いつも通り吉田はクラスに一番に着き、パソコンの電源を入れた。其処へバスケ部の金子がいつもより、1時間ほど早くやって来た。吉田は金子の存在には気付いたが、例のごとく、無視した。すると隣の席ということもあり、金子は話しかけてきた。

「おはよう。吉田〜噂がたってるぞ〜。」金子は吉田を苛つかせる笑みを口に浮かべながら言った。

「?………何のだ?」

「お前、山口さんを不良から守ったんだろ?」

「……………………」 これだ。吉田は金子に背を向け、舌打ちをした。まさに危惧していたことだった。金子に噂が回るくらいなら、大富豪同好会の会員達が知らないはずがない。吉田は会員達が、どんなやり方で自分をからかうか、慎重に考えた。

「下心見え見えだぞ〜でも山口さんな、彼氏持ちだ。残念だったな。」金子はしたなめずりした。

「………………」

吉田が回想に更ける間、金子は色々と恋愛を成就させる方法や、女子の対人感情を話していた。吉田は全く聞いている様子がないので金子の最後の止めを刺すためのものだった。「何か、山口さんを見捨てて逃げてたけどな。」吉田は他のことを考えながら言った。

「えっ?」金子が素頓狂な声を出した。金子が口を開こうとした時、教室のドアが開き、5〜6人入ってきて吉田との対談は中断された。


その日の放課後ーーー


吉田は大富豪同好会会員数人達と、エミュレータ(パソコンでのゲーム)をしていた。スーファミのボンバーマン5で皆懐かしがって、色々な民間人がやっていった。

「今日は山口さんとはどんな感じだったんだ?」同じクラスの小橋が吉田に聞いた。

「別に何も。一言も話してないな。それこそいつもどおり。」吉田が冷たく言った。

「そうか。そりゃ良かった。吉田が恋愛に目覚めたのかと思っちゃ…………ウワァ………!!」小橋がそう言った時、吉田が情け容赦なく、小橋を殺した。

「これで3タテだな。」吉田が不敵な笑みを浮かべながら言った。

「ハハ……恋愛に目覚めてたらこんな強さは誇れないな。心情の変化は即、活動に表れるからな。」端で見ていた田子が言った。

「…………いい加減からかうのは止めてくれないか?しかも彼女を助けたのは同好会の仕事を如実に表したと思ったが。」吉田が冷たく言った。田子と小橋は突然黙った。吉田の声には変化はみられなかったが、小橋や田子には僅かにそして、激しい怒りを感じられたのだ。

カーン、カーン、カーン。予鈴がなり、校舎ロックの時間が来た。

「移動するか。」田子が荷物を取り上げた。

吉田は頷き、パソコンの電源を落とした。


「今日は昨日より遥かに少ないですね。」部室で待機していた後藤が言った。小橋は用事があると言って帰ったため、田子と吉田、後藤の三人しかいなかった。

「まあ、11月だし、暗くなるのは早くなるし、寒いしな。」

「三人で賭けるのは愚の骨頂だな。」田子が頷いた。

「もう、帰りましょう。」後藤がそう言って立ち上がった時だった。


ドンドンドン!!!!!!

激しく扉を叩く音がした。

三人は硬直した。

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