第13章 後藤と吉田2
9時になった。
プッンッッ!!!!
「全島の皆さんおはようございまーーす!担任の井坂でーす。死亡したお友達の名前言うぞーーーー」
「S高校、全員死亡!!」
「M高校とB高校は新たな死者は誰もいないぜ。
んじゃ、禁止エリア!
10時からFー3
12時からDー5
14時からBー6
以上だ!!今日も1日頑張ろうーーーー。」
プッンッッ。放送が切れた。
エリアFー3
「とまあ、こんな感じですね。」後藤は一通り話して蛯原を見た。
「へえ………じゃあの時が、初めて………」そう言いながら、何故か赤面する。
「さて、禁止エリアにここが指定されたから、移動しませんと。そろそろ仲間と合流すべきです。」
後藤は立ち上がり、ナイフをポケットに入れ、バッグの準備を始めた。 蛯原もそれにならう。
部屋の奥から、吉田と岩本が姿を現した。
「禁止エリアになっちまうな、ここ。ごっつぁん、何処に移動するね?」吉田が緊迫した声で言う。
「私には考えはありませんが………」
「そう。じゃ、海老澤達がいるFー6に行こう。彼処なら安全だ。金子はともかく海老澤は機転が利くしな。」吉田はあっさりと言う。
「分かりました。10分したら家を出ましょう。」後藤が落ち着いて言った。
「貴司君、しっかり美樹を守ってね~~」岩本がにっこりと魅力的な笑顔を吉田に向ける。吉田は一瞬岩本を見て、無視を決め込み、蛯原は岩本に絡み付いた。
「怜衣~~~からかうな~~~緊迫した状況なのに~~~」蛯原は脇をくすぐる。
「わひゃわひゃわひゃわひゃわひゃわひゃ。やめて、やめて~~~~ごめ~~~ん」擽られて悶絶する岩本。
後藤と吉田は肩をすくめて苦笑した。
エリアFー2
「首輪の電波が何故か途絶えたままだな………」B高校の遠藤が言った。
「わからん。電波は鉛の箱にでも入れない限りは、遮断できんはずだ。何がどうなってる………」そう答えるのは服部。
「どうする?このまま進撃するか?奴等移動を始めた頃だろ。奇襲にはもってこいなんだがな。」今度は巨漢の坂下が言う。
「別に、奴等の居場所が分からずとも、此方が奴等の奇襲を受けなければ良い話。またどっかの家に入られたら面倒だぜ。」遠藤が言う。
「いや、駄目だ。奴等首輪に何かしたかも知れん。吉田は経験してるし、首輪くらい簡単にはずしてるやも知れん。」服部がそう言うと、坂下がイライラと言う。
「じゃ、どーすんだよ。」
「本部に連絡して、移動の軌跡を辿らせる。今はそれしかないだろ。」服部は肩を竦めて言った。遠藤が携帯を取り出し、コールし始めた。
エリアFー6黒澤と海老澤と金子は全員が起き、緊張感のない表情で静かに談笑していた。
「学園祭………またやりたいな……」黒澤がふと言った。どうやら学校行事について話していたらしい。
「ああ……このクラスで何かするのは学年末のクラスマッチぐらいかね。」海老澤が言う。
「青春だなあ、海老澤よ。松本さんと一緒のクラスでなくて残念だったな。」金子はヒッヒと笑う。
「まあな。言えてるよ、それ。でも俺はG組の恋愛模様を見てるだけで楽しかった。」
「へええ……?例えば誰?」黒澤が言う。
「小林とか………貴司とか………それに……… 君達!!!」海老澤が大袈裟に言った。金子は顔をしかめた。そんな、良い雰囲気だったけか、という顔をした。
*********************黒澤と海老澤と金子は全員が起き、緊張感のない表情で静かに談笑していた。
「学園祭………またやりたいな……」黒澤がふと言った。どうやら学校行事について話していたらしい。
「ああ……このクラスで何かするのは学年末のクラスマッチぐらいかね。」海老澤が言う。
「青春だなあ、海老澤よ。松本さんと一緒のクラスでなくて残念だったな。」金子はヒッヒと笑う。
「まあな。言えてるよ、それ。でも俺はG組の恋愛模様を見てるだけで楽しかった。」
「へええ……?例えば誰?」黒澤が言う。
「小林とか………貴司とか………それに……… 君達!!!」海老澤が大袈裟に言った。金子は顔をしかめた。そんな、良い雰囲気だったけか、という顔をした。
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6月の下旬。最終週の土日にM高校の学園祭があった。県庁所在地にある県一の進学校ということだが、無駄に生徒たちはテンションが高くなり、来場者は6500人程がくる。
5月28日。2年G組は出し物について話し合い。
クラス委員の黒澤が何のジャンルが良いか、希望を言え、と言う。無駄にテンションが高い男子連中から女子連中までが一斉に喋りだす。
「喫茶がいい!!!」
「アトラクションほど客を集めるものはないだろ。」
「お化け屋敷が季節に会う。」などの感情的な意見から冷静な意見まで複数ある。
吉田は教室の端で、読者している。カバーがしてあるので、ジャンルは分からない。
「なあ、貴司。貴司って今回有志に出んの?」軟式野球部の岩崎が吉田に聞く。
「そ。棋道でね。一般客と対局するんだと。」吉田は読書したまま言う。
「俺らも2日目は招待試合なんだ。クラスに出れんのはやだな。」岩崎は真人間だ。
「青春の学園祭を将棋で過ごす!!愚行ではないが、賢いとも言えないな。」吉田も少し楽しんでるようで、いつもより、目に温かみがある。
すると吉田の右隣の海老澤はひょひょと笑う。
「棋道部が有志で大賞とれっかね。クラスで出れば、可能性は高いかもよ。」海老澤が言う。いい忘れてたが、学園祭の実施中に、来校者にはパンフレットが配られ、裏についている、投票券で、一人三票で団体に投票できる。クラス対抗のM高大賞。部活、委員会、同好会対抗の有志大賞。この2つが主で、1年の時は、M高大賞は3年生のクラスで、有志大賞は吹奏楽部がトッタ。
「ちょっと待て。貴司よ、その『トッタ』ってのはどういう意味だ。」
海老澤が妙なテンションで言う。
「吹奏楽部の場合、人数が多いじゃん?親来るじゃん?たくさん入るじゃん?んで組織票。だから、取ったは赦しがたいし、盗ったが正しい気もするけど、一昨年も吹奏楽部だから奪った訳じゃないし、獲ったは大賞でも何もないから、トッタにしたのさ。適格な漢字がない。」吉田が言った。そう、大賞と言ってもトロフィーが貰えるだけで、部費が上がるわけでも設備が整う訳でもない。ムダな名誉のためによくテンションがあがると吉田は思う。
吉田達が駄弁っている間に、話し合いは終わっていた。結局、ジャンルはアトラクションに決まりだ。
「だから、去年はほとんどこっちに来なかったんだ………」女子が数人集まって、どんなアトラクションをやるか具体案を出す話し合いの最中、議論していた。
「ええ……有志を重視してたから………?」山口が信じられないという口調で聞いた。
「うん。打ち上げにも来なかったんだ………」1年の時に、黒澤や岩本と一緒だった丸山が話していた。
「ふうん。じゃ今年もかな?少しは参加してくれないと………有志多いよね?このクラス。」山口は心配そうに言う。
「協調性がないんだよね、貴司君。小林君とは対極にある存在なのに仲良いよね、あの二人。」丸山が言う。
「協調性は無くは無いんじゃ………多分照れてるんだよ。」蛯原が言う。
「どうだかね。打ち上げに来ないのはおかしいじゃない?彼、結構カラオケに行くみたいだし。」丸山が言う。
「そうなの?貴司君が歌ってる所とかなかなか想像できない………」山口が最もな事を言う。
「休み時間になると歌ってるよ………小さい声で。何処かで聞いた曲ばかりなんだけど、曲名は分からない………」蛯原が言った。
3人の議論は黒澤が話し合いに参加してない事を咎めるまで続いた。