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セーラー服の魔法使い  作者: 雨音静香
最終章 穂乃香の決断
805/812

805 幼女、説明を続ける

「魔力が使えなければ、新たな魔法使いは現れない……ってこと?」

 クルミの問いに、穂乃香は小さく頷いて見せた。

 すると、今度は奈菜が、クルミと穂乃香のやりとりに対して、少し不安そうにしながらも、疑問と言うよりは否定に近い言葉を差し挟む。

「ほ、穂乃香ちゃんは減るって言ってたから……」

 そんな奈菜の発言に対して、穂乃香は真っ直ぐ視線を向けて頷いた。

「そう、減るだけなの。現れなくなるわけじゃない」

 穂乃香はそこで一旦区切ると、柔らかい笑顔を奈菜に向ける。

「よく気付いたね、奈菜ちゃん」

「う、うん」

 不安な気持ちから一転、穂乃香の言葉で、奈菜は嬉しそうに口元を緩めて、恥ずかしげに視線を下に落とした。

 そんな奈菜の様子に、羨ましさで少し頬を膨らませた月奈が、穂乃香にさらなる説明を求める。

「それってどういうこと?」

 穂乃香は月奈だけじゃなく、他の面々も説明を求めるように自分を見ていることを確認した上で、ゆっくりと説明を始めた。

「魔力を支配すると、他の魔法使いが魔法を使えなくなるって話したでしょう?」

 自分たちを見渡すように聞く穂乃香に、それぞれがこくりと頷きで応える。

 そんな中で、茉莉が「……例外」と小さく声を漏らした。

 穂乃香はそんな茉莉の呟きに大きく頷いてから「そういうこと」とまずはその考えが正しいことを告げる。

 その上で穂乃香は、少し説明の言葉を選ぶ素振りを見せてから「魔力に色があるって言ったから、色のイメージで説明するね」と切り出した。

 みどり、月奈、奈菜の三人は自分たちに理解出来るのだろうか少し不安そうな表情を見せ、茉莉、クルミ、アリサの三人は聞き逃したりしないように少し前のめり気味になり、残る大人四人は黙って穂乃香の言葉を待っている。

 その様子を確認した穂乃香は説明を再開した。

「えっと、私は紫で、みどりちゃんは緑、奈菜ちゃんは紺で、月奈ちゃんはオレンジ」

「あ、フラワーズのときのいめーじからーだね!」

 並べられた名前と色の組み合わせに、みどりは思わず思い浮かんだことを口に出す。

 それから、今が穂乃香の説明を聞く場面だったことを思い出して、みどりは「あっ!」と慌てて口を両手で覆った。

 穂乃香はみどりの行動に、柔らかな笑みを向けると、問題ないとでも言うように「うん、みどりちゃんの言うとおり」と頷いてみせる。

「それで、フラワーズのイメージカラーで行けば、茉莉お姉ちゃんが青、クルミお姉ちゃんは黄色、アリサお姉ちゃんは赤でしょう?」

「うん」

 みどりに変わって、今度は月奈が穂乃香の言葉に頷いた。

「で、それを元に行くと茉莉お姉ちゃんと奈菜ちゃんはお互いにお互いの支配している魔力を使い合える」

 穂乃香に視線を向けられた、奈菜と茉莉が同時に「「そっか!」」と表情を明るくする。

「色が似ているからだね、穂乃香ちゃん」

 やや興奮気味に見える奈菜の言葉に穂乃香が頷くと、今度は茉莉が口を開いた。

「そうか、魔力でも同じ事が起きるんだね」

「ええ、色と言うよりも、波長といった方が良いかもしれないけど、魔力を支配している人の波長に近い魔力を持つ人なら、多少は魔力を使うことが出来る」

「それで、魔法使いが生まれる数が減るって事ね」

 茉莉の考えを肯定した穂乃香に、先ほどの疑問に答えを得たクルミが確認の問い掛けをする。

「うん。魔力が支配されてると、その支配している魔法使いに波長が似た魔法使いしか魔力を使えなくなるからね」

 こくりと頷いた穂乃香の話を聞いて、桃香が「そういう事だったのね」と声を漏らしながら、一歩よろけた。

「モモちゃん?」

 急に桃香が口を開いたことで、隣に控えていたゆかりが気遣うように声を掛ける。

「大丈夫よ、ユユちゃん。今の話を聞いて、全てが繋がった……だけだから」

「全てが、繋がったですか?」

 桃香の返しを受けても尚心配そうにその身を案ずるゆかりに代わって、島村が説明を求めた。

 そんな島村に僅かに頷いた後で、桃香は心配そうな目を穂乃香に向ける。

 穂乃香はゆっくりと目を閉じると、そのまま小さく頷いて見せた。

「お母さん、私は何を聞いても大丈夫だから」

 目を開くと同時に、穂乃香が自分に向けてきた視線をみて桃香は、覚悟を決める。

「あのジジイ……プリスラーフマーナが私を選んだのは、榊原の……この家の力を手に入れるため……」

 わかっていたとはいえ、桃香の言葉に、ゆかりの目に怒りが滲んだ。

 それは長くこの家に仕え、榊原家も、その家の者である桃香も大切に思ってきた島村も同様である。

 桃香は、ゆかりと島村の表には出していない怒りを感じながら、自分の言葉を続けた。

「そして、私に穂乃香を生ませたのは……」

 そこまで言って桃香は悲しそうな目を穂乃香に向ける。

 穂乃香はその視線を真っ正面から受け止めて、かまわないと続きを促すように頭を縦に振った。

 そこに穂乃香の覚悟を感じ取った桃香は、表情を沈ませながらも「わかったわ」と頷く。

 桃香は続きを口にする覚悟を決めるために大きく息を吐き出した。

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