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セーラー服の魔法使い  作者: 雨音静香
最終章 穂乃香の決断
804/812

804 幼女、目的を議論する

「プリスラーフマーナが異世界に行きたがる一番の理由は魔力で間違いないと思う」

 穂乃香の説明に、ゆかりが考え込むような顔で「魔力ですか……」と呟いた。

 それを、情報の追加が求められたのだと理解した穂乃香は、より詳しく説明を加えていく。

「私の知識を元にした話だから、現在もそうなのかはわからないんだけど、プリスラーフマーナの生きる世界は、魔力に色が付いているの……あ、文字通り赤とか黄色とかに見えるって意味じゃなくて、世界に溢れている魔力には所有者がいるって事ね」

 穂乃香の説明を受けたアリサは、納得したと大きく頷いた。

「なるほどデスネ。つまり、あのジジイは、自由に出来る魔力が足りないから、他の世界に触手を伸ばしたと言うことデスネ」

「絶対とは言えないけど、ほぼ間違いないと思う」

 アリサの言葉に深く頷きながら、穂乃香は深刻な顔で頷く。

 そんな穂乃香の表情を見ながら、クルミは自身の中の疑問を言葉にした。

「魔力が足りないか……一体何の為にそんなに多くの魔力を必要としてるのかしらね……」

 だが、何気なく漏れたクルミの言葉に、穂乃香は目を丸くする。

 そんな穂乃香の反応にいち早く気が付いたみどりが首を傾げた。

「穂乃香ちゃん、どうしたの?」

「か……」

「か?」

 一音発しただけで固まってしまった穂乃香に、今度は月奈が首を傾げる。

 一方、話の流れを見守っていた沙織が「あ」と声を漏らした。

 何事かと思った皆の目が自分に集中すると、その視線に耐えきれなかった沙織は、直ぐに声を漏らした理由、即ち、思い当たった穂乃香が固まった理由を口にする。

「も、もしかしてですが、考えたこともなかった……とか……では?」

 沙織の発言内容を受けて、半信半疑でありながらも、皆が穂乃香に視線を向けると、そこには引きつった顔が待ち受けていた。


「いや、そうだよね、理由……あるよね……」

 穂乃香はプリスラーフマーナの目的を、まるで考えもしなかった自分に対して、深い溜め息を漏らした。

 だが、落ち込んだ穂乃香とは違って、茉莉は何かに気付いたような顔で、自分の意見を口にする。

「穂乃香ちゃんがそんなことに考えが及ばないのは意外だけど、逆に、あっちの方も、魔力を得ることだけで、使い方なんて考えていないって事なのかも知れない……」

 茉莉の言葉に、補足するようにクルミが言葉を重ねた。

「つまり、プリスラーフマーナにも目的があるわけじゃないってこと?」

「強大な力をただ求めてるという事デスカ……歳をとると、お金や権力に執着するという話はよく聞きますが、あのジジイは魔力だったという事デスネ」

 アリサの言葉が一段落すると同時に、茉莉は自分も同じ意見であることを示すように頷く。

 その結論に、逆に穂乃香は少し驚いた顔で「目的もなく力を求めている……」と呟いた。

 自分の発した言葉の余韻に、震えるような感覚を覚えた穂乃香だったが、その戸惑いの検証を始める前に、ゆかりが深刻そうな声で発言をする。

「茉莉さん達の考えはかなり可能性が高いように私にも思えます……ですが、そうなると、かなり厄介ですね」

「ユユちゃん。やっかいってどういうこと?」

 ゆかりの言葉に首を傾げた桃香は、素直に説明を求めた。

「何か、例えば、特別な魔法を発動するために魔力を欲しているのと、ただ単純に魔力を欲しているのとでは、全然危険度が違うということです」

 桃香に向けてなされたゆかりの説明だったが、傾げられた首は元には戻らない。

 代わりにゆかりの言葉を補完するように、島村が言葉を添えた。

「達成したい目的があるなら、それを満たせる魔力を得れば、侵略は辞めるかも知れませんが、魔力を求めること自体が目的になってしまっているなら、止まる可能性が低いと言うことですね」

 島村の話を聞いた穂乃香は「つまり、侵略は諦めないって前提で考えた方が良いって事ね」と確認するように声を発する。

「ええ、残念ですが、諦めないことを前提に考えた方が良いでしょう」

 穂乃香は島村に頷くと、改めて自分の策の説明に戻った。

「さっきも言ったけど、まず最初に茉莉お姉ちゃんにして欲しいのは、魔力、この国の魔力を支配下に置いて欲しいの」

「それ、すっごく頷きにくいから、そうしなきゃいけない理由を教えて」

 表情を引きつらせながら、茉莉は穂乃香に嫌そうな顔で解説を求める。

 穂乃香はそれを当然とばかりに頷いてから、ゆっくりとした話し方で話を続けた。

「まず、魔力が支配されている地域では、覚醒する魔法使いの数が極端に減るの」

「そ……」

「それは何故です?」

 どうしてなのかを尋ねようとした茉莉を押し退けるようにして、穂乃香の話にゆかりが食いつく。

 驚いた顔を見せる茉莉だが、その反応が目に入らないほど、ゆかりは穂乃香の返答に意識を集中していた。

 現在、魔法使い発生の監視を行っているのは、ゆかり率いる穂乃香護衛隊であるために、話の内容次第ではより効率的な対策が出来ると判断したためである。

 穂乃香はそんなゆかりの事情も理解した上で「魔力が支配された状態にあると、他の魔法使いが魔力を使えなくなるからよ」と端的に答えを返した。

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