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セーラー服の魔法使い  作者: 雨音静香
第四章 幼女と誕生会
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107 幼女、準備を整える

「ほのかちゃんって、プリッチとおともだちなんだね!」

 目をキラキラと輝かせて穂乃香に声を掛けたのは、吉川月奈(るな)は微笑む。

 クラスの中でも一番といってもいいプリッチ好きなので、直前までは感動と驚きでフリーズしてしまっていた。

 ようやく再起動した月奈は、ゆかりやエリー達と挨拶するために千穂たちが離れたタイミングで、穂乃香に声を掛けている。

「あ、月奈ちゃん、ちょっと待ってね、千穂お姉ちゃんたちを呼ぶから……」

「まって、だめ、それはだめなの!」

「え!?」

 喜んでくれるかと思って提案したことを全力で瑠奈に拒否されて、穂乃香は目を点にした。

 月奈はそんな穂乃香の反応に、一つ大きく息を吐いてから顔全体を真っ赤にする。

「えと、その、なんかね、るな、しゃべれなくなっちゃうから……」

 穂乃香は可愛らしい緊張具合に、それを見たみどりや奈菜、そして千穂たちがどう反応するかも考えず、ただただ反射的に手を伸ばし、思わず月奈の頭を撫でてしまった。

「ほのかちゃん」

 パチクリと瞬きをする月奈に、穂乃香は「あ、ごめんね、おもわ……」と言いかけたところで乱入される。

「ほのかちゃん! みどりも、みどりもいい子いい子してほしい!」

「あの、その、わたしも……その……」

「穂乃香ちゃん、私頑張ってるよ、すごく頑張ってるよ!」

 穂乃香を取り囲むようにして、みどり、奈菜、千穂が積極的にアピールを始めた。

「え、ふぁ、凛華ちゃん!?」

 一方、急に千穂が自分の真横に現れたことで、月奈もパニック状態に突入してしまう。

 混沌の色を強くした混乱具合に、自主的に、あるいは親の囁きで、他の子どもたちまでもが殺到した。

「わぁ!」

 衝動に圧されて頭を撫でただけで混沌を呼び込んだ事態に驚きながら、穂乃香は押し寄せる子供の群れに飲まれる。

 だが、その危険性を予見していたゆかりが素早く穂乃香を救い出し、エリー等メイド組や茉莉たちが子供たちが怪我しないように上手にさばいて見せた。

 そうして無事穂乃香以下子供たちを怪我無く捌ききったエリーと茉莉たちは互いに、職人としてやり遂げた笑みを交わし合う。

 その後、千穂が子供たちの眼のないところで、茉莉にものすごく叱られた。


「では、ご来場の皆さん、お隣の部屋にご注目ください」

 ゆかりの号令とともに、穂乃香が大広間を半分に仕切っていた襖の前に移動すると、それに倣って子供たちの群れも移動する。

 穂乃香を先頭に襖の周りに子供たちが集まると、それを囲むように大人たちも周囲に集まった。

 その背後では、ほとんど音を立てずに、ものすごいスピードでエリー達メイド組がテーブルの上を整え、食事からデザートへメニューを切り替えていく。

 一方、穂乃香の前にはゆかりが立ち、微笑みかけた。

「本日は穂乃香お嬢様のお誕生日にお集まりいただきありがとうございました。これより、ご来場の皆様にプリッチ・フラワーガールズのステージをご覧いただきます」

 ペコリとゆかりが頭を下げると、ざわめきが巻き起こる。

「え、どういうこと?」

「プリッチのみんながうたってくれるんだよ!」

「そうなの?」

「あ、そういえば、凛華ちゃん達がいないね」

 先ほどまで注目を集めていた千穂たちがいないことに気が付いて、一同が周囲を見渡し始めた。

 すると、プリッチメンバーだけでなく、忙しなく動いていたエリー達メイド組もいつの間にかセッティングを終えて退室していることに気が付く。

 だが、それについてそれぞれが口にするよりも先に、ゆかりが「はーーい、注目~」と視線を誘導した。

「えーと、プリッチ・フラワーガールズのお姉さんたちから、皆にもダンスをしてほしいってお願いがありました」

 ゆかりの発言に、子供たちが「「「はーい」」」と声を揃えて手を上げた。

「じゃあ、踊り方を教えますね」

 ゆかりは笑顔で頷くと、折った小指を親指で抑えて、3本の指を立てる。

「はい、じゃあ、3を作ってください」

 何をするのか理解した子供たちを中心に、あっという間に子供たちも大人たちもゆかりにならって、指を三本立てた。

「お歌の中で、スリー・トゥ・ワンって凛華ちゃんが言ったら、合わせて、指を動かしてね」

 ゆかりはそう言いながら、薬指、中指の順番に指を折ってみせる。

 子供たちはゆかりの見本に従って、それぞれが指を折っては楽しそうに確認し合っていた。

「はい、上手です~」

 ゆかりも落ち着くのを見計らいながら、褒め言葉を逐次投入して盛り上げると「次はー」と声を掛けて再び注目を集める。

「凛華ちゃん達の『輝け魔法』って歌に合わせて指を振ってね」

 言いながら残った人指し指で宙に弧を描くと、子供たちが、次いで大人たちがまねて指を動かした。

 その様子に微笑みながら頷くと、ゆかりは視線を主役である自らの主人に向ける。

 穂乃香はその視線に頷きで応えると、ゆかりは微笑んだまま襖を軽くノックした。

 それから、ゆかりは集まった一同の視線から外れるように、襖に沿って部屋の隅へと移動する。

 直後、襖が同時に左右に開かれた。

 一気に全員が開かれた襖の先へと視線を向けると、ドレス姿から魔女衣装姿に着替えた千穂たちがポーズを決めて立っていて、その姿を目にした子供たちを中心に歓声が巻き起こる。

「それでは、プリッチ・フラワーガールズで『輝け!プリッチ・フローラル』です!」

 邪魔にならないように部屋の隅に移動していたゆかりの高らかな宣言とともに、穂乃香たちが聞き慣れた『プリティーウィッチ・フローラル』のオープニング曲が流れ始めた。

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