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ヘタレ女の料理帖番外編  作者: 津崎鈴子
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あの人たちのあの日あの時 (魚六のマサキ編)4

 ユキちゃんが、商店街の入り口で電話を見つめて立ち尽くしていた。

顔がこわばってるのが遠目でもわかった。なんかトラブルに巻きこまれているんだろうか。

心配だ。思わず声をかけていた。


どうも知らない番号からの着信で間違い電話らしかった。

心当たりがないってことだったので、ほっとけば?って気楽に言ってた。

そのあとの着信は公衆電話からだったけど、着信のタイミングが微妙。


困惑しているユキちゃんから、スマホを取り上げて耳に当てる。


甲高い声の女の声で、結構な年配の声だ。内容は罵詈雑言ではっきり言って名乗りもしないのに礼儀知らずって罵っている時点でキ印の警戒物件だ。

 久しぶりに昔の俺が出てきてしまった。ユキちゃんをおびえさせるなんてとんでもねえ話だ。


 向うから通話を一方的に切りやがった。しかし、そのあとユキちゃんが心当たりがあるかもって告白されて、この街に来たいきさつを聞き出した。


 正直、世の中には人を見る目がないというか、トンデモない大馬鹿が居るもんだと呆れてしまう。

あんな電話を寄越すくらいの女の娘が、ユキちゃん以上のいい女なわけないじゃん。まぁ、そのおかげでユキちゃんは、晴れて自由になったわけだけど。ただ、相手がとんでもない阿呆でも、ユキちゃん自身が惚れこんでて離れられないくらい惚れた弱み状態になってる可能性だってあるんだし、心配。一応、確認しておこう。


「もしその男から、やっぱ戻りたいって言ってきたら戻りたい気持ち、ある?」

「ない」


即答だった。ユキちゃんの答えは潔い。

まぁ、こんだけ振り回されているんだから、気持ちがすっかり冷めたんだろうな。


 馬鹿が目が覚めてユキちゃんに復縁迫ってこないようにガッツリ対策立てないとな。

というわけで、タカシに連絡した。


「ごめんなさい、巻き込んで……」

しょげるユキちゃんに、軽くデコピンする。


惚れた女の為だから、全力で巻き込ませていただきます。


しばらくして暇を作ってくれたタカシに事情を説明したら、いろんな推測を少ない情報から上げてくれる。

やっぱこういう時にタカシって頭いいよなって思う。


 ただし、同じような案件を相談されてるって言ったけど、こんな話、そうそう転がってない気もするけどなぁ。もしかして、タカシ顔が広いから、元カレサイドからの話なんだろうか。


…………いや、まさかそんなことないよな。


乾いた笑いしか出ないよ、そうなったら。


 この頃は、まさか色んな人と絡み合って、とんでもない大きな略奪女包囲網になるなんて想像できなかった。


 ユキちゃんが笑顔で暮らせるように、頑張らないとな。そうひそかに決意していた。



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